RZA。レザと読む。彼はHIPHOP界の伝説ウータン・クランのリーダーを務める生粋のヒップホッパーにして、グループ名にもカンフーの意を込めるカほどのカンフーオタクだ。彼らのPVがカンフーテイストになっているのは知っている人もいるだろう。RZAは映画界にも活躍の場を広げ、劇中音楽はもちろん、俳優としても活躍している。特にクエンティン・タランティーノとの親交が深く、『キル・ビル』シリーズや最近の『ジャンゴ 繋がれざる者』でも音楽を担当。その縁もあり、タランティーノがプレゼンツ(アドバイザー的立ち位置)、RZAが監督・脚本・主演・音楽を務めたのが『アイアン・フィスト』だ。
この映画、全てにおいて超規格外だ。タランティーノプレゼンツに始まり、共同脚本にイーライ・ロス、主人公を助ける謎の西洋人にラッセル・クロウ、男たちが安らぐ娼館の主人をルーシー・リューが演じている。さらにショウ・ブラザーズ映画の大御所たちリュー・チャーフィーやチェン・カンタイ、レオン・カーヤンが名を連ね、ジェット・リー作品で武術指導をするコリー・ユンが本作でも武術指導を務めている。久しぶりのスクリーンで映えるルーシーの妖艶で華麗なるワイヤーアクションに目を奪われるが、それよりもラッセル・クロウの三枚目ぶりに驚愕する。娼館で3人の女を一気に相手する(エロい意味で)豪気ぶりには今までの無骨な彼のイメージを完全に破壊してくれる。『新宿インシデント』のダニエル・ウーやタランティーノ組でお馴染みのパム・グリアもすごい使い方をされているので注目。
カンフー映画にしては珍しいゴア描写をふんだんに盛り込んでいるグラインドハウス感も非常に痛快で、タランティーノらしさがここに一番垣間みられる。吹き出す血や飛び出す目玉、これは本場のカンフー映画には見受けられない描写で、アメリカ人がカンフーを撮るということが功を奏していると言えよう。ラッセル演じるジャックが持つ銃はクルクルと回転する剣にもなっており、オトナのオモチャ感覚なギミックで敵を八つ裂きにするのでもう笑うしかない。
RZAが影響を受けたのはブルース・リーをはじめとするカンフー映画にとどまらず、日本のアニメカルチャーにも多大な影響を受けている。その最たるものが「北斗の拳」だ。黒い衣装と深くかぶったフードはまさしく荒野を行くケンシロウそのもの。出てくる宿敵軍団"群狼団"たちの出で立ちも「お前はもう死んでいる」と言われるのを今か今かと待ちわびる敵キャラそっくり!極め付けは「秘孔をつく」シーンも出てくるのでお楽しみに。
黒人+ヒップホップ+カンフー+タランティーノ+ルーシー&ラッセル+本場カンフー映画の大御所+ガジェット+北斗の拳。完全にキャパを超える規格外な展開が容易に予想されるが、その先の「=」を是非劇場で確かめてもらいたい。
『アイアン・フィスト』は8月3日(土)渋谷シネクイントほか全国公開
【参照リンク】
・『アイアン・フィスト』公式サイト
http://ironfists.jp/
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