先週初めにニューヨークを含むアメリカ東海岸に甚大な被害をもたらしたハリケーン「サンディ」。ニューヨークのエンターテインメント界への影響をAP通信の記者ヒレル・イタリーが伝えている。
「サンディ」の襲来から2日以内には再開していたブロードウェーの劇場とマンハッタンはミッドタウンにある複数のTV局。だがオフ・ブロードウェーの劇場や独立系の映画館、ローワー・イースト・サイドのコンサートホール、そしてチェルシーにあるギャラリーなどは、先週土曜日に再び電気が使えるようになったばかりだ。
ニューヨークでのテレビや映画の撮影などをつかさどるMayor's Office of Film, Theatre & Broadcastingは初めて、必要に応じた屋外の撮影の許可証の発行を始めた。だがスタテン島やブルックリンの一部が含まれる"A区域(Zone A)"での撮影許可は(この記事が書かれた11月5日現在)まだ下りていない。
また、「サンディ」がNYの映画やTV業界にもたらした損失の金額は明らかになっていない。ブロードウェーでの週末興行成績は「サンディ」のため、月曜日から火曜日へと発表がずれ込んだ。ブロードウェーよりも長い期間停電が続いたダウンタウンのオフ・ブロードウェーの劇場は軒並み、観客を呼び戻そうと「サンディ」と言えばチケットを割引するサービスを展開している。また、アップタウンのカーネギー・ホールでの公演も中止に追い込まれている。ホール周辺の道路(57丁目)は、「サンディ」の影響で高層ビルの上部にあったクレーンが破損し垂れ下がっているため、1週間あまり閉鎖されているのだ。
多くのダウンタウンの劇場などにとって、1週間近く営業ができないのはかなりの打撃だ。NYでも人気の高い映画館の1つFilm Forumもまた、停電で6日間の閉鎖を余儀なくされた(現在は再開)。
複数の映画製作に遅れが出る中、ハリウッドは比較的うまく乗り切っているほうだろう。一時は300あまりの映画館が閉鎖されたが、週末までにはほとんどが再開している。
週末の興行成績は軒並み好調で、これはハリケーンが襲った東海岸でも同じだった。多くの人々が(停電で暖房が使えない自宅よりも)温かい劇場への避難を考えたようだ。ディズニーの新作『シュガー・ラッシュ(原題:Wreck-It-Ralph)』は4,900万ドルを、パラマウントの『フライト』は2,490万ドルと、共に期待を超える結果となったのだ。一方、多くのメディアにとって、「サンディ」に立ち向かうのは容易ではなかった。中でも『New York』誌は、親会社ニューヨーク・メディアのミッドタウンオフィスにある会議室へと移る羽目に。
11月14日(水)に開催予定の全米図書賞は今のところ中止にはなっていないが、主催のナショナル・ブック・ファウンデーションは洪水のため閉鎖中で、少なくとも今週中の再開はない模様。審査員が宿泊する予定だったホテルは水があふれたため、別のホテルに変更しなければならないという。
そして音楽界では、地元NYのバンド、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンが11月3日、バワリー・ボールルームにてコンサートを開催。売り上げの一部は赤十字とハリケーンの復興のために寄付されるという。バンドのボーカル&ギターのジョン・スペンサーは「俺たちはマンハッタンのダウンタウンに長年いる。だから嵐の後にプレイする最初のバンドの1つってことは、俺たちにとって重要なのさ」とバンドのウェブサイトにメッセージを掲載した。
米人気バラエティー『サタデー・ナイト・ライブ』はホストにルイス・C・Kを迎えて再開。視聴者に向け、「関係者は皆疲れているけれど、"自分たちは素晴らしいショーを作るんだ"という意気込みが感じられる」とメッセージを出している。
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