このところ、四十路男ならではのなんともおかしなドラマの楽しみ方(『時をかける少女』『好きな人がいるということ』)についてご紹介するなど、一体、どんな需要があるのかもわからない内容ばかり書いている筆者であるが、今回のテーマは、いつもとは少しばかり話を変え、有名作品の「ロケ地」に関する話。しかも、いわゆる「有名ロケ地」について、少しばかりお話ししたいと思う。
「有名ロケ地」と言うと、青山や表参道界隈、ひと昔前などは、お台場エリアや六本木ヒルズ周辺なども話題になったもので、実際、多くの皆さんはそうした場所にある観光名所としても有名なスポットを思い浮かべるかもしれないが、今回ご紹介するのはそうした「観光名所」的なものではない、"知る人ぞ知る"というタイプのロケスポット。
諸般の事情から詳しい場所や名称などについては、ある程度、ぼかした形でのご紹介となってしまうが、その実、これまで『ダマシバナシ』『無痛』『問題のあるレストラン』『素敵な選TAXI』『家族ゲーム』、『クレオパトラな女たち』『Answer』『推定有罪』『秘密』『逃亡弁護士』『相棒』『にいにのことを忘れないで』『女子大生会計士の事件簿』『ヴォイス』『翼の折れた天使たち』『カバチタレ!』『愛していると言ってくれ』と、そのタイトルだけザッと見ていくだけでもかなりの作品に登場し、ドラマ制作スタッフの間ではよく知られているという"超有名ロケスポット"なのだ。ちなみに、その登場シーンとは、「コンビ二」でのやりとりに関する場面。要は多くのドラマにおいて、このスポットは、「コンビ二でのシーン」に限定して、やたらと登場するスポットなのである。
というのも、実は我々の生活において、もはやなくてはならない存在とも言えるコンビ二は、ドラマの中においても、そのリアリティを醸し出す上で重要なスポットと言えるが、その実、都心部では24時間営業を基本としているものが大半で、いざロケをしようとすると、その営業を一時中断しなくてはならないため、どうしてもロケの許可が下りにくいという実情がある。
となれば、他のタイプの店をコンビ二風にアレンジして撮影したり、ハウスセットの一部などを使っての撮影ということになるが、そのいずれの手法においても、ロケ自体が大掛かりなものとなってしまうことは言うまでもなく、だからと言ってコンビニを舞台にしたドラマでもない限り、そのシーンは本当の意味での「ワンシーン」になることが大半であるため、ちょうど良く手軽に使える「コンビニシーン用のスポット」というのは、意外と存在しないのである。
また、そうした「コンビニシーンを撮影できるレアな場所」という要素に加え、この周辺には、ドラマでありがちな歩行トークシーンに使いやすい緑道が数箇所存在し、さらにはや"それっぽい雰囲気"を醸し出す稲荷神社、そして、車で5分も行けば都内有数の大公園もあるなど、このエリアだけでかなりのシーンを撮影することができるという、好立地であるという点も、大きなポイント。この「有名ロケスポット」は、人気俳優たちの過密スケジュールを縫って組まれた貴重なロケ日程の中で、効率よく様々なシーンを撮影することができるという利便性も、併せ持っているのである。
我々、一般の視聴者目線では、それがよほど印象的なシーンでもない限り、コンビニでのなにげないひとコマというのは、さほど注意深く観察することは少ないかもしれない。しかし、実際にはそうしたシーンになればなるほど、今回ご紹介したケースのように、その撮影には、「場所の確保」という段階から、大変な苦労をさせられるものなのだ。そうした意味で言えば、現在放送中の各局のドラマにおいても、そんな数秒単位の労作に、注目してみるのも、1つの楽しみ方と言えるのかもしれない。
文・鹿葉青娘
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