今、ケニアで雪が降る可能性はないと信じるのと同じぐらい、オバマ大統領がホワイトハウスに再選される事はないと思っている人々がかなりいると思う。どうしてそれと反対の事を信じないのか?今週の素晴らしい民主党大会で、いつ以来だろうか・・・それは忘れたが、相手を動揺させて一撃を加える最高の演説を民主党の口から聞いた。もしあなたが経済的公正、平和、そして5ドルカフェラッテを信じているような人なら、この一週間有頂天になることは出来なかっただろう。たった今、うわさが飛び交っている中、膨大な数のアメリカ国民がオバマ時代を続けたい、または入口にいる野蛮人(注釈:ロムニー氏のこと)にひどくびっくりしている、それともその両方の理由から投票に出掛けるだろうと、あなたはそこに座りながら考えているだろう。共和党は、彼らが管理したい女性性器の話のせいでチャンスを逸してしまったと、あなたは確信しているだろう(共和党のエイキン氏が強姦された時の女性性器の働きについて説明し、強姦された時に妊娠する可能性は殆どないと述べたが、ミットロムニーはそれに反論した)。彼らは、その部分がどこにあるか、それが何なのか、そしてどのように機能するのか全く分からないということを、私達は知っている。
そうなんだ、有権者がこのロムニーという卑猥で裕福な男を拒否するであろうことは確かなようだ--ミシガン州/マサチューセッツ州/ニューハンプシャー州/ユタ州/チューリッヒ/グランドケイマンのロムニー--この男はどうやって彼の富を手に入れたのか、どこに保有しているのか、それに対してどれだけ税金を払っているのかをはっきり話さない。彼は50年代--1850年--に時計を戻したいと思っており、彼はある事に対して何をするのかという具体的な計画を提示したがらない。彼は会社のように国を運営したいと思っているが、彼は自らの大会のステージで82歳の俳優でさえもコントロールすることが出来ないんだ。そのハリウッドの伝説である俳優はほんの10分半で、良い感じ(ステージに上がる)から悪い感じ(椅子に話しかける)になり、最後には残念なこと(椅子が毒づき出した?)になってしまった。それはYouTubeの、猫がトイレを流す最高の映像よりも面白かった。ロムニーの悲しい運命が11月に決まることを知っている私達みんなに対する贈り物だった。(注釈:クリント・イーストウッドが共和党の応援演説をした。彼は空の椅子を横に置き、そこに「見えない」オバマ氏が座っているものとして話かけた。彼の中では「オバマ氏」が毒づき出したらしい。)
それとも?
先週私はHuffPostライブのインターネット放送で、「ロムニー大統領」の言い方を練習し始めたほうが良いと言った。なぜならミシガン州に住んでいると、ここの2つの半島(注釈:ミシガン州はマキナック海峡によって隔てられた2つの半島「アッパー半島とロウアー半島」からなる)には問題があると分かるからだ。それは、ロムニーがミシガン出身だからとか、クランブロック・スクールの子供たちがゲイの子供達を追いかけてその髪を切り落とすのを見たい(注釈:ミット・ロムニーがクランブロック時代にそのような悪戯をやったと言われている)からという理由だけではない。ミシガン州の最近の世論調査では、ロムニーがオバマ氏よりも4ポイントもリードしているそうだ。どうしてそうなったのか?オバマ氏はデトロイトを救わなかったのか?
そう、彼はデトロイトを救わなかった。彼はゼネラルモーターズとクライスラーを救った。私達の町を奪い尽くし、別の場所でお金を稼ぐために町を分割させたグローバル企業(ただし、もちろん彼らはポンコツ車を設計して作り続け、そして結局全然儲からなかった)であるとは、「デトロイト」(そしてフリント、ポンティアック、サギノー)は定義されなかったのだ。ミシガン州のこれらの町で大切なのは、ここに住む人々について知る事なのだ。「デトロイトを救う」過程で、オバマ氏はこれらの何千人も人々を解雇し、残された人々の手当と年金を削減しなければならなかった。ミシガン州には(ウィスコンシン州とオハイオ州にも)オバマ氏に憤慨している人たちがいるのだ。会社は救われたが、自分たちは救われなかったという人たちがいるのだ。私はただ事実を述べているだけであり、ここに住んでいない人たちはこの事実を知るべきである。この選挙で私達が直面している他の問題は(注意--憤慨している白人男性はすぐに読むのを辞めた方が良い)--人種という問題だ。私達が心配しているのは、この国には黒人男性に大統領になって欲しくない人々が恐らく40%もいるということだ。実は、2008年にもオバマ氏は白人の票を得られなかった。彼は若い人々(18-29歳)を除く白人の総ての年齢層からの支持を得られなかったのだ。それでも1000万票差で勝利したのだ!オバマ氏を支持する人々が楽観的な理由は、11月の選挙では有権者のたった70%だけが白人だと分かっているからだ。それゆえ、もしオバマ氏がその白人票の35-40%を得る事が出来、そして有色人種の大多数の支持を得る事が出来るなら、彼は再選が可能だろう。私の中では、オバマ氏がロムニー氏よりも人気があるというのは疑いの余地はない。そしてもし、アメリカンアイドル(注釈:全米規模で行なわれるアイドルオーディション番組。視聴者が投票することが出来る)のように人々がソファーに座りながら投票することが出来るなら、オバマ氏は余裕で勝つことが出来るだろう。前にも言ったように、私達は自由主義の国に住んでいる。アメリカ人の大多数(自分自身を「自由人」とは呼ばない)は今、自由主義な政策を支持している--同性結婚、中絶を支持し、戦争に反対し、地球温暖化を信じ、ウォールストリートが自分たちや隣人に対してやったことに怒りを感じている。共和党は知っている。我々の大多数が、私達が望む時に望む相手とセックスをすることを。私達が望む時に望む物は何でも読んだり見たりすることを。望むならマリファナを使うことを。そしてもし使いたくないなら、私達は確実に、それを使う仲間が刑務所に放り込まれたりして欲しくないと思っていることを。私達は、化学物質や公約に毒されることにうんざりしている。我々はパレスチナ人が残酷な扱いを受けたと思っており、そして私達の仕事を返してくれと思っているのだ。キリスト教右派(そしてウォール・ストリート出資者)はこのことを良く知っている--アメリカは変わった、そして肌の色で誰かを愛さないという所には戻らない。そしてネアンデルタール人の群れに対して、自分の身体の支配を許すことを女性に期待したりしない。ソドムとゴモラ(注釈:旧約聖書に登場する都市。人々がモラルを逸脱する悪徳行為を繰り返したため神の逆鱗に触れてしまい、滅ぼされてしまう)のような状況になっている今、右派(注釈:共和党)は何をするのか?共和党は選挙を鎮圧するしかない。彼らは出来るだけ自由主義者に投票させないようにしなければならない。そのため、彼らは多くの投票を抑制する法案を可決し、貧しい者や少数派や学生が投票しづらいようにしたのだ。彼らは本当にそれをやってのけることが出来ると信じているのだ--そしてそう出来るかもしれない。これについて唯一「明白」なのは、選挙に勝つためにそのような法律を準備する必要があるということは、共和党側はアメリカが自由主義の国だということを知っていて、彼らが今勝てる方法は不正をすることだけだ、というのを認めているということだ。私を信頼して欲しい。もしアメリカが右派の国だと共和党が信じるなら、選挙を簡単にする法律を可決し、ウォールマートのレジの列で投票が出来るようになるだろう。
しかし、11月6日の選挙はウォールマートやポテトチップスを食べるソファーで出来るものではない。投票所に行く事で可能になるのだ。そして当然の事だが、選挙の日に多くの人々を実際に選挙に行かせた側が勝つのだ。私達は、共和党が数千万ドルをつぎ込んでこのことを確実にしようとしていることを知っている。彼らは選挙日のために巨大な投票推進機械を製作し、私達が見た事の無いような絶対的な憎しみの津波が、私達を圧倒するために待ち構えているのだ。中西部に住む私達は2008年に少し経験したことがある。オバマ氏に投票した、昔から民主党を支持する州では、州議会と知事の席がこのよく油がさされた機械に乗っ取られたのを覚えている。私達は何が起きたのか分からなかったが、共和党が推薦したこれらの新しい機械は、時間を無駄にしないで私達が大切に思っている非常に基本なものの幾つかを取り除こうとした。ウィスコンシン州は反撃した。しかし大きな草の根運動でさえもコーク兄弟(注釈:アメリカの大富豪)によって知事が買収されることを防ぐ事は出来なかった。それは確実に我々への目覚ましコールだったが、私達は本当に目が覚めたのか?(注釈:投票機、特にタッチスクリーン方式の機械では、共和党に有利となるプログラムによる不正操作が行われ、投票の再確認も出来ないことがあった)
シャーロット(注釈:民主党大会開催地)では素晴らしい一週間だった。今は、オバマ大統領の演説を見るのを心待ちにしている。我々は、数日間はお互いにハイタッチをしていても良いが、あなたと私が次の60日間毎日何かをやって人々を選挙に行かせるようにしないと、この1月に「ロムニー大統領」と言っている可能性があるということを、強調してもしすぎる事はない。それが起こり得ないとは思わないで欲しい。悲しいことに、少なくとも最近のアメリカでは、「嫌悪」は愛やカッコいいという感情よりも遥かに大きな動機となるものだ。
民主党と共和党の歴史が1%の高所得者層を取り込むことだということを信じている我々にとって(2008年のオバマ氏の第1位民間貢献者がゴールドマン·サックスの人々だった)、民主党は優しく/穏やかな団体である一方で、彼らはまた、私達を素早く戦争に連れて行き、企業利益の為に私達を売り渡すのだ(そう、オバマケアは保険会社に大金をもたらす贈り物だ;単一保険制度(民間の保険会社ではなく政府のみが医療費を負担する)のみがそれを防ぐ事が出来る)。今回の選挙は耐えなければならないことなのだ。我々は、オバマ大統領が就任式後にゲートの外で料金を請求せず、受けた経済的ダメージを元に戻さなかったことにとてもがっかりした(フランクリン・ルーズベルト大統領は最初の100日でニューディール政策という一連の経済政策を行った)--そして昨年ウォールストリートが選挙のために莫大な献金を辞めた時にのみ、彼は力を取り戻し、戦う必要のある戦いを始めたのだ。彼は立派で慎み深い人物だ(無人攻撃機を送ってパキスタンの民間人を殺したり、政府の内部告発者を起訴したりしなければね)、そして4年前の彼の当選は、私の取り払う事が出来ない感情が最も高まった時だった。この国が変わり、我々が倫理的な基盤を見つけたということに私がどれほど期待していたか分かるだろうか。数週間後に彼がティモシー・ガイトナーとラリー・サマーズを経済政策の担当に任命し、そしてグアンタナモ基地の閉鎖を考え直した時に、その感情が現実味を帯びた。
私のような人々は、一生に一度だけ、その道を貫き通そうではないか。これは無理なお願いだろうか?もちろん、今空気に流れている違う疑問がある。1%の高所得者層に国を渡すような群衆(注釈:民主党のこと)にこの国を返していいのだろうか?私はそうは思わない。だから、これから2ヶ月、自由主義の大多数の人々と共に獰猛で執拗になろうではないか。この機会に、我々が「単一保険」や「ブラックウォーター(注釈:アメリカの民間軍事会社)」と言う時に我々が何を意味して言っているのかを人々に教えようではないか。政治と国家の運命(そして世界--すまない、世界もだ)は最優先事項で、少数の人々の手から社会の支配を奪いたい我々は、これからの数週間を健全に活用する事が出来る。傍観しないでくれ。誰に対しても、オバマ氏が魔法のように我々の社会を変えたというようには説得しないでくれ--単に、私たちの歴史の中で大恐慌以来最大の経済破綻と最大の軍事的失態/嘘によって引き起こされたすべての傷を癒すのに、4年間は十分な時間ではないということを伝えてくれ。
私は、ここは楽観的に行きたいと思っている(皮肉屋よ、すまない、私が君たちを好きだってことは分かってるだろ)そして第2期オバマ政権(そして民主党に主導される議会)を想像してみてくれ。彼は我々国民の利益になるすべてのものを目指し、民主政治の力を我々の手に取り戻させてくれるだろう。なぜ共和党が第2期オバマ政権を恐れているかというと、本当のオバマ氏が現れ、社会的公正と寛容、そして経済活動の平準化へと我々を導くだろうと彼らは思っているからだ。一度だけ、私は共和党の意見に賛成だと言おう--そして彼らの悪夢が現実となることを心から願う。
(原文:"President Romney" - How to Prevent Those Two Words From Ever Being Spoken)
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マイケル・ムーア
映画監督
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