タイ映画史に残る大名作『フェーンチャン ぼくの恋人』(03)のニティワット・タラトーン監督最新作、『すれ違いのダイアリーズ』が全国で大好評だ。スマホやネットが全盛の現代、残された日記を読み、会ったことがない前任の女性教師に恋をする青年の成長録。最高の"すれ違い"が最高の"しあわせ"をくれるタイNo.1の感動作について、 タラトーン監督にインタビュー。日本ではなじみが薄いタイの映画事情などについてもうかがいました。
――個人的に主人公の青年ソーンのような体験をしたことはないですが、まるで自分自身のことのようにノスタルジーを抱いて鑑賞してしまい、素晴らしい作品だと思いました。
この作品は一度も会ったことがない人に恋ができるか? ということがテーマになっていますが、まずわたし自身が恋ができると信じています。今の時代、ツイッターやインスタグラムなどをフォローして、知らない人が考えていることに関心を抱くことが可能で、その人の興味があることにわたしたちも興味を示せますよね。だから、この映画も広く共感を集めたのだと思います。
――このような青春映画は、本国のタイでは流行っているジャンルなのでしょうか?
たくさんの観客が観ていて、売上と動員がすごいジャンルは、お化けの映画かコメディーですね(笑)。タイ人は映画に楽しい娯楽要素、エンターテインメントを求めるので、そういう意味では、『愛しのゴースト』が流行りましたが、あれはゴーストとコメディーが一緒になっている物語なんです。ベースは古くから伝わるストーリーですが、だから大ヒットしたんです(笑)。
――そうすると本作のようなジャンルは、映画化への実現が難しいのでしょうか?
いえ、わたしたち監督は映画会社に所属しているので、撮りたい題材について会社と協議すれば、お金の面では心配は要らないです。一応、実現は可能ですね。ただ、すべてがブロックバスター・ムービーになるかというと、実際にそういうことは少ないです。でも、この映画は素晴らしいと本当に思ったので、できることを全部したら成功を収めることができたわけです。
――なるほど。では、お金になるから、お化けと恋愛の映画を撮れと言われたら、どうしますか?
いや、自分が撮ってもヒットしないでしょう(笑)。ただ、ある程度は、ヒットするとは思います。でも、望まれているような成績は、収められないかもしれない。それは、誰にもわからないことですよね。だったら、自分が撮りたいと思うものを撮ったほうがいいと思いませんか? 自分が信じているものを真摯に作ったほうが、人々に届くと思います。
――今日はありがとうございました! AOLニュースの読者には主人公のソーンに共感しちゃう人生すれ違いまくりな読者も少なくないのですが、何か一言いただいても?
男子には、それぞれ自分の中に"いいもの"があるはずで、それを見つけることがまず大事ですね。それを見つければ、特別な人間になれると思います。たとえば映画の中のソーン先生は教えることは得意ではないですが、いいところはあきらめない心があることです。
――そのあきらめない心が、成長の原動力でしたよね!
最初はすごくダメなのですが、自分自身にあきらめない心があることに気づいてからは、自分をよくしていくことができたと思うんです。そういったことは誰の心の中にもあるので、それを見つけることが読者の皆さんも大事でしょう(笑)。
映画『すれ違いのダイアリーズ』は全国順次公開中!
■『すれ違いのダイアリーズ』公式サイト
http://www.moviola.jp/diaries2016/
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