映画『溺れるナイフ』に出演した上白石萌音にインタビュー。「実はカナって二面性、ふたつの顔があると思われがちですが、わたしは3つの顔があると思っています」という彼女が語るカナ像、そして映画『溺れるナイフ』の魅力とは――
――今作はキラキラなだけではない、リアルも投影した青春映画になっていましたが、どのようにストーリーを受け止めましたか?
最初に原作を手に取った時に、夏芽とコウの恋愛模様はキラキラしているけれども、一方で人間の嫌な側面や繊細な部分、言っていることと思っていることが違うことなど、ダークな部分も描かれていて、ここまでリアルな漫画があるんだって驚きました。10代の繊細な心の揺れや、言い表すことが難しい複雑な気持ちをズバリ表現していたので、衝撃的でした。
――10代の危うさという意味では、演じられたカナも象徴的な女性でしたよね。
変化が多い役柄でした。危うさと狂気的な部分を多く持っている子なので、どこまで表現できるか不安でしたが、中学校と高校デビューした後の差を出さなくてはいけないと思い、新しいことにも挑戦しました。
――それがとても衝撃的でした。彼女を演じる上で、何を軸にしたのでしょうか?
人格がまったく違うようですが、コウには見透かされてしまうんです。なので、完璧な高校デビューではなく、ちょっと抜けている、つめが甘い高校デビューを表現しなくてはいけなかったんです。原作では、その点がとても繊細に描かれていたので、それを道しるべにして演じれば大丈夫だっていう気持ちで挑みました。
――デビュー前後で、まるで別な女優さんかと思いましたが、演じ分けのコツは???
ヘアメイクさんの力が大きいです(笑)。自分では、根本的に違うように、話し方と笑い方を変えました。特に話し方は大幅に変えて、ねちねちと口先で話して、イラッとするような子に。そういうリズムや音程を目指しました。笑い方も中学校時代は自信がないのでひきつった感じですが、高校では弾けて反動が出る。でも、ちょっとダサい芋っぽさもあるような、そういうコントラストを意識して演じました。
――しかも、コウには見透かされているという、表層的な側面まで演じ切っていました。
実はカナって二面性、ふたつの顔があると思われがちですが、わたしは3つの顔があると思っています。3つ目の顔というのは、コウの前では"女の子"ということです。自信があるとかないとか関係なく、好きな人の前ではカナは素の自分に戻ってしまう、神格化された人の前では隠せないという3つの顔を意識して演じましたので、そこにも注目して観てください。
映画『溺れるナイフ』は大ヒット公開中!
(C)ジョージ朝倉/講談社(C)2016「溺れるナイフ」製作委員会
■映画『溺れるナイフ』公式サイト
gaga.ne.jp/oboreruknife/
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