ただの映画なのは分かってる。何も気にしなくてもいいはずなんだ。でも僕は6歳だったころからジェームズ・ボンドのファンだったから、やっぱり本当に気になる。
人は一番好きなボンドの役者がいる。でも僕にとってはキャラクターを演じる人よりもその映画の方が大事なんだ。例えば、コネリー主演で一番好きなのは『ゴールドフィンガー』、ムーア主演は『死ぬのは奴らだ』、ブロスナン主演は『トゥモロー・ネバー・ダイ』、ダルトン主演は『消されたライセンス』だ。この最後の映画は、フレミングのいくつかの作品から要素を取り入れていたけど、トーンもストーリーも原作に一番近かったと思う。当然レーゼンビー主演の一番好きな映画については話してない。彼がもう一本の映画に出演できなかったことが残念。でもコネリーが『女王陛下』にスターしなかったのも残念だ。最後のシーンを彼がやっていたら本当にすごかったに違いない。
『カジノ・ロワイヤル』のダニエル・クレイグは素晴らしかった。『ダイ・アナザー・デイ』のひどいCGIでいとも簡単に消えてしまえたキャラクターを蘇らせた。『慰めの報酬』は期待して首を長くして待っていた。しかし結局それは『キル・ビル Vol.2』のような、すでに終止符を打ったお話を続けたストーリーだったことにどれほどがっかりしたことか。
だから僕は『スカイフォール』を複雑な思いで待っていた。『慰めの報酬』ほどひどくはないだろうか? 時代背景は?『カジノ・ロワイヤル』ではボンドが彼の007の敬称を得るところを見た。だからそこからの続きで、これから彼の冒険を見ることになって、そして将来は結婚して奥さんが殺されてしまうのか? またはこれは全て過去に起きたことで今回の映画ではもう先に進んだのだろうか?
映画は、実は両方が混ざったものだった。ネタバレ注意! 彼は初めてマニーペニーと会うが、既に『ゴールドフィンガー』からのアストンマーチンを持っている。
まあ僕のもったいぶりはしばらく脇に置いて映画について話そう。銃が出てくるシーンで始まるかなと期待していたが、残念ながらそれをスタートに持ち出すのはまだ早いようだ。『カジノ・ロワイヤル』を思わせるオープニング・シーンは素晴らしかった。シネマで座っていた僕はアデルが主題曲を歌うのをにこにこしながら聞いていた(曲は構わなかったが、『name/number』の歌詞はいらなかったかな)。
そうして映画は続き、僕の笑顔はゆっくりながらも確実に消えてしまった。各シーンをレビューすることはしない。本当はしたいんだが。でもこれはいくつかのヒット・フランチャイズのハイブリッドだと言えば十分だろう。ダークナイトのジョーカー(と『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターのミックス)のコピーがいるし、ボーン・シリーズのようにビーチで自分が誰だか分からない男がいるし、ハリーポッターから善vs悪の最後の闇での戦いがある(おまけにハグリッドまで出てくる)、そして24のコンピューターのハッキングと本部を動かすシーンがある。
脚本家の名前が三人出て、それが良い前兆であることは滅多にない。脚本はとても曖昧だった。誇大妄想症のやつが復讐を得ようとするのはよかったが、脚本が不十分だった。モノローグがあまりにも長くて芝居でも見ているのかと思う時があったほどだ。悪い芝居をね。
サム・メンデスは明らかにUKが大好きで、この映画はオリンピックに続いてロンドンのPR作戦だ。地下鉄での無意味な追跡シーンは首都の観光客集めのためだったに違いない。プロダクト・プレイスメントについては感情的になってしまうから話さないことにしよう。
前の映画でMを上手に演じていたジュディ・デンチだが、この映画ではかなり哀れに描かれている。彼女のストーリーは初めてレイフ・ファインズ演じるマロリーと会う時から明白だ。それに一時は詩を暗唱する。詩だよ!!!『フォー・ウェディング』じゃないんだから!
他のキャラクターたちは背景に溶け込んでいる。新しく若いQがボンドに「もう爆発するペンはしないんだよ」と話す時はだまされた気分がする。
そして肝心なボンドは? 彼はずっと「ダニエル、もう少し不機嫌になれないかい?」と指示されていたとしか思えない。脚本家たちは余談や皮肉を入れようとしたけど、いずれも面白くもうまくもなかったし、描かれているキャラクターとは全く対照的だった。
あ、それからこのボンド映画は初めて下品な言葉を使っている。子供たちを幸せにしておくためだろう。
最後のシーンは多かれ少なかれフランチャイズを立ち上げ直している。『カジノ・ロワイヤル』がもうすでにしていたはずなのだが。
僕はだまされた思いでシネマを出た。これはジェームズ・ボンドの映画のはずだった。彼らは長い対話のシーンをアクションで置き換えれたし、暗い場面を愉快な場面に置き換えて、そしてあれもできたし... これもできたし... もっといい映画を作れたはず。
(原文:Skyfall - A Review to a Kill)
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ベネット・コーエン
スタンドアップ・コメディアン
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人は一番好きなボンドの役者がいる。でも僕にとってはキャラクターを演じる人よりもその映画の方が大事なんだ。例えば、コネリー主演で一番好きなのは『ゴールドフィンガー』、ムーア主演は『死ぬのは奴らだ』、ブロスナン主演は『トゥモロー・ネバー・ダイ』、ダルトン主演は『消されたライセンス』だ。この最後の映画は、フレミングのいくつかの作品から要素を取り入れていたけど、トーンもストーリーも原作に一番近かったと思う。当然レーゼンビー主演の一番好きな映画については話してない。彼がもう一本の映画に出演できなかったことが残念。でもコネリーが『女王陛下』にスターしなかったのも残念だ。最後のシーンを彼がやっていたら本当にすごかったに違いない。
『カジノ・ロワイヤル』のダニエル・クレイグは素晴らしかった。『ダイ・アナザー・デイ』のひどいCGIでいとも簡単に消えてしまえたキャラクターを蘇らせた。『慰めの報酬』は期待して首を長くして待っていた。しかし結局それは『キル・ビル Vol.2』のような、すでに終止符を打ったお話を続けたストーリーだったことにどれほどがっかりしたことか。
だから僕は『スカイフォール』を複雑な思いで待っていた。『慰めの報酬』ほどひどくはないだろうか? 時代背景は?『カジノ・ロワイヤル』ではボンドが彼の007の敬称を得るところを見た。だからそこからの続きで、これから彼の冒険を見ることになって、そして将来は結婚して奥さんが殺されてしまうのか? またはこれは全て過去に起きたことで今回の映画ではもう先に進んだのだろうか?
映画は、実は両方が混ざったものだった。ネタバレ注意! 彼は初めてマニーペニーと会うが、既に『ゴールドフィンガー』からのアストンマーチンを持っている。
まあ僕のもったいぶりはしばらく脇に置いて映画について話そう。銃が出てくるシーンで始まるかなと期待していたが、残念ながらそれをスタートに持ち出すのはまだ早いようだ。『カジノ・ロワイヤル』を思わせるオープニング・シーンは素晴らしかった。シネマで座っていた僕はアデルが主題曲を歌うのをにこにこしながら聞いていた(曲は構わなかったが、『name/number』の歌詞はいらなかったかな)。
そうして映画は続き、僕の笑顔はゆっくりながらも確実に消えてしまった。各シーンをレビューすることはしない。本当はしたいんだが。でもこれはいくつかのヒット・フランチャイズのハイブリッドだと言えば十分だろう。ダークナイトのジョーカー(と『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターのミックス)のコピーがいるし、ボーン・シリーズのようにビーチで自分が誰だか分からない男がいるし、ハリーポッターから善vs悪の最後の闇での戦いがある(おまけにハグリッドまで出てくる)、そして24のコンピューターのハッキングと本部を動かすシーンがある。
脚本家の名前が三人出て、それが良い前兆であることは滅多にない。脚本はとても曖昧だった。誇大妄想症のやつが復讐を得ようとするのはよかったが、脚本が不十分だった。モノローグがあまりにも長くて芝居でも見ているのかと思う時があったほどだ。悪い芝居をね。
サム・メンデスは明らかにUKが大好きで、この映画はオリンピックに続いてロンドンのPR作戦だ。地下鉄での無意味な追跡シーンは首都の観光客集めのためだったに違いない。プロダクト・プレイスメントについては感情的になってしまうから話さないことにしよう。
前の映画でMを上手に演じていたジュディ・デンチだが、この映画ではかなり哀れに描かれている。彼女のストーリーは初めてレイフ・ファインズ演じるマロリーと会う時から明白だ。それに一時は詩を暗唱する。詩だよ!!!『フォー・ウェディング』じゃないんだから!
他のキャラクターたちは背景に溶け込んでいる。新しく若いQがボンドに「もう爆発するペンはしないんだよ」と話す時はだまされた気分がする。
そして肝心なボンドは? 彼はずっと「ダニエル、もう少し不機嫌になれないかい?」と指示されていたとしか思えない。脚本家たちは余談や皮肉を入れようとしたけど、いずれも面白くもうまくもなかったし、描かれているキャラクターとは全く対照的だった。
あ、それからこのボンド映画は初めて下品な言葉を使っている。子供たちを幸せにしておくためだろう。
最後のシーンは多かれ少なかれフランチャイズを立ち上げ直している。『カジノ・ロワイヤル』がもうすでにしていたはずなのだが。
僕はだまされた思いでシネマを出た。これはジェームズ・ボンドの映画のはずだった。彼らは長い対話のシーンをアクションで置き換えれたし、暗い場面を愉快な場面に置き換えて、そしてあれもできたし... これもできたし... もっといい映画を作れたはず。
(原文:Skyfall - A Review to a Kill)
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ベネット・コーエン
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