俳優業だけでなく監督業もこなすハリウッドスター、ベン・アフレックが『バットマン vs スーパーマン』の次に選んだアンチ・ヒーロー、それはいくつもの顔を持つ謎の男"クリスチャン・ウルフ"だ。表の顔は田舎町のしがない会計士、しかし裏の顔は、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る裏社会の掃除屋。イーサン・ハント、ジェームズ・ボンド、ジェイソン・ボーンと、名だたる男たちに並ぶ新ヒーローとなった"クリスチャン・ウルフ"を作り上げたのは、『ウォーリアー』『プライド&グローリー』といった作品で演出と映像表現に定評のあるギャビン・オコナー監督。主演のベン・アフレッックと監督のギャビン・オコナーに話を訊いた。
--多くの監督がベン・アフレックさんと仕事をしたがっていますが、ギャビンさんがベン・アフレックさんを起用した理由は? 彼の魅力は何だと思いますか?
ベン・アフレック: それは簡単な質問だね。
ギャビン・オコナー: (笑) それなら彼が僕のために答えてくれるかな? 僕は、役者として、そして監督として彼の大ファンだったんだ。僕は彼のスケジュールが空いていると思わなかったんだよ。正直に言って、僕はベンのことを考えなかった。なぜなら、彼は『バットマン』の後、映画を監督すると聞いていたからだよ。でも、彼のエージェントが電話をしてきて、「スケジュールが空いている期間があって、彼が本作を好きかもしれない。どう思う?」と言ってきたんだ。
それで僕は、「いやあ、もしベンが気に入ってくれれば、素晴らしいよ」と答えたよ。その時、僕はまだ誰にも当っていなかった。ちょうど脚本のオプションを取ったところだったんだ。幸運なことに、ベンは今作に反応してくれて、電話で話したら、僕らが語りたいストーリーが一致していると感じた。ベンはこの映画の中の重心なんだ。もし監督と役者が、映画がどういうことを意図しているかについて同じ考え方をしていないと、問題が起きることになる。僕らは2人とも、同じストーリーを語りたがっていることに気づいたんだ。
--ベンさんは、多くのオファーが来る中でなぜ本作を選んだんですか?惹かれた理由を教えてください。
ベン・アフレック: まず、監督から始まるんだ。ギャビンの作品自体が(彼がいかに素晴らしい監督かを)語っているよ。そういうことから、僕は彼と仕事をすることにとても興味を持っていた。そして、一旦僕らが座って話をしたら、彼が今言ったように、僕らには共通するところがあり、映画の解釈の仕方がとてもよく似ているということが分かった。僕はとても興奮したよ。そしてこのジャンルの中で、まったく違うことが出来る機会だと思ったんだ。ユニークで、オリジナルで知的なことをね。とてもワクワク期待させられたよ。
--今作は、スーパーヒーロー映画のように感じられましたが、多くのスーパーヒーローものより、より人間的なところがありましたね。
ベン・アフレック: 僕が知っているのは、ギャビンと僕は、中心となるキャラクターに根ざしていない映画には興味がないということだけだよ。キャラクターに基づいたドラマの葛藤がない映画には興味がないということだ。だから、僕らは、この男、彼の人生、彼の内的人生、彼の心、彼が何をするか、彼がどのようにこれらのチャレンジに直面するか、という視点ですべてのことにアプローチしたんだ。
今では、特にインターナショナルにうまくいかせるために、大きな特撮がある。でも最終的には、キャラクターたちとコネクト出来るかどうかにかかっていると思う。『フレンチ・コネクション』は、素晴らしいチェースシーンがある。でも、本当にすごいのはジーン・ハックマンだ。ハンドルをバンバン叩いてね。観客はまさに彼とその場にいるように感じるんだ。
ギャビン・オコナー: そしてあの映画はいつも、、、『フレンチ・コネクション』で、彼のキャラクターについては何もわからない。文字通り、ストーリーは常に前に進んでいくんだ。そうだろう?
ベン・アフレック: そうだよ。そして、ストーリーを押し進めるのは、本当にキャラクターなんだ。
――監督は本作を制作するにあたり、参考にした映画や映画のキャラクターはありますか? 何かインスピレーションとなるようなものはありましたか?
ギャビン・オコナー: 特定の1本の映画を指摘することは出来ないよ。長年ストーリーを愛し、映画を愛してきたことだと思う。それは僕のDNAの一部なんだ。僕は本当に映画が大好きなんだ。ストーリーテリングというアイディアが、僕の中に強くあるんだよ。映画を作ることが出来、それでお金をもらえるなんて僕らは恵まれている。これは、無料でもやりたいと思う仕事のひとつだよ。これをやることが出来るということ、また題材を見つけて、そのストーリーを語る機会を持てるんだ。素晴らしいストーリーで、素晴らしいキャラクターなんだ。クリスについて大好きなのは、、、彼はある意味犯罪者だ。でも、彼にはコード(行動規範)いうものがあり、それはとても重要だと思う。僕はコードを持った犯罪者が好きだ。そして、彼にはそれがある。それはとても説得力があると思う。(質問に対する答えは)人生でずっと映画を吸収してきたということだよ。
――今回ベンさんが演じた役は、表の顔は普通の会計士、裏の顔は殺し屋という全く違う二面性を持つ役柄ですが、あなたには二面性がある、と皆が言っていました。周囲の人に、「こういう二面性がある」と言われたことはありますか?
ベン・アフレック: 僕らはみんなとても複雑だと思う。だから、人々を適切なちょっとしたサウンドバイツに要約したり分析するのはとても難しい。本当のところ、人間の行動でとても興味深いのは、直観がお互いに闘い合っていることだ。人々に手を差し伸べたり、コネクトしたいというクリスチャンの欲望は、彼自身の壁にぶつかるんだ。そういうふうに自分を表現するのがとても難しいんだ。僕は、自分自身の最悪の敵になりうる。僕はリスクを取るのが好きだ。僕は、物事をトライしてみるのが好きで、それはアーティストとしてとてもやりがいがあることなんだ。でもまた、アーティストとして災難に巻き込まれることにもなってきた。言ってることわかるかな?僕は、人生を最大限に、豊かに経験したいんだ。それは、ある意味、とても疲れることにもなりうる。それは純粋な二面性というより複雑さだと思う。僕らの中には、常に闘っている違う直観があるんだよ。それらは時々、自分たち自身に対してさえ未知のものだったりするんだ。
--ちなみにベンさんは数学は得意ですか?
ベン・アフレック: 数学?数学はまあまあだった。誰も、税金の準備をするのに僕を雇わないけどね。スプレッドシート(財務会計の)を見ることは出来る。でも、数学は、ファイティングよりももっと簡単に出来るフリをすることが出来ると言わせてもらうよ。
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
■関連リンク
映画『ザ・コンサルタント』
http://consultant-movie.jp
コメント
コメントを書く