ラップを楽曲のアート・フォームの中心に据えながら、エレクトロ、ダウンビート、ブレイクビーツ、ポップスなど幅広い音楽性を提示してきた校庭カメラガールツヴァイ(以下:コウテカ2)。その姉妹でありライバル・グループである、今年3月に本格的な活動をスタートさせた校庭カメラギャル(以下:ウテギャ)。その二組が共に12月に作品をリリース。どちらもハイ・クオリティな内容となっているが、ウテギャはファーストEP、コウテカ2はラスト・アルバムと、そのパッケージは対象的な形となった。
まずはファーストEP「スプラッシュマウンテンでざるそば」をリリースしたウテギャに話を訊いた。
L:ラミタ タラッタ/R:パタコアンド パタコ
ーー活動の本格化から約9ヶ月が経ちましたが。
ラミタ タラッタ:コウテカから離脱とウテギャへの移籍(註:ウテギャの2人はコウテカに所属していた)が、コウテカでの活動に意欲があった時期だったんで、正直すぐに納得出来なかったし、移籍した直後は落ち込みましたね。しかもウテギャの楽曲はしっかりしたヒップホップが中心だから、最初は自分たちが乗ることも、お客さんを乗らせることも難しくて、ステージに立ってること自体が気まずい......みたいな気持ちにもなって。
パタコアンド パタコ:"ギャル"だからだるそうにライヴするのが最初はコンセプトだったんですけど、それが表現しきれてないから、単にやる気がない感じになってしまったり、自分でも何をやってるのかが分からなくなって。だけど「自力でライヴが出来るように」って、運営側が何も提示しない、私達2人で組みたてたライヴがあって、それをやった事で意識が変わったんですよね。自分たちの自主性がちょっと出せるようになったというか。
ラミタ タラッタ:この前もお互いのバイオリズムが最悪で、辞める辞めないみたいな話になっちゃって。それで「もうこのライヴで辞めてもいい!」ぐらいの勢いで、感情をむき出しにしたら、スゴく良いライヴが出来たんですよね。自分たちの暗い感情をぶち壊したっていうか。そこで掴めた感じがあって、今はやる気に満ち溢れております(笑)。
ーーファーストEP「スプラッシュマウンテンでざるそば」は、攻撃的な内容や、TRAP的な先鋭的なビートなど、かなり尖った作品になりましたね。
ラミタ タラッタ:一曲一曲に個性がスゴくあるし、リリックも自分たちに当てはまる内容性も強いので、「これがウテギャだ!」っていう、ウチラのことを一番良く分かって貰えるようなEPになったと思いますね。
パタコアンド パタコ:タラちゃんは早口のフロウが得意だし、私はゆるっとしたフロウで聴かせるっていう、ラップの違いも重要なバランスになってると思います。
ーー1月にもう一枚EPと、3月にはアルバムが決まってますね。
パタコアンド パタコ:この活発なリリースを通して、お客さんをどんどん増やして、ウテギャっていいね、って思って貰えたり、固定ファンになってもらえるようにしたい。夏にはワンマンを出来るようになりたいです。
ラミタ タラッタ:この勢いを大事にして行きたいですね。「何をしていいか分からない......」っていう迷いが一気に晴れたんで、このモチベーションの高まりを開放して、熱気がお客さんに届くようにしたい。一番、いまのウチラの事が伝わるのはライヴだとも思うんで、ぜひ一度ライヴを見に来て欲しいですね。
そしてサード・アルバム「Night on Verse」をリリースした校庭カメラガールツヴァイは、約二年に渡るグループ活動を終了することを発表した。
校庭カメラガールツヴァイ
もるも もる「まだ解散するっていう実感はないですね。頭では分かってるんだけど、感覚的にまだ理解出来てないっていうか。解散に至ったのは、良いライヴが出来ても、その先はどうしようみたいな「見えない」気持ちがあったり、コウテカ2に対する思いみたいな部分がみんなちょとずつすれ違って、目標がみんなボヤケてしまって。だから、それぞれコウテカ2以外の方向性を考えた方が、それぞれの目標に近づけたり、未来が見えるんじゃないか思ったんですよね。猛ダッシュで駆け抜けた2年間だったし、目まぐるしくて、とにかく楽しい活動だったから、楽しいまま終わりたかったっていう気持ちもありますね」
もるも もる
しゅがしゅ らら「だから建設的な解散だし、悲しいっていう気持ちはないですね」
しゅがしゅ らら
ののるる れめる「成長の為に必要な決断だったのかなって思います」
ののるる れめる
うぉーうぉー とぅーみー「それぞれの出口を探す為の前向きな解散です。でも、ファンの方には申し訳ないと思いますね」
うぉーうぉー とぅーみー
ーーラスト・アルバムとなる「Night on Verse」は、これまで以上にカラフルで、非常に聴きやすいポップなアルバムになってますね。
もるも もる:いままで一番纏まった、四人のカラーがしっかり絡み合ったアルバムだと思います。これまでは個性が炸裂した、荒削りな部分があったと思うんですが、今回は自分たちの出来る表現を、丁寧に形にできた作品だと思いますね。
しゅがしゅ らら:これまでは細かくマイク・パスをしてたんですけど、今回は長いヴァースを一人ずつラップする曲が多くて。だから聴いてると、メンバーそれぞれの顔が浮かぶんですよね。私も聴きながら一人ずつの顔が浮かんできて、「私、コウテカ2がすごく好きなんだな」って改めて感じて、涙が出ました。
ののるる れめる:これまでの曲は抽象性の高い歌詞が多かったんですけど、今回は私達の感情や思いだったり、"私達自身"が反映されてるような部分が多くて。だから歌ってて泣きそうになりましたね。聴いて下さった方にも、私たちを投影して貰えると思うし、自分の気持ちが本当にこもった作品になりましたね。
うぉーうぉー とぅーみー:サードの曲が一番気持ちが高まるし、感情移入も出来るし、して貰えると思うんですよね。でも同時に、私達の事を知らない人でも、単純に楽しんで貰える事の出来るクオリティの作品だと思います。リリックも私達それぞれが得意なフロウに合わせてくれたので、ラップしてて口が気持ちいいんですよね。その部分でも、メンバーの成長の証が出た作品になったと思いますね。
ーーそして2017年1月13日のワンマン・ライブ「Dazed and Confused」がラスト・ライヴになります。
もるも もる:強がらない、自分たちらしいアルバムを作れたことで、素直になれた部分があると思うんですね。だからライヴも全部を素直にさらけ出すような、そのままの自分たちを出せるようなライヴにしたい。そして一人一人のそのままの姿が出せれば、"その次"にも期待がして貰えるのかなって。
しゅがしゅ らら:こんなに良いグループに入れて幸せだったなって改めて感じるし、ラスト・ライヴは絶対、泣くと思うんです(笑)。でも悲しい涙じゃなくて、楽しすぎる涙とか、感謝の気持ちの涙と、ライヴの汗でビジャビシャになりたいですね。それぐらい感情が爆発するようなライヴに出来ればって思います。
ののるる れめる:1stワンマンは泣くなって言われてたんで我慢してたんだけど、最後のワンマンは涙も気持ちも何もかもさらけ出したいし、その剥き出しの私達を見て欲しいですね。それが私達のファンの方への感謝の気持ちになればいいなって。ハッピー・エンドなら全て良し!っていうライヴにしたいです。
うぉーうぉー とぅーみー:毎回、ライヴで最高を更新していってる感じがあるんですよね。だから、ラスト・ワンマンが今までで最高のライヴになるに決まってるって強気に思ってますね。1stワンマンが最高だったって言う人もいるんですけど、それを余裕で更新できる気持ちがあるし、確実にいいライヴを見せられると思います。完全燃焼したいし、ライヴが終わった後に、お客さんの胸にぽっかり穴の空くような喪失感を与えたい。それぐらい心に響くような、心をえぐるようなライヴをしたいですね。
<リリースインフォ>
校庭カメラギャル「スプラッシュマウンテンでざるそば」
(2016年12月12日発売) ※ライブ会場限定
校庭カメラガールツヴァイ「Night on Verse」
<ライヴインフォ>
〈校庭カメラガールツヴァイLAST one-man live"Dazed and Confused"〉
2017年1月13日(金)渋谷WWW X
OPEN / START : 18:30 / 19:30
<You Tube>
Lil Tomte / 校庭カメラガールツヴァイ(https://youtu.be/7aNDIM5Seb4)
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