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大気汚染が深刻化しているアフリカのガーナで、その"元凶"に対するユニークな試みが行なわれた。

https://player.vimeo.com/video/192472409


これはスイスのNGO<Public Eye(世間の目)>が、キャンペーン"Return to Sender(送り主に返そう)"の一環として行なったもの。彼らは、石油取引を手掛けるスイスの会社がアフリカの国を相手に安く買える燃料、つまり汚れた空気を排出するディーゼルを販売し、それが原因で現地の人々の健康被害が出ていることに着目。弱い立場にあるアフリカの人々の現状を、その当事者であるこの会社に伝えようとした。

映像ではガーナの首都アクラの人々が喘息に苦しむ様子や、ヨーロッパに比べアフリカの大気中の二酸化硫黄(汚染物質)の比率が格段に高いデータを紹介している。<Public Eye>はそこで、汚染されたガーナの空気を元凶となったスイスの会社に送り返すことで自分たちのしたことを認識してもらうことにしたのだ。

そうしてアクラの空気を詰めたポリタンクは"Return to Sender"と書かれたコンテナに入れられ、スイスに運ばれることに。この様子はメディアでも広く取りあげられ、「会社は西アフリカに汚れた燃料を廃棄している」(米『ニューヨーク・タイムズ』紙)、「ヨーロッパにとって"汚すぎる"燃料がアフリカに売られているのだ」(英BBC)といった、厳しい批判が相次いだ。こうして多くの人々の厳しい目が向けられる中、汚れた空気入りのポリタンクが問題のスイスの会社に届けられた。

くだんのスイスの会社が今後どんな行動に出るか気になるが、一方でこのキャンペーンはガーナ政府にも影響を与えたようで、同国では2017年3月に(大気中の)二酸化硫黄の基準をより厳しくするという。これにより他のアフリカの国々も新たな動きを見せるかもしれず、キャンペーンが現状に一石を投じたのは間違いなさそうだ。

■参照リンク
https://player.vimeo.com/video/192472409
RSS情報:http://news.aol.jp/2016/12/28/return-to-sender/