SNIKT!(原作コミックで ウルヴァリンの拳から爪がとびだすときの擬音)
『アイアンマン3』『マン オブ スティール』の後、2013年のアメコミ系スーパーヒーロー映画の大トリを務める『ウルヴァリン:SAMURAI』!皆さん、安心してください!!"鉄の男たち"の大活躍をうけ、我らが"アダマンチウム男"は、ビシっと決めてくれました!以下、極力、ネタバレのないようにレビューです!
まず、この作品は、
①X-MEN映画ではない
②これからの、X-MEN映画サーガの重要なパートを担う映画である
ということです!
ウルヴァリンのスピンオフ第二弾ですが、前作「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(09)とは大きく異なる作品です。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」は、やはり"X-MEN ZERO"部分に、やや重きがおかれていて、X-MEN映画の1バリエーションという感じでした。
しかし、本作「ウルヴァリン:SAMURAI」は、あくまで、ウルヴァリンというキャラクターの魅力・面白さが反映されたアクション映画であり、とても良く出来た"スピンオフ"なのですね!
その意味において、X-MEN映画ではないわけです。
というのも、09年版では、というか、今までのX-MEN映画では、ウルヴァリンが戦うのはミュータントであり、愛する女性もミュータントでした。
従ってアクションの見せ場も、ミュータントVSミュータントの超人バトルだったし、恋愛部分も、男と女というより、ミュータント同士の共感性が根底にあったように思います。
しかし、「ウルヴァリン:SAMURAI」は、戦う相手も、愛する女性たちも、ミュータントではなく、普通の人間なのです。なので、
"超能力をもったヒーローが活躍する、近未来SF・アクション"ではなく
"特異なスキルを持ったタフガイが活躍する、男気系バイオレンス・アクション"として仕上がっています。
なによりも僕らが観たかった、ワイルドでハードなウルヴァリンの肉弾戦をタップリ見せてくれます。
そう!ミュータントと戦うウルヴァリンよりも、「X-MEN2」(03)で、エグゼビアの学園に、特殊部隊が突入して、それをバッサ バッサとウルヴァリンが倒していく、あのテンションが好きな方なら、
とにかくウルヴァリンと、日本の武装集団との、増上寺 アキハバラ 新幹線 までの市街戦に燃えます!
この新幹線までの壮絶アクションのあと、日本人マリコとウルヴァリンの心のふれあいのドラマになります。
日本ロケ=鞆の浦(とものうら)の風景が、きいていてちょっと微笑ましい2人の逃亡生活が描かれます。(映画の設定では"長崎"の港町です)
今回、マリコ役のTAOさんは、女優初挑戦だそうですが、このマリコ素敵です。
大変失礼な言い方なのですが、観ているうちに、ドンドン彼女のことが好きになってしまいました。
雰囲気があるんですね。そして、ウルヴァリンを守る「くの一」ユキオ!
福島リラさんが、クールかつキュートな女忍者をつくりだしてくれました!
アクションもかっこいいし、ウルヴァリンのパートナーとして大活躍するのです。
ユキオに、絶体絶命のピンチがおちいったときに、ウルヴァリンが「俺の友だちに手を出すんじゃねえ!」とユキオを助けます!
このシーン、心からしびれました!
というのも、ウルヴァリンの、そのコトバ、その気持ちに、まさに「意義なし!」
それくらい、ユキオは、ウルヴァリンのために、けなげに そして 頼もしく戦うのです!
彼女のフィギュアが欲しい!
この映画は、構成もよくできていて、この鞆の浦(とものうら)のシーンのあと、ノンストップ・アクション展開!
真田広之さん、忍者、妖艶なミュータント、お待たせしましたシルバーサムライとのバトルが展開されます!
このあたりは、いわゆるザッツ スーパーヒーロー映画なのですが、この映画のトーンを壊すこともなく、盛り上がります!
シルバーサムライの設定は、原作コミックと大きく変えてあるのですが、「アイアンマン3」のマンダリンほど極端ではなく、またちゃんと"強敵"しているのでご安心ください!
今までのX-MEN映画が、いずれも "ミュータントと人類との確執"というテーマから逃げていなかったので、SFアクションでありながらも、ディスカッション映画的な要素があったわけですが(=そこが、このシリーズの魅力なのですけど)、本作は、その呪縛からぬけ、ウルヴァリンという素材の良さを活かしきっていると思います。
では、X-MEN映画の伝統を、本作が断ち切っているのか?
というとそうでもない!
むしろ、06年に一度終わった、旧X-MEN映画三部作を復活させる役割を本作は担っているのです!
まず、この作品が、06年の「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」のストレートな"続編"である、ということです。
「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」で、最愛の女性ジーンを殺したことで、完全な世捨て人となったウルヴァリンが、自分を取り戻す物語なのです。
僕は「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」を、高く評価しているので、「ウルヴァリン:SAMURAI」が、その流れを引き継いでいることが素直にうれしかった。
そしてエンド・クレジットの途中に、お楽しみシーンが挿入されているのですが、これは来年公開予定の次回作「X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題)」につながるのです!
センチネルズへの伏線もお見逃しなく!
「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」で心が折れたウルヴァリンが、
「ウルヴァリン:SAMURAI」で立ち直り、そして
「X-MEN:デイズ オブ フューチャーパスト(原題)」の戦いに向けて立ちあがる・・・
そういう意味で、「ウルヴァリン:SAMURAI」は、
これからのX-MEN映画サーガの重要なパートを担う映画
なのです。
4年ぶりの、ウルヴァリンとの再会!心から楽しんでください!傑作です!!!
(杉山すぴ豊)
【参照リンク】
・『ウルヴァリン:SAMURAI』公式サイト
http://www.foxmovies.jp/wolverine-samurai/
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