日活ロマンポルノ製作開始45周年記念「ロマンポルノリブー トプロジェクト」の一環として『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』が初ブルーレイ化され発売中だ!このブルーレイには音声特典として、特別コメンタリー「みうらじゅんの『わが愛しのロマンポルノ!』」が収録されている。そんなみうらが日活ロマンポルノの思い出を振り返りながら、日本のエロ文化に対して語るオフィシャルコメントが到着した。
――オーディオコメンタリーの収録をされましたが。
『ザッツ・ロマンポルノ女神たちの微笑み』は初見でした。紹介されてる作品の中には初見のものもありましたが、思い出深いのもたくさん入ってましたね。もう40年以上前の記憶ですが(笑)。僕は高校の中間テストや期末テストが終ると必ず自分への"御褒美"としてポルノ映画に行ってましたからね。平日の昼間、ガラガラの映画館にポツンポツンとおっさんが座ってて、まだかわいい坊やだったからさ、僕の体を触りにくるの。それが怖くてね(笑)。ドキドキしながら見てました。そちらの発展場でもあったんでしょう。
――最初にご覧になったのは。
『生贄夫人』でしたね。3本立ての一本が。入ったらいきなり『生贄夫人』をやってて。SMってものは知ってたけど、最後は浣腸だからね。もう衝撃を受けちゃって。そのあともいろんな作品を観たけど、どこか物足りないんだよね。出だしでこれくらってる人間って、やっぱり人生変わるんですよ。全ジャンルのポルノが好きな人っていないと思うからね。でも当時は3本立てだから。苦手なものもごっちゃに入ってる。いまは『ふんどし祭り』通過しなくても大人になれるけど、俺らは『色情海女 ふんどし祭り』を通過して大人になってるから(笑)。ジャンルは広いんですよ。いろんなところからエロを抽出できる才能を植え付けられた。童貞のときに全くリアリティのない世界を見せられてるからね。だから、今でもいろいろしゃべれる。いろんなジャンルの処方箋をいただいているので。
――改めてやっぱりこの日活ロマンポルノはすごかったなというのは。
日活っていったら、やっぱり僕はSMモノなんですよ。ほかの映画会社でもいろいろ作ってたけど、SMっていうジャンルをよりポップにしたのは日活の功績だと思いますよ。それに大罪ですよ(笑)。
――みうらさんが好きな監督は。
うーん、西村昭五郎監督ですかね。文芸的なニオイがして後に評価があがったり、女子に受けたりしてる作品もあると思いますが、やっぱ童貞的には文芸なんて縁遠くてね。ストレートな調教モノにグッときてました。
――女優さんでは谷ナオミさんのファンだとか。
そうですね。SMといえば谷さんですからね。あとは飛鳥裕子さんとか、麻吹淳子さんとか。『生贄夫人』は違うけど、 団鬼六さんシリーズがいいですね。今でもたまに見てますから。日活の女優さんは、みんな演技がうまいですよね。AV が出てきて本番時代になったけど、ロマンってきっと疑似の意味だと思うから、隠してやらしいほうが好きな世代っていうか。モロ見えはね、やっぱりイヤなんですよ。日本のエロは恥ずかしの文化だから。AVの登場には日活ロマンポルノもやられたけれ ど、でも疑似でやってるすごさっていうのはあると思うんですよね。素人じゃなく女優にこだわりがあります。
――恥ずかしの文化ですか。
美保純さんの『ピンクのカーテン』からゴロっと変わったんじゃないですかね。女の人が「勃ってる、勃ってる」っていうような時代になった。ただ、昔は逆に『ふんどし祭り』みたいな弾けすぎの文化もあったんだけどね。いま町にポルノのポスター貼れないでしょ。昔は『生贄夫人』ですら貼ってあったよ。俺、夜中に剥がしに行って、いまだに持ってますからね。日活ロマンポルノの頃はある意味ファンタジーですからね。『東京エマニエル夫人』とか、日活ロマンポルノはファンタジー巨編として観るべきだと思います。昔の怪獣映画みたいな、あの感じ。時代背景も、もう二度と、呼び戻しはできない世界観だと思いますね。
――今回のパッケージはいろんな引き出しがあって楽しめますよね。
ここははっきり断っときますけど。抜けない、抜けるわけない。抜くんじゃない、感じるんだ!みたいな。ブルース・リー的なのが今の日活ロマンポルノを見るコツです。あの時代特有の言い様のないセンスが映像にあるんですよ。文化なんですよ。不思議なんだけど、そういう不思議なエロを、僕らの時代は普通に観られた。今の人は最初から不思議なものだと思って観るんでしょうが。あといまはインサートの時代だけど、日活ロマンポルノはエロ含蓄のほうね。脳がピリピリするような妄 想がいっぱいだから。
――やはり思い入れが強いようですね。
思い入れというか、大切な思い出ですよね。セックスをまだしてなかったですからね。エロって。ロマンって、妄想って、童貞の財産だと思います。
――ただこれだけ今も人気があるというのは、大人になったからこそ分かることもあるんでしょうか。
それはいっぱいあると思いますよ。もう1回聴き直してみると違うことを思う。今の人は次々新しいものにいっちゃうけど、 観返すとまた違う感想を持ちますね。このパッケージがその入り口になったらいいですよね。何年の作品でとか、そういうデータはどうでもいいんですよ。データじゃなくて、自分の記憶。ここで勃ってたなとか。それはね、本当の自分探しですよ(笑)。歳取って自伝とか書く人がいるけど、ロマンポルノを見直さないと僕の場合、書けないですよ。もう1回自分の性と向き合わなきゃね。
――AVにうんざりしている世代にも日活ロマンポルノがいいのでは。
僕くらいの年代になったら、もう射精とかどうでもいいし。カウパー止まりで OKになります。気持ちよかったらいいわけだから、エロって。カウパーが出てるくらいで止めといたほうが健康にも絶対にいいんじゃないでしょうか。オナニーだってもう射精しなくていいですよ。勃ち上がれ、70年代、童貞こじらせ男子。カウパーでいいじゃないか!ってキャッチコピー入れといて下さい(笑)。
『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』ブルーレイ10月4日発売
価格:¥4,200 (税抜)
・音声特典:みうらじゅん氏による特別コメンタリー「みうらじゅんの『わが愛しのロマンポルノ!』」
・オリジナル劇場予告篇
・フォトギャラリー
・貴重な成人映画雑誌「EIGA NO TOMO」から当時の関連紙面を復刻データ収録
(C)1988 日活株式会社
■日活ロマンポルノ 45 周年メモリアル BD/DVD 特設ページ
nikkatsu-romanporno.com/bddvd80/
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