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中山美穂が『Love Letter』名シーンを再現!岩井俊二監督とともに撮影当時を振り返る 【東京国際映画祭】

2016/10/30 11:00 投稿

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10月28日、東京国際映画祭にて映画『Love Letter』が上映され、終了後、監督の岩井俊二と主演の中山美穂がトークショーに登壇した。


岩井俊二監督の劇場用長編映画デビュー作として、1995年に劇場公開されて以来、長きにわたって愛され続ける本作は、天国の恋人に向けて送った1通のラブレターがきっかけで、埋もれていたふたつの恋が浮き彫りになっていくサブストーリーだ。この日、観客とともに本作を鑑賞したという中山は「20年ぶりに上映されて、皆様と一緒に同じ時間を過ごせて、同じ気持ちを共有しながら今のこの時間がとても幸せです」と感慨を表した。

岩井監督は、「ある記憶を辿るひとつのミステリーが前半にあって、大体の映画の場合、そのミステリーを解き明かしていくところでクライマックスを迎えますが、(本作は)意外や意外、蓋を開けたら散漫な記憶が次から次へと雨あられのように出てくる。それがきっと現実でしょう。実は、後半に、ミステリーが崩壊していくような流れになっていく、というのが当時やりたかったトライアルです」と本作で挑戦しようとしていたことについて明かした。

『Love Letter』©フジテレビジョン

本作で、博子と樹という二人の女性を演じる中山。一人二役について「撮影が始まる前の打ち合わせのときに、その辺りがとても不安だったので、監督に"どうしましょう、髪型とか変えたほうがいいですか"と言ったら、岩井さんは"そのままでいいよ"と言ったんですよ。ますます不安になってしまって(笑)。ですが、現場に入ったら、その辺はうまく演出なさってくれました。現場自体がとてもピリッとした感じだったので、緊張感を持ちながら楽しみもできました」と、当時の気持ちを語ると、岩井監督は「二役に関しては、普通だと髪型を変えるなどするのでしょうが、(本作では)もっと内面のところで別人格を作ってほしいと...。まだ若い監督でしたけど、要求が厳しかったですね(笑)」と振り返った。


二人の演じ分けについては、「もう全く私の中のイメージです。"その辺に関しては、こういう感じ"などということを(岩井監督は)あまりおっしゃらなくて、脚本を読んだときの私の感じたイメージだけだったと思います」(中山)とのこと。さらに岩井監督は、「先に藤井樹の方(のシーン)をずっと撮っていって、これが終わると次、渡辺博子のシーンを撮影するという順番だったのですが、とりあえず(藤井樹のシーンを撮影する)現場で、"渡辺博子についてどうしようか"と立ち話をした思い出があります」と撮影時のエピソードを明かした。

本作のラストシーンではプルーストの長編小説『失われた時を求めて 第7篇 見出された時』が重要な鍵を握る。プルーストの小説を作品に登場させたことについて岩井監督は「プルーストが直接的なモチーフではなかった気がします。とは言え、学生時代に苦労して読んで、途中で挫折した(笑)、記憶をめぐる物語なので、多分、根っこにはあったんだろうと思います。映画の中では、中学生にとっては借りたけど誰も読めない、諦めるタイプの本っていうシリーズで、僕の中で筆頭にあがってきたのが『失われた時を求めて』だったんです(笑)。そこからのアイディアでした」と語る。


このラストシーンについて中山は「一気に記憶が戻ってくるという最後のシーンで、"とても不思議な感じで終わるな"とは思っていたんですが、でもなぜか、胸にギュッとくるようなイメージがありました。実際、あのシーンは、岩井さんがあの絵を描いたんですよね?本番まで、私はそれを見なかったんです。本番だけの、一回きりのカットだったんです」と秘話を明かし、「ひっくり返した図書カードの絵を見たときに、岩井さんの、この作品に対する思いや、あと、わりと最後の方に撮ったので、"この作品に会えてよかった"など私自身もいろいろな感情が織り混ざったりもしちゃいました」とラストシーンの自身の表情について語った。


岩井監督もラストシーンについて「あそこは絵コンテも書き下ろしていましたが、クリアに"このサイズで"、"これくらいの感じで"、"涙が流れるということではなくて、でもちょっと目が潤んでいるのかな、とかいろいろ想像させるくらいのデリケートなところで着地させたい"みたいな。悲しいとかじゃない、ちょっと微笑ましくもあり、冬が終わって春が来るような、そういうイメージで。あの時は本当に、"こう撮らねばならない"し、"こうあらねばならない"というのを撮影中にすごく、あそこのシーンに関してはクリアにあったんです。なかなかそこまで明確に見えきっていることってあまりないんですけど」とこだわりを明かし、トークショーを締めくくった。


トークショー終了後、観客から中山に「お元気ですかー?」という本作のセリフが投げかけられると「私は元気です!」と劇中と同じセリフを観客に返すシーンも。劇場初公開時から20年以上経つ本作がいかにファンから愛されているか伝わるトークショーとなった。

第29回東京国際映画祭は10月25日(火)〜11月3日(木・祝)、EX シアター六本木、TOHO シネマズ六本木ヒルズ、歌舞伎座、109 シネマズ二子玉川 他にて開催


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