時々、見逃したことを後悔する映画があります。「ジャッジ・ドレッド」はまさにそれ!でも、まだ間に合います!劇場でドレッドに会えなかった人は、DVDかブルーレイに急げ!
正直、これほどの傑作!とは思いもしませんでした!
本作について語る前に、どうしても 95年のスタローン版「ジャッジ・ドレッド」についてふれておきましょう。この作品は、近未来SFアクション映画としては、それなりに面白くつくってあります。恐らく当時のスタローンとしては、ライバルのシュワちゃんが、「ターミネーター」や「プレデター」、「バトルランナー」「トータル・リコール」等のSFアクション映画で成功していたので、自分もこの路線をやりたかったのではないか?それが証拠に、93年に、近未来ポリスアクション「デモリッションマン」に出演しています。またジャッジ・ドレッドの俺が法だ!的スタンスは、86年の「コブラ」のキャラに通じるものがあります。
さて、このスタローン版を否定するときに、「スタローンがヘルメットをとるからダメなんだ」的なコメントがありますが、実はジャッジ・ドレッドは、原作コミックでは、 "ヘルメットをとって、人前で素顔を見せない"という掟があるり、今回の映画版「ジャッジ・ドレッド」は、なんと、その設定を忠実に守っているのです!
これは、演じる役者さんにとっては、決してメリットがあることではないと思うのですが、主演のカール・アーバン氏は見事にそれをやってのけました。
逆にセリフ回しとか、口元だけで演技する、というのは、役者としてトライしてみたかったことなのかもしれません。
このカール・アーバン氏は「ロード オブ ザ・リング」でブレイク。その後「RED/レッド」やなんと言ってもエイブラムスの「スター・トレック」のマッコイの好演で、いまのSF&ファンタジー映画のギークたちには、とても刺さっている俳優さん。だから、彼がドレッドを演じると聞いたとき、ギークたちは喜んだし、ヘルメットをとらないと彼が宣言したとき、拍手喝采でした!
ちなみに、この「ジャッジ・ドレッド」は、昨年のサンディエゴ・コミコン(=アメリカ最大の、この手のオタクの祭典)で、確か会場近くの映画館でプレビューがりました。。僕は、そこに並んでいるファンたちが、本当に嬉しそうに行列していた姿を目撃しました。
とは言え、まあ昨今のコミック原作のヒーロー映画に便乗して、ギークに人気の高いカール・アーバン氏を起用して映画化、、という安直な企画と思っていたのですが、これが、アクション映画として近来稀にみる傑作に仕上がっていたのです。
本作の成功の要因は、舞台を閉鎖空間にしたこと。
そして、まわりが皆、という「ダイ・ハード」×「ニューヨーク1997」的な、燃えるドラマが炸裂しているからでしょう。
基本ガン・アクションなのですが、「口頭指示によって銃弾のタイプが変わる」、それによって「破壊効果も変わる」という設定を上手く活かして、様々な活劇の見せ場を作ることに成功しています。これは「アベンジャーズ」で、ホークアイが、瞬時に矢に施す仕掛け=ギミックを瞬時に変えることで、アクションのバリエーションを楽しませてくれた、のと同じ面白さがあります。
マシーンのようなドレッドと、人間味あふれるルーキー美少女というバディもので、観客の感情移入パートを、この女子ルーキーにしようとしていたのでしょうが、僕は、このマシーンである、ドレッドの方に魅入られてしまいました。
他のアメコミ・ヒーロー映画(ちなみにドレッドは、アメコミでなくイギリスのマンガ)が、主人公の人間味を見せることで、観客との共感性を作っていくのに対し、ジャッジ・ドレッドにはそれがない。しかし、プロに徹して、徹底的に職務に忠実である、というプロ意識が、とてもかっこよく、ここに共感、というか憧れを感じてしまいました。
まあこのマシーン人物に共感できるのは、カール・アーバン氏の演技力のおかげですね。
敵の女ボス"ママ"の狂気具合もいい!「300」の王女やターミネーターをモチーフにしたTVドラマ「サラ・コナークロニクル」のサラ・コナーですからね!きれいな人ですが今回は怖い!!
アクション・エンタテイントとして一級ですが、なによりも この無慈悲&無感動キャラにいつしか感動できてしまう、、そこが素敵です!
米英では、批評家受けもよく、またDVD&ブルーレイの売り上げもいいそうなので、続編制作が動き出すそうです。今度は顔が見える??
傑作です!
(杉山すぴ豊)
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