最終回が近づく朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)。スタート以来、25週連続で週間視聴率20%越えの人気作となり、ヒロイン役の高畑充希の知名度も飛躍的にアップした。後を継ぐ『べっぴんさん』では芳根京子、続く来年4月からの『ひよっこ』では有村架純がヒロイン。その次は......と言ったら気が早すぎるし、当然決まってもいないが、有力では? と思わせる若手女優が黒島結菜だ。
この夏は『時をかける少女』(日本テレビ系)で連ドラ初主演を果たし、視聴率はふるわなかったものの、「とにかくかわいい」「胸がキュンとする」など多くの称賛が寄せられた。以前からドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)の生徒会長役、『ストロボ・エッジ』など数々の映画出演、『カルピスウォーター』CMと鮮烈な印象を残し、次世代女優のトップランナーだった黒島。11月にも『オケ老人!』など映画2本が公開。だが単なる"ブレイク確実"でなく、朝ドラヒロインを予想させるのには理由がある。
近年の朝ドラでは、ヒロインは抜擢の"伏線"として、以前の朝ドラに脇役で出演しているケースが目につく。『とと姉ちゃん』の高畑は『ごちそうさん』で杏の嫁ぎ先の義理の妹役だった。『ひよっこ』の有村は『あまちゃん』で能年玲奈の母親(小泉今日子)の少女時代を演じてブレイク。『まれ』の土屋太鳳も『花子とアン』で吉高由里子の妹を演じていた。『べっぴんさん』の芳根も『花子とアン』に吉高の親友役の仲間由紀恵の娘として出演している。
実は黒島も『マッサン』で玉山鉄二の娘の友人を演じていた。出番は1週だけだったが、その後NHKドラマへの出演が続いている。大河ドラマ『花燃ゆ』では高杉晋作の妻・雅役で時代劇に初挑戦。『恋の三陸 列車コンで行こう!』では松下奈緒が演じた主人公のいとこ役でナレーションも担当。
そしてNHK広島が制作した戦後70年ドラマ『一番電車が走った』では、演技力への評価を高めた。原爆投下後の広島で街の希望となる路面電車の少女運転士との難役で主演し、泥だらけになりながらの静かな演技が感動を呼んで。先週から始まった『夏目漱石の妻』でも、主人公の尾野真千子のいとこ役。1話には出演してなかったが、ナレーションで声を聴かせていた。
彼女がNHK向きで、同世代の女優に比べた強みでもあるのは、同性受けも良いこと。フェミニンというよりショートカットが似合う自然体のたたずまいで、『時をかける少女』での「かわいい」との評には女性が発したものも多かった。さらに往年の名作リメイクとあってチャンネルを合わせた大人層からも、沖縄出身らしい素朴さと劇中の台詞にあった「何事にも一生懸命」な姿が好感を持たれた様子。
老若男女に愛される資質は、朝ドラのヒロインにうってつけ。実際にはヒロインはオーディションで決まることが多く、作品に合うかどうかも大きいが、黒島結菜を毎朝観られたら人気を呼ぶのは間違いない。とりあえず『夏目漱石の妻』での「優しくて素直。花嫁修業をする」という役を楽しみつつ、"期待込み"ということで次の次の次の朝ドラヒロインと予想しておきたい。
文・斉藤貴志
■参照リンク
黒島結菜 プロフィール Sony Music Artists
www.sma.co.jp/artist/profile/index/213
■関連リンク
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news.aol.jp/2016/05/06/kuroshimayuina/
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