2017年アカデミー賞は予想された受賞候補が順当にノミネートされた。
『ラ・ラ・ランド』、『ムーンライト』それに『メッセージ』の3作品がその大半を占めている。しかし、中には超意外なノミネーションや選考から漏れたものがあったので、ご紹介しよう。
1. エイミー・アダムス
過去5回ノミネートされているので選考委員のお気に入りかと思われていたが、2016年に『メッセージ』と『Nocturnal Animals(原題)』に出演し、受賞を有力視されていたにもかかわらず、結局ノミネートを逃した(ただし『メッセージ』は他8部門でノミネートされている)。
また、『20th Century Women(原題)』のアネット・ベニングや『Hidden Figures(原題)』のタラジ・P・ヘンソンが主演女優賞を獲るのではないかと思っていた人には残念な結果となった。反面、受賞レースでは目立たなかったルース・ネッガが『ラビング 愛という名前のふたり』で主演女優賞にノミネートされたのはおめでたいことだ。
2. マーティン・スコセッシと『沈黙』は落選
スコセッシもアカデミー賞ではお馴染みで、『沈黙-サイレンス-』は今年注目される作品と期待されていたが、ノミネートは撮影賞のみに留まった。実は、アカデミー賞以外の賞にも『沈黙』はそっぽを向かれてしまい、作品は痛手を負った。その傷口に塩を擦り込むわけではないだろうが、『沈黙』に出演したアンドリュー・ガーフィールドが主演男優賞にノミネートされたのは『Hacksaw Ridge(原題)』の方である。
3. メル・ギブソン
ところで『Hacksaw Ridge』は作品賞、監督賞など6部門でノミネートされている。メル・ギブソンにハリウッドもようやく全面的にお許しを出したらしい。
監督賞には他にデンゼル・ワシントン(『Fences(原題)』)、ガース・デイヴィス(『LION/ライオン ~25年目のただいま~』)がノミネートされたが、『最後の追跡』のデビッド・マッケンジーはノミネートを逃した。
4. ヒュー・グラント落選
『マダム・フローレンス!夢見るふたり』からメリル・ストリープがノミネート(これが通算20回目!)され、衣装デザインでもノミネートされた。グラントは助演男優賞でのノミネートが有力視されていたが、この部門では予想外が多発した。
今シーズンの賞レースではあまり話題に上らなかったルーカス・ヘッジズが『Manchester by the Sea(原題)』で助演男優賞にノミネートされ、同作品の計6部門ノミネートに貢献した。また『Nocturnal Animals』のマイケル・シャノンが、ゴールデン・グローブ賞受賞のアーロン・テイラー=ジョンソンを抑えてノミネートされた。
5. 愛想を尽かされたピクサー
皆が大好きなアニメーション・スタジオがノミネートを逃したのはいつだっただろうか? 『ファイディング・ドリー』は撃沈し、昨年人気だった『SING/シング』『ペット』や『Trolls(原題)』などもノミネートされなかった。
長編アニメーション映画賞には、海外の意外な作品がいくつかノミネートされた。『My Life as a Zucchini(原題)』(ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされていたので、そこまで意外ではない)や、スタジオジブリが製作したセリフの一切ないファンタジーロマンス、『レッドタートル ある島の物語』である。こちらは昨年のカンヌ国際映画祭で、特別賞を受賞したが、そこまで反響があったわけではないので、意外であった。
6. 『デッドプール』
大ヒットしたスーパーヒーローのパロディは、作品賞や、主演男優賞を取るとは思わなかったが、脚色賞や、編集賞、録音賞、そしてメイキャプ&ヘアスタイリング賞すらも、何にもノミネートされなかった。ライアン・レイノルズがわざわざ恐ろしいほどのメイクをしたのに残念である。
7. ヴィゴ・モーテンセン
『はじまりへの旅』で、彼が主演男優賞にノミネートされたのは、驚くほどのことでもないが、それでも期待はしていなかった。今回は、2度受賞したトム・ハンクス(『ハドソン川の奇跡』)や、『Loving(原題)』 でルース・ネッガと共演したジョエル・エドガートンはノミネートされなかった。
8. 「The Empty Chair」
ドキュメンタリー映画が、主題歌賞にノミネートされる楽曲を生み出すのは珍しい。しかし、『Jim: The James Foley Story(原題)』で、処刑されたジャーナリスト、ジェームズ・フォリーについてスティングが書いた曲が、ファレル・ウィリアムスの「Runnin」(『Hidden Figures』)や、シャキーラの「Try Everything」(『ズートピア』)、スティーヴィー・ワンダーとアリアナ・グランデの「Faith」(『SING/シング』)といった、有力な候補と思えた楽曲を抑えてノミネートされた。
9. 不振だった『20th Century Women(原題)』
アカデミー賞受賞作の『人生はビギナーズ』で知られるマイク・ミルズ監督の最新作は、今年も監督賞へのノミネートや、同作品に出演しているアネット・べニングとグレタ・ガーウィグらの女優賞へのノミネートが期待されていた。しかし、ミルズ監督の脚本賞のみのノミネートにとどまった。
とはいえ、ミルズは少なくとも脚本賞にはノミネートされた。予想されていた『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』や『ズートピア』は、同賞にはノミネートされなかった。
10. 『Hunt for the Wilderpeople』は注目されず
ほとんど見られていないインディーズ映画の本作は、2016年の(そしてここ10年での)最高の映画の1つである。しかし、昨夏に公開されている間は見向きもされていなかった。同作は受賞に向けて宣伝活動をあまりしていなかった(何もしていない)ので、注目されなかったのは仕方ない。そして、もう1つのノミネートを逃したインディーズ映画は・・・?
11. 『シング・ストリート 未来へのうた』
この完璧な珠玉のインディーズ映画は、誰もが語るべきオリジナルミュージカル映画だと、自信を持って言える(悪いが『ラ・ラ・ランド』ではない)。このキャッチーな80年代の音楽と、共感できる成長物語は、見た者の多くを笑顔にしていたので、ノミネートされなかったのは非常に残念だ。
■参照リンク
http://www.moviefone.com/
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