ついにに8月11日(木・祝)に日本公開される『ジャングル・ブック』。ジャングルの動物たちに育てられた主人公の少年モーグリを中心に、自然の掟とともに雄々しく生きる者たちの愛や憎しみ、喜びや悲しみを謳いあげる本作の中で、珍しく言葉を話さないキャラクターとして描かれているある動物がいる。この度、その動物とモーグリが劇中、最初に出会う映像が到着した。
https://youtu.be/TDkQihiJI8w
少年モーグリの感動の成長ドラマと共に、本作の目玉となっているのが、実写と見紛うほど緻密に計算され、デザインされたCGの動物たち。広大なジャングルや草原をダイナミックに動きまくり、かつ喋りまくる彼らの姿に世界中が驚愕した。
そんな本作で、劇中で珍しく言葉を話さないキャラクターとして描かれる動物がいる。それがこの映像に登場する"象"だ。オリジナルの『ジャングル・ブック』で登場する象は、ジャングルのパトロール隊として派手に描かれる。木々をなぎ倒し、パトロール隊のマーチを高らかに歌い上げながら一列縦隊で行進する。象を初めてみるモーグリはその行進に紛れ、隊の子ども象とコミカルな掛け合いをする非常に楽し気なシーンとして描かれる。
しかし、本作で描かれる象はそんなイメージとは真逆の雰囲気をまとう。ジャングルの奥から静かに、かつ厳かに登場し、言葉も一切話さない。全編通して躍動感あふれる演出が多い本作の中で、"静"が支配する非常に印象的なシーンだ。
この深淵なシーンに、監督が本作に込めた深いメッセージが隠されていた。象をミステリアスに描いた秘密を、監督はこう語る。「僕らは彼らをスピリチュアルな生き物にしておきたかった。原作の中では、彼らは全てを作り出した地上の神のように見られている。彼らは古来のものなんだ。最終的にモーグリを助けるのは、バギーラを始め彼がジャングルから教わった古くから大切にされている謙虚な気持ちと、感謝の気持ちなんだ」。
小さいモーグリに、生きることのイロハを教えた黒ヒョウのバギーラでさえ、象の前では首を垂れる。まさに象はジャングルの象徴ということだ。監督は、先の来日時に本作が宮崎アニメに影響を受けていることを明かした。
宮崎アニメといえば、"自然"が重要な要素となることが多い。牧歌的な田舎を舞台にした『となりのトトロ』で描かれる"自然"は作品全体を温かく包み込み、『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』での自然は、人知を超えた存在として描かれている。こうして見てみると、本作で描かれる象は、『風の谷のナウシカ』の"オーム"や、『もののけ姫』の"デイダラボッチ"のような存在なのかもしれない。
文明の力が人々の生活を支え、一見するとテクノロジーが全てを支配しているように見える実社会で、人が古くから恩恵を受け、そして時に戒められてきたものへの畏怖と畏敬の念を大事することの大切さを、この短いシーンの中で監督は表現した。そしてそれは宮崎アニメに通じるスピリットを感じずにはいられない。
本作の世界的ヒットには、自分らしく生きることへの賛美と、それをドラマチックに演出する為の最先端且つ最高峰のCG映像、そして生き抜く為に必要なヒントを与えてくれる不変のテーマがそこにはある。だからこそ、ジャングル・ブックのメッセージは深いジャングルの森を超えて、現代社会で必死に生きる私たちの心に刺さるのかもしれない。
『ジャングル・ブック』は8月11日(木・祝)全国ロードショー
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■『ジャングル・ブック』公式サイト
Disney.jp/junglebook
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