大ヒット公開中のクリント・イーストウッド監督最新作『ハドソン川の奇跡』について、主演のトム・ハンクスとアーロン・エッカートを来日直撃取材! 航空機事故の奇跡の生還劇を成し遂げたサリー機長役のハンクス、スカイルズ副機長役のエッカートは本作と出会い、何を想い、何を伝えようとしたかのか。名演の背後にある真摯な思いについて聞く。
――サリー機長とスカイルズ副機長のコンビネーションが素晴らしかったですが、その雰囲気を出すために、どういう工夫をしましたか???
トムハン:もともとサリーとジェフ・スカイルズは知らない者同士で、僕たちもそうだった。彼らは、この事故の3日前に初めて会ったそうだよ。でも、僕たちもプロでね。だから、すぐ"始まった"よ。エアバスのシミュレーターがあって、そこで初めて僕たちは仕事をしたよ。
――リサーチの段階でサリーやジェフと、どういう話をしましたか???
トムハン:サリーはすべての脚本に目を通して、わたしが出ていないシーンでもチェックをしていたよ。脚本を変更するとしても、その理由も知ってほしいと言っていた、かな? 脚本は決まってないので変更は可能だが、同時に変更が無理な場合もあるとも伝えた。どうしてかというと、ストーリーを語る際に映画の場合は、ある側面を重視しなくてはいけないことがあるからね。
アーロン:スカイルズ副機長と話した時に一番驚いたことは、飛行機はつねにエンジンの音でうるさいわけだよね。そこに鳥が激突してエンジンが止まるということは、もう落ちるしかないわけだ。つまり、エンジンの音がまったく聞こえないことが、パイロットや乗客にとって一番の恐怖だ。緊急事態だよ。サリーとジェフの豊かな経験があったからこそ、着水が可能だったと思うよ。
――この映画は「プロとは何か?」というテーマや、仕事の責任を背負う男たちの映画でしたが、おふたりの映画人としてのポリシーは何でしょうか???
トムハン:個人的なアプローチでは、ある特有のテクニックはないと思っていて、与えられれば、それに対してベストな仕事をするだけだ。それが僕のやりかただね。サリー機長は自分の能力を信じていて――僕も同じだが――そこには実感が必要だよね? でも、映画だからといってデッチ上げはダメだが、仮にそうなったとしても何かの事実があって、そこから作り上げていくのであれば、いいと思う。そうじゃなければ、こういうタイトルにもならないだろう?
アーロン:俳優にとってはプロだと言われることが最高のホメ言葉だ。そのためには自分の技術を、時間をかけて実現するというわけで、俳優だけでなく機長も乗務員も皆そうだ。救助にかかわった人もそう。これにかかわったすべての人がそう、プロだと思う。あれだけの人々が生還したことは皆がプロだったからだよね。意識を持ってトライした。あなたがもしプロであれば、自分の役割をまっとうすればいいと思う。
トムハン:事実を再現するためには、なるべく真実に基づいてやらなくてはいけない。真面目に調べて、かかわった人たちがどうしたかをなるべく忠実に演じることが僕の哲学で、自分の責任でもあるよ。
――最後におうかがいしますが、イーストウッド監督は、この映画で何を伝えたかったと思いますか?
トムハン:乗客は言うことを聞いたのさ。どうしてかというと、信じられたからだ。飛行機の着水後は警察やフェリーの人々が助けてくれたわけだが、わたしたちの暮らす世界は恐れや怒り、信じられないことがいっぱいだ。だからこそ、信じることが大切だ。
機長だけが英雄じゃない。全員だ。協力こそすべてということを、この映画は伝えると思う。
『ハドソン川の奇跡』は大ヒット公開中!
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■『ハドソン川の奇跡』公式サイト
hudson-kiseki.jp
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