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トレンディドラマの裏で大ヒットしたジェットコースタードラマ『もう誰も愛さない』(1991年)

2016/08/09 20:30 投稿

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放送中の連続ドラマ『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(関西テレビ・フジテレビ系列)。人気女優・波瑠演じる主人公・藤堂比奈子が垣間見せる"深い闇"はもちろんのこと、毎回登場するショッキングな事件の内容が、視聴者の注目を集めているが、こうしたスリリングな展開を持ったドラマとして、未だにドラママニアの間で語り草となっているのが、『ON』と同じフジテレビ系列で今から25年前に放送された『もう誰も愛さない』(1991)だ。


当時、人気絶頂だった俳優・吉田栄作を主演に、Wヒロイン的なポジションに田中美奈子&山口智子を起用、見るからに「エリート」といった雰囲気を全開にした不動産会社社長役に辰巳琢郎と、今見てもかなり豪華な顔ぶれが登場するこのドラマは、同時に、登場人物が次々と死んでいくというかなり強烈な内容となっていた。

山口智子の妹役を演じていた観月ありさは記憶障害を追っている薄幸の美少女である上に、姉を庇おうとして殺し屋によって銃殺、同じく山口の弟役を演じていた神田利則は自宅に火を放って焼死、さらにその両親を演じる平野稔&池田道枝も焼死、弁護士役の伊藤かずえに至ってはバラバラ殺人の被害者になった挙げ句にその遺体をゴミ集積所に遺棄される...といった具合に、22時台の放送とはいえ、あまりに壮絶すぎる"大量死ドラマ"となっていたのである。

こうした"大量死"が発生した背景には吉田演じる主人公・卓也の周辺で起きる様々な出来事が、「基本的に悪いほうにしか進まない」という、なんとも救いのない内容であったがゆえのことであるが、そうしたスリリングな展開は、結果として多くの視聴者を魅了することとなる。

というのも、このドラマが放送された91年頃というのは、80年代後期から続いていたトレンディ・ドラマブームの真っ只中であり、実際に同局においても、同じ年にはあの『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』が爆発的な大ヒットを記録。そうした中で明らかに同ドラマが「一線を画す内容」であったことも、その勝因の一つであると言えるだろう。

このことは、多くの視聴者が「おしゃれな男女の恋愛」や「ほんわか系」でドキドキ感や胸キュン感を求める一方で、同時に、「スリリングなドロドロ系」でハラハラ感と絶叫要素も求めてしまうという性質を示しているのかもしれない。なお、このドラマのヒットもあって、翌92年には『あなただけ見えない』が、さらに93年には『もう涙は見せない』と、同じタイプのヒット作を生むこととなったが、そのいずれもが、前出のトレンディ・ドラマや従来のホームドラマの「裏」でヒットした"真逆"とも言える作品。つまり、この手のドラマのヒットは、「それとは180度内容が異なるタイプの作品と共に生まれる」という、隠された秘密が存在しているとも言えそうだ。

さて、そうした中で今年の夏ドラは、TBSが『仰げば尊し』や『せいせいするほど、愛してる』、フジの月9が『好きな人がいること』、日本テレビ系が『家売るオンナ』といった具合に、各局ともに前出の『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』とはまったく異なるタイプのドラマが大人気となっている。そうした意味で言えば、こうした作品がそれぞれ見えない形での相乗効果を生む形で、『もう誰も愛さない』&トレンディ・ドラマのようなヒットを生む可能性も期待できそうだ。



■参照リンク
もう誰も愛さない DVD
http://visual.ponycanyon.co.jp/short/sakuhin/PCBC000050547/?REF=VISUAL

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