日本最初の"ポップアート"アーティストとも形容される竹久夢二の生涯を、愛をキーワードに描いていく駿河太郎主演映画『夢二~愛のとばしり』が公開中だ。我々がイメージしている竹久夢二像だけでなく新たな発見も多い作品で、「彼の絵について調べていくうちに、いろいろな人生模様を目の当たりにして、絵の印象さえ変わってくるほどでした」と夢二の妻・たまき役の黒谷友香も驚いたそう。本当の竹久夢二、そして妻たまきとは――
――本作に出演したことで、竹久夢二についての新たな発見はありましたか?
もともと夢二本人について知っていることはありましたが、わたしが演じるたまきさんと結婚して離婚して、またよりを戻すということを繰り返していたことや、お店を経営していたことなどは初めて知り、それは驚きでした。彼の絵について調べていくうちに、いろいろな人生模様を目の当たりにして、絵の印象さえ変わってくるほどでした。
――そのたまきという女性像については、どのように受け止めて演じましたか?
映画を観る方は、そのあまりに激しい性格に共感してくれるかな(笑)。演じている時は彼女の心情を理解しようと思い、最後のシーンまでどうつなげていこうか考えていました。渦中にいないとなかなか本人のことはわからないと思うので、難しかったです。ただ、彼女のように激しい人じゃないと、夢二の才能を受け止められなかったのかなと思いました。
――まるで夢二の作品は、彼とたまきの共同作業だった、という印象を受けました。
わたしもそう思いました。映画を観てくださる方も、彼女がいたから夢二の作品が生まれていたと、そう改めて感じていただけるのかなと思っています。表に出ている絵ではなくて、裏の所で支えている人ですよね。そのことを知ってほしいですね。美しい才能を引き出した、本人だけでなく周囲も影響を与えていたことを知ってほしいです。
――たまきは、ただ強いだけではなく、夢二の創作エネルギーの源にもなっています。
そうなんですよ。ふたり一緒で、みたいな側面があるんです。でも、お互いに邪魔に感じる時もあって、人間臭いドロドロな激しい展開にもなっていく。とても強いエネルギーを持った、激しいふたりなんです。だから、意外だったんです。これほど美しく、静かな絵を描く人がって。ただ、一面だけを見ていたなって思いました。
――ところで、女優として役柄を演じることは、どこが面白いですか?
演じることだけでなく、撮影すること、宣伝すること、皆で一個の何かを自分の一部を使って形作っていくことが楽しいですね。わたしは俳優というパートを担っているということで、それはそこで自分が生かせるものを生かさないといけないなと思っています。たまきの場合も自分の一部を生かしていたので、そこは似ているかもしれないですね。
――また、映画の世界も作品ごとに、新たな出会いと別れの繰り返しですよね。
面白いですよね。ひとつの作品が終わればバラバラになって、また新しい方々と出会って、別な作品に入っていく。その繰り返しは、どんどん自分が再生していく感じというか、いつも一緒ではなくて生まれ変わっていく感じがしますね。たとえば違うものを受け入れていって、新しいことを生み出していく作業も楽しく感じます。
――今日はありがとうございました。AOLニュースの読者は男性が多いですが、本作をどうアピールしていただけるでしょう?
仮に独身の方は、ふたりで何かを成し遂げる結婚生活を、うらやましく思うかもしれないですね。でも、その一方で、たまきさんは怖いかも(笑)。でも彼女からすると、見守っていることに気付いてほしいとも思うんです。男性からすると時にはうっとうしく感じるかもしれないですが、そこが大切なので、そういう目線でも観てほしいです。
『夢二~愛のとばしり』は全国順次公開中
■映画『夢二~愛のとばしり』公式サイト
yumeji-ai.jp
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