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映画『ヒッチコック』が12月7日、全米で公開される。オスカー俳優アンソニー・ホプキンスがホラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックを演じるこの映画は、ヘレン・ミレン演じる妻とヒッチコックの関係、そしてサイコサスペンスの金字塔『サイコ』の撮影シーンが中心となっている。今回は<moviefone>による、映画の満足な点と不満な点をそれぞれご紹介します。

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満足:『リンカーン』より面白い

『ヒッチコック』には、伏線が多く張られた脚本をベースに明るく豪華な演出が施されており、また監督への敬愛もしっかりと盛り込まれている。『サイコ』と いうダークサスペンスを扱っておきながら、快活で上品な作品だ。スティーブン・スピルバーグ監督の歴史大作『リンカーン』が退屈で、古臭い映画に思えてしまう程だ。

不満:"ヒッチコック・テイスト"がもう少し欲しかった
この映画は、映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』で知られるサーシャ・ガヴァシが監督をしており、メイクアップや構図、カメラの使い方などでヒッ チコックの映画通りにしようと試みているシーンがいくつかあるが、彼の映画のようなスタイリッシュさに欠けているシーンも目立つ。ヒッチコック作品のよう な美しいビジュアルを全編通じて表現できていたのであれば、この映画はもっと素晴らしい映画になっていただろう。

満足:素晴らしいキャスト
アンソニー・ホプキンスのヒッチコックとしての演技は完ぺきで、いたずら好きと言われていた本人を見事に表現しきっている。しかし、この映画の見所は女優陣だろう。妻役のヘレン・ミレン、官能的なジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソン、妊娠したことで『めまい』のヒロイン役を降板しヒッチコックから嘲笑されたヴェラ・マイルズ役のジェシカ・ビール、またヒッチコックの秘書役のトニ・コレットなどがしっかりとした演技を見せている。

不満:今ひとつ努力が足りない印象
この映画は「DVDの付録によくある撮影現場などを収めた特典映像のようだ」という声もあるようだが、ヒッチコックと妻アルマの関係を中心にしたストーリーが設けられているため、その評価は間違っているだろう。しかし、非常に瞑想的で奇妙であると同時にコミカルなこの映画は、楽しめる人がいる一方、焦点が絞りきれていないと不満に思う人も少なくはないだろう。尚、権利問題によるものなのかどうかは分からないが、『サイコ』の撮影シーンではベイツ家の内部が使用されていない点や、フルカラーのため『サイコ』のモノクロ感が出ていない点など、あと一歩努力が足りなかった印象が残る。

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