クラウドファンディングサイトとしておなじみのMakuakeは7月29日、Makuake Global Planの提供を開始した。具体的には、日本進出を考えている海外企業に、技適(技術基準適合証明、技術基準適合認定)取得のサポートや日本語でのカスタマーサポート体制の構築などを支援する。

Makuake Global Planは、主に同社の海外専門チームが対応する。同社には現在、台湾、香港、中国、韓国などのアジアや米国を中心に、現地企業と現地言語で直接やり取りできるキュレーターが在籍している。日本特有の商習慣や文化、価値観などを現地言語で共有することで、言語や文化と言った障壁を低くするのが狙いだ。

具体的には、日本市場および日本のユーザーに合わせた進め方や訴求方法、コミュニケーションの取り方などを共有し、必要に応じて翻訳者や制作会社を紹介。もちろん、希望する海外事業者については代理店との契約も仲介する。国内のMakuake製品と同様に、広報やマーケティングの担当者も付けてPR活動などをサポートしていくという。

Makuake初の海外企業プロジェクトは、2016年11月に開始したスマートフォンに装着可能な360度カメラ「Pi SOLO」。この製品は、台湾パソコン受託生産大手であるQuanta Computer(クアンタ・コンピュータ)によるプロジェクトだ。同社初の自社ブランド製品となることもあり、日本市場に参入するためまずはクラウドファンディングを活用した。Makuakeが前述のようなサポートを実施した結果、日本での一般販売も実現したという。
Makuakeではこの成功をきっかけに海外専門チームの拡充を図り、台湾Minfort(ミンフォート)の木製スピーカー「MIN7」や、同じく台湾XROUND(エックスラウンド)の小型サラウンドプロセッサー「XPUMP」、韓国welle(ウェレ)の360度スピーカー内蔵サイドテーブル「Mellow」、香港Vinpok(ヴィンポック)のワイヤレスメカニカルキーボード「Taptek」、米国MOFT(モフト)の薄型ノート PCスタンド「MOFT」などを手がけた。

Makuakeで代表取締役を務める中山亮太郎氏よると「Makuakeでは、韓国や台湾、中国・深センなどで定期的にセミナーや商談会を開催し、現地企業と関係を深めてきた」とのこと。その結果、韓国のクラウドファンディングサービス「Wadiz」、台湾を拠点とするECプラットフォーム「citiesocial」や「uDesign」との業務提携を締結。「今回Makuake Global Planを公にしたことにより、海外企業が日本に進出する際のサポートをより積極的に進めていきたい」と中山氏。これらの提携により、逆に日本企業が海外へ進出する際に、Makuakeを窓口として提携先の海外パートナーへ紹介するといった支援も進めていくそうだ。

最近のMakuakeは、資金調達のためのクラウドファンディングサイトというよりも、海外企業のテストマーケティングの場となっていることについて中山氏は「どういった目的にせよ商流を円滑にすることを目指しており、Makuakeが海外企業が日本に参入する際の足がかりになるように支援したい」と語る。

有力な海外企業についてはすでに日本の代理店が付いているのでは?という問いに中山氏は「直輸入で入ってきている製品はありますが、日本のユーザーが知らない企業やプロダクトはまだまだある」とのこと。前述のように、言語や商習慣の壁によってそもそも日本にアプローチできない企業のほうが多いそうで、そういった企業を現地言語を話せるMakuakeのキュレーターがピックアップしていくそうだ。

ちなみに海外企業からの問い合わせについてはハードウェア関連が多いとのこと。「中国や韓国の企業は米国進出よりも、世界第3位の市場である日本への進出を真っ先に考えているところもある」と中山氏。アジアに中国を中心にはさまざまなガジェットを開発・販売している企業があるが、個人で掘り出し物を見つけるのはなかなか難しい。Makuake Global Planが言語と商習慣の壁を取り除くことで、さまざまな企業のアイデア満載のプロダクトが国内で手に手軽に入る未来に期待しよう。

この記事はTechCrunch Japanからの転載です。

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