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月9『好きな人がいること』のオジさん的楽しみ方 桐谷美玲ではなくあえてイケメン三兄弟に注目してみた

2016/08/16 11:30 投稿

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フジテレビ系月曜夜9時放送のいわゆる「月9」ドラマ『好きな人がいること』。既に、そのあまりに強烈なイケメンパラダイスぶりが、巷の女性視聴者の間で大きな話題となっているが、そんな本作とは、全力で縁遠い感じが漂う中年男、『時をかける少女』に涙し『そして、誰もいなくなった』でリアルな恐怖に怯える毎日を送る、小汚いおっさんも観ている。


多くの女性視聴者の場合、少女マンガの人間模様がそのまま飛び出してきたような"逆ハーレム"的な状況のヒロイン・美咲(桐谷美玲)の環境に、多かれ少なかれ、ある種の自己投影的な視点を持ちつつ眺めることで、ストレートに楽しむことができるであろうことは想像に難くない本作だが、いかんせん、筆者の場合は四十路のおっさんである。桐谷美玲になることもできなければ、三浦翔平になることもできやしないというのが、極めて残酷な現実なのだ。

中年男というのは、おそらく本作が想定しているであろう視聴者層ではないと推測されるのだが、自分とは懸け離れた世界のものに対し興味がないかというかと言えばそうではなく、勝手に自己流の楽しみ方をしてしまう。その一つが、ドラマに登場する柴崎家の三兄弟である長男・千秋(三浦翔平)、次男・夏向(山崎賢人)、三男・冬真(野村周平)について、身近にありそうなポジションに当てはめつつ、それぞれの持つ魅力を「年上のおっさん」という目線から、改めてチェックしてしまうことである。

たとえば「弟にしたいかどうか?」というポイントがあるだろう。要は、現実社会における自分の置かれている立場や容姿や遺伝子レベルでの関連性などといった大半の事象に目をつむり、単に「彼らのうちの誰を自分の弟に迎えたいか?」と勝手に妄想してみるのである。

長男・千秋(三浦翔平)

筆者の場合、どんなに心優しくデキた青年であったとしても長男・千秋はNGだ。それは単に「兄かぶり」してしまうという理由にすぎない(自分とかなり歳の離れた弟として想定した場合は、「心優しき息子のような弟」的なポジションを当てはめて、おっさんでありながらも「母親」に似た気持ちで眺めてみるのも悪くはない)。

どうせならば、次男・夏向のような「真っ直ぐじゃない真っ直ぐさ」を持つクセ物タイプの弟や、「ひとまず明るく、自分に嘘はつかないだろう」という感じが漂う(と勝手ながら思っている)三男・冬真といった、ある意味、"わかりやすい弟キャラ"を選んでしまいたくなるのだ。要は、デキの良すぎる弟よりも、どこかしら不出来さのある弟の方が、なんとなく「かわいい」と感じてしまうということだ(我がことながら、実に闇の深い内面性なのかもしれないが...)。

次男・夏向(山﨑賢人)

一方、このように「弟にしたいかどうか?」という点において勝る彼らが、「別の状況であったとするならばどうなのか?」というのも、多少おかしな四十路男はついつい考えてしまう。

たとえばそれは「会社の部下ならどうか?」という視点だ。このくらいの年齢になってくると、歳の離れた若い部下というのは、弟、もしくは学生時代の後輩のような感触だけでなく、どこかに"息子"のような関係を勝手に求めてしまうものだ。そうした観点で言うと、基本的に温和な性格で人当たりも良く、優しい雰囲気を絶やさない長兄・千秋のようなタイプが、個人的には好みである。

逆に「弟部門」では長兄に勝る魅力を持つ弟たちについてだが、次男・夏向の「クセの強さ」や「とんがったキッズ」っぽさに、同じ環境で仕事をしていたら苛立ってしまう場面もあるかもしれないし、彼のような"未完の大器"感漂う若手というのは、自己保身という点において、できればそのまま未完のままで終わってほしいという下衆の極みでしかない思いを抱いているからである。

三男・冬真(野村周平)

また、三男・冬真についても、明るくノリの良い馬鹿正直な性格というのは、正直、人としては嫌いにはなれないのであるが、厳かな雰囲気や慎重を期す場面においては、少々心もとなく感じてしまうし、そもそも、こういうタイプが意外と自分を追い抜いて出世してしまったりするものなので、後顧の憂いという点において直属の部下にはしたくないと感じてしまう。

ゆえに、あくまで筆者の感覚に限定して言えば、「部下部門」においては、先述した「弟部門」とは逆に、長男である千秋タイプを部下にしたいという評価になってしまうのだ。きっと彼ならば将来的に自分を追い抜いて出世したとしても、かつての上司である老いぼれを邪険にしないことだろう。

...と、このように勝手に自分なりの設定やシチュエーションを元に、なんとも気色の悪い妄想査定をしては思わずほくそ笑んでしまうという、かなりマズい感じの中年男であるが、とにもかくにも、そうした「ドラマの中には登場しない彼らの日常」について、あれやこれやとその想いを勝手に巡らせてみるのが意外と楽しいものなのだ。

「長男だったらこういうときにどうするのだろう?」「次男だったらこんな場面をどう解決するのだろう?」「三男だったら自分に対してどんな言葉をかけてくれるのだろう?」...。無論、こうした勝手な妄想がついつい膨らんでしまうのは、本作において彼ら三兄弟がとても個性的で、魅力あふれるキャラクターなればこそ。とかく、「月9の恋愛モノ」というだけで食わず嫌いになり、結果として嫁や娘との会話についていけずに人知れずショボンとしてしまったり、会社の同僚女性たちとの間に、共通の話題が見出せずについつい孤立化してしまったりしがちだという世のお父さんは、ひとまず、「モノはためし」と、たまにはこうした自分なりの視点から、こうしたドラマを楽しんでみてはいかがだろうか。...明日からさらに気持ち悪がられることうけあいである。

文・鹿葉青娘

https://youtu.be/e0wuJ2_510A


■『好きな人がいること』公式サイト(月曜9時からフジテレビ系列にて放送)
www.fujitv.co.jp/sukinahitogairukoto/

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