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「地図板を持つ男」や「恥ずかしそうにソフトクリームを食べる男」を観察する女

2013/10/06 16:30 投稿

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Filed under: 国内, 暮らし・車, カルチャー, デイタイム, トピックス,

人間観察とは行儀の悪い行為です。観察する側はまだしも、観察される側のなかには嫌な気分になる人も多いでしょう。しかし、私たちはひと度、外に出ると、つい人様を観察してしまうことがあります。

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書籍『内澤旬子のこの人を見よ』の著者でルポライターの内澤旬子氏も、お行儀が悪いと知りながらも、ついつい周りを観察してしまうそう。同書では、そんな内澤氏が気になった101人の記録が紹介されています。観察のツボは人それぞれですが、内澤さんなりの観察のポイントがあるようです。

「ほんのちょっとだけ常軌を逸している、いやひょっとして、すでに世の中ではスタンダードになっているのに、私だけがギョッとしているだけかもしれない人や、公共の場にありながら本人が意識しないままに『プライベート』が駄々漏れになっている人たちがいい、なぜいいのかと言われても困るのだが、そういう人を見ると、その人が過去に送ってきた人生や日常を、時には未来を、すさまじい勢いで妄想できるのである」(内澤氏)

そんな内澤さんが愛すべき人として記録したのは、どのような人たちでしょう。

例えば、2009年1月に東京都台東区の路地で見つけたのは「地図板男」。青空が冴える厳冬の午後、細い路地を歩いていた男の手には、木枠にブリキ板を打ち付けた地図が。なんと男性は、ガードレールなどにくくりつけてある地図表示版を持って歩いていたのです。

「結構大きなそれをぶらぶら下げて歩き、曲がり角にくるたびに、じっと眺め、アタリを見回す。(略)あきらかに地図として活用していらっしゃる。道がわからず、迷っているところに掛かっていた地図を外してきちゃったんですかね」(内澤氏)

スマホでの地図検索が当たり前となっている若年層にはわからない深い理由があったのでしょうか。

また、東京・有楽町の東京交通会館でも、面白い光景がみられるようです。人気の物産店は「北海道どさんこプラザ」。ここの夕張メロンのソフトクリームが大変美味しく人気。それ故に、いい大人も立ち食いしている姿がよく見られるのだとか。しかし、あまりの人気のため、「他のお客さんの邪魔にならないように食べてください」との張り紙が。そのせいか、大勢の人が楽しそうにゆっくり、じっくり食べているそうです。内澤さんによると、「無表情かつ、無心に、ソフトクリームを舐める人ばかり」とのこと。

2012年2月に同店の前で見かけた男性は、「柱を背に立ち、カバンを足元に置き、知り合いに見られたくないからなのか、スパイのように四方に鋭い目線を飛ばしながら、舐め舐め。食べ終わった瞬間に走るように去っていった」とのこと。内澤氏もソフトクリームを買って食べてみたところ、食べ終わるまでの時間が異様に長く感じ、恥ずかしくて仕方なかったと述べています。

「私も今きっと、さっきの男性みたいな顔になってんだろうなあ」と、時には、内澤氏自身も観察される側にたってみたりしています。

【書籍データ】
・『内澤旬子のこの人を見よ』 内澤旬子著 小学館

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