10月25日(火)より開幕する第29回東京国際映画祭。現在の日本を代表する作品の数々を、映画祭独自の視点でセレクションするJapan Now 部門では、今一番海外に発信したい監督として岩井俊二監督が特集される。10月4日、岩井監督らが登壇する記者会見が行われた。
日本の"今"、"美意識"、"文化"を伝えることを目的に昨年から設立されたJapan Now 部門において、監督特集として『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、『Love Letter』、『スワロウテイル』、『ヴァンパイア』、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の5本が上映される岩井監督は、「呼んでいただきまして本当にありがとうございます。非常に光栄な機会ですし、5つの作品を上映してもらえるということで、非常に嬉しく思っております」と感謝の意を述べた。上映に対し「リラックスして映画ファン、評論家の方々と向かい合って、一緒に映画を楽しむような機会です。劇場公開時には言い知れぬプレッシャーがあり楽しめないですから、バケーションに近いような感覚で、楽しみしかないです」と期待している様子を見せる。
日本のみならず、アジア諸外国でも大変な人気を博す岩井作品だが、「自分でもこうなると全く思っていなかった」とのこと。「僕自身はそんなに意識していないのですが、気が付くと、架け橋的な立場に置かれることが多くて。荷は重いのですが、そういう運命のもとに生まれたのかと感銘を受けています。映画を作って観せるということしかできないのですが、自分なりにやれることを頑張ろうと思っています」と思いを語った。
さらに、アニメ映画『花とアリス殺人事件』(15)なども手がけてきたが、アニメーション監督についての活動について尋ねられると、「"岩井流"のやり方でアニメーションを作っているのですが、今もそういうチームがあって、ちょうど今ミュージッククリップをアニメーションで制作中です。実写と全く勝手が違っています。絵も描くものですから、絵描きの楽しみがあります。実はものすごいやりがいがあるんですよね。実写もやりながらアニメもやりたいなと思っています」と意欲を見せていた。
そんな岩井監督の選出理由についてJapan Now部門プログラミングアドバイザーとして作品の選定に携わった安藤紘平氏は「『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観た瞬間に、僕は"日本人として生まれて本当に誇らしい"と思ったのです。岩井さんはいつも、独特の美意識の中で、寓話的に今の若い人の行動や思いを語っていく稀有な監督ですが、さらにその力が発展して素晴らしい作品を作り上げたな、と思いました」と明かした。
第29回東京国際映画祭は10月25日(火)〜11月3日(木・祝)、EX シアター六本木、TOHO シネマズ六本木ヒルズ、歌舞伎座、109 シネマズ二子玉川 他にて開催
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編
■第29回東京国際映画祭 公式サイト
2016.tiff-jp.net
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