ダウンタウンの松本人志監督最新作『R100』は、あらゆる意味で映画の常識を覆す問題作だった。大森南朋演じる主人公は家庭人だがドMで、謎のクラブに入会して女王様の仕打ちをかわるがわる味わう。映画全体の構成もアバンギャルド風味。観る者は複数成立し得る解釈を楽しみ、戸惑い、松本監督が投げる"R100"や"SとM"というテーマに救いを求める。取材に応じた松本監督に、少々助言をいただこう。
主人公の片山貴文は、"父はM。"というキャッチコピーにあるようにドM。松本監督も無類のドMと公言していて、片山同様に父親だ。理想の父親になろうとして罪悪感と格闘している片山の姿を観ていると、松本監督自身の投影に思えなくもない。しかし、この点、「一般論としてはありますよ」と松本監督は普遍性を強調した。
「僕が大森さんに現場でよく言っていたことは、片山のずるさ、男のずるさを出したい、ということですね。そういうことって男にはありますね。『お父さん、ちゃんとするからね』って、言いますけど、お父さん、ちゃんとしないですからね(笑)」。
Mの父を描くため、衝撃的なシーンが少なくない。カメラの前で行われる女王様とのプレイには、手加減が感じられない。「そうですねえ。今回は、そういう意味じゃ、本当に大変でしたねえ」と回想する。ただ、「大森さんにも本当に頑張ってもらったんですけど、でもどっかで監督はSにならないとダメだなあって思いました」と、主演俳優と映画監督の間にも、本作のテーマが存在していることを指摘する。
「これはもうビジネスと言うてしまうとクールになってしまうけど、やってもらうしかないですもんね。でも、大森さんは、本当に明日はもう来ないんじゃないかなって思うことが、何回かはありましたけどね(笑)」。
映画監督としては、4作目を世に問う。「今回はメチャクチャにしたかった」という想いで撮り上げ、"捨てシーン"が一切ないと自負する。「映画を撮っていると、監督としてはどうでもええシーンが絶対出てくるんです。それはストーリーをつなぐだけのシーンだけだったりするから、正直退屈なシーンというものが毎回あるんですよ。でも今回はそういうシーンがほぼなくて、全シーン見せ場のような気がして。そこは気にしてほしいですね」。
映画『R100』は、2013年10月5日(土)より、全国ロードショー R15
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