歴史ある宇和島を舞台にした青春ストーリー『海すずめ』に、女優の武田梨奈が主演した。本作で武田が演じる主人公・雀は、若手小説家としてスランプを感じている女の子だ。そこでは得意のアクションを封印して、同世代の女性であれば誰もが共感する人生の壁に悩み、"自分自身"と戦う女性をリアルに表現している。武田自身、女優デビュー直後は上手く事が運ばず、主人公・雀の気持ちが手に取るようにわかったという。武田に話を聞いた。
――とても素敵な青春映画でもありましたが、作品の第一印象はいかがでしたか?
わたし自身も、とても温かい作品だなという印象でした。監督が何年も温めていた作品ということで、念願の映画化だったそうです。そのお話がとても素敵だったので、わたしも全力を出して行こうという想いで撮影に臨みました。
――主人公が体現していますが、アナログで不器用なことも人生では大切ですよね。
いまの時代はSNSが発達していて、感情を表現する場所がいろいろなところにあると思いますが、主人公のすずめはそうではなくて、そういうところに依存しないんです。だからこそ自転車課という職業に就いていて、街の人と交流しているとも思いました。
――リアルに人と交流することで、相手の痛みや気持ちが初めてわかりますからね。
そうですね。人同士が直接ぶつかって初めて成長するということを、この作品で伝えられたのではないかなと思っています。そういうアナログではあるけれども、人としての大切なことにも気づいていただければと思います。
――また、都内のセットなどではなく、実際にロケをすることで気づくことも多そうです。
わたし自身、自転車に乗るシーンが多くて、海風にあたりながら無意識にペダルをこいで乗っていると、何もかも忘れてしまうほどでした。だから、撮影現場で感じ取ることは、いろいろありましたね。またそれが、映像に出ていればうれしく思います。
――主人公のすずめは、世代が近いですよね。その分、感情も入ったのでしょうか?
感情移入するというか、個人的にすずめにリンクする部分がすごくあったので、共感はしました。彼女が小説家になりたいけれど書けないという葛藤は、わたしも20歳になる前にオーディションに300回連続で落ちたことがあったので、よくわかるんです。
――300回! 普通に心折れておかしくない回数ですね......。
そのまま受け続けていいものか、でも受けないと始まらないし、これって頑張っているって言えるのかなとか、もはや自分ではわからない状態になっていたこともありました。そこはすずめとリンクした部分というか、感情を乗せやすかったですね。
――結果的に自分の気持ちというか過去を解放することにもつながったのでは???
それはありました。この作品を通して思ったことは、そういうことがあって今の自分があるということで、本当にそう感じています。悩みや苦しみを抱くことって実は幸せなことで、それって人と人とがぶつかっているから生まれるので、一人じゃないんだなって思いますよね。そういうことも映画で観て感じとってほしいところです。
映画『海すずめ』は、全国順次公開
宇和島で撮影した「武田梨奈 2017年 カレンダー」がトライエックスより10月に発売決定!(発売日未定)
■映画『海すずめ』公式サイト
umisuzume.com
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