毎月毎月、独特なセンスで個性的な特集を組むことで知られているテレビ東京平日昼の『午後のロードショー』。その直前に放送されている『ランチチャンネル』枠の海外ドラマと併せ、多くの根強いファンを擁する同局の午後枠であるが、先月登場した「サメ」や「海の日」特集に続き、今月金曜枠ではあの名作『ベスト・キッド』シリーズが特集されることとなっている。
8月5日に放送される1発目は『ベスト・キッド』(1984)。人気シリーズの記念すべき1本目となるこの作品では、いじめられっ子の少年・ダニエルが、師匠である空手の達人・ミヤギによって鍛え上げられ成長していく。制作にあたっては、あの「世界の三船」こと日本人俳優・三船敏郎に、ミヤギ役がオファーされたものの、彼が断ったことによって、ノリユキ・パット・モリタが起用されたという興味深い逸話も。実は三船が海外からのオファーを断った例としては、『ベスト・キッド』と同じくのちに大ヒットを記録した『スター・ウォーズ』や『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』があげられる。
ちなみに、本作には、主人公・ダニエルが一目ぼれしてしまうお金持ちのお嬢様・アリ役としてエリザベス・シューが出演している。彼女といえば、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990)のジェニファー役などが印象深いが、若い世代の海外ドラマファンにとっては、『CSI:科学捜査班』(2012~2015)のジュリー・フィンレイ(フィン)役の女優といった方がわかりやすいだろう。今でも活躍中の人気女優の一人だ。
https://youtu.be/yDi3an8WgN4
そしてそんな『ベスト・キッド』の空前の大ヒットによって制作されたのが、8月12日に放送予定の『ベスト・キッド2』(1986)だ。前作の後日談的なこの作品では、父危篤の報に触れたミヤギが故郷の沖縄へと里帰りし、ダニエル少年が同行する。しかし、ロケはフィリピンなどで行われたということで、「沖縄」として登場するのは、現実の日本とはかけ離れた「東南アジアのどこか」でしかない国の景色。かつて放送されていた『ウィークエンドライブ 週刊地球TV』(テレビ朝日)内の名物コーナー「奇妙な果実」で紹介されそうな内容が目白押しの作品になっている。
なお、この作品において印象的なのは、沖縄の美少女として登場するタムリン・トミタ。彼女は、日系アメリカ人の父親と、日系フィリピン人の母親を持つ日系人女優で、実際に沖縄の嘉手納基地で生まれたとのこと。本作への出演を期に少しだけブレイクし、以後、『ジェシカおばさんの事件簿』(1994)や『刑事ナッシュ・ブリッジス』(2000)、『BONES』(2010)といった人気テレビドラマのゲスト役を中心に現在も活動を続けているようだ。
https://youtu.be/0rpNGBOiX_I
続いて、巷でお盆休みの終盤を迎える8月19日に放送されるのが、『ベスト・キッド3/最後の挑戦』(1989)。前2作の流れをそのまま受けたこの作品は、いわゆる遺恨対決モノとなっている。復讐を狙いダニエルを空手大会に引きずり出そうと、敵方が躍起になるも、ミヤギの教えを守るダニエルが大会に出場しようとしないことから、ダニエルがプレゼントしたミヤギの盆栽店をぶっ壊すという、嫌がらせを行う。怒ったダニエルはミヤギの盆栽を守るため出場を決意するが、こうした展開は、いわゆるジャッキー映画などでも見られる王道パターン。午後ローファン的にはなんとも楽しいところである。
ちなみに本作でジェシカ役を演じるロビン・ライヴリーは、本作のほかにも『ナイトライダー』(1984)、『X-ファイル』(1999)、『CSI:ニューヨーク』(2005)、『メンタリスト』(2010)といった具合に、人気ドラマに多数、"ちょい役"としてゲスト出演しているため、海外ドラマファン的には「あ、この人どこかで見たことある!」となりそうな人物と言える。
https://youtu.be/6UIfk99IZPk
そして、夏の終わりを目前に控えた8月26日には『ベスト・キッド4』(1994)が登場。この作品で、ミヤギ師匠が空手を教えるのはヒラリー・スワンク演じる現役JK・ジュリーだ。1作目から10年が経過したこの段階になると、もはや「ダニエル君はどこへ行ったのさ?」的になってしまう...。やはりというか、この映画はあまりりヒットしなかったものの、ヒラリー・スワンクは、その後、ドラマテレビシリーズ『ビバリーヒルズ青春白書』(1997)や映画『ボーイズ・ドント・クライ』(1999)、『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)などでの活躍で注目を集め、賞を総なめにするほどの人気女優へと大出世することとなった。
https://youtu.be/bX1bhMAp2ws
このように、作品そのものもさることながら、それぞれの作品に登場する美少女&美女のキュートな姿と、その後の人生に思いを馳せつつ眺めることも、また一興。まだ観たことがないという人はもちろんのこと、既に何回も観ているという人も、改めてじっくりとその魅力を確認してみることをオススメしたいところだ。
文・志根尾蔵夫
■テレビ東京 CINEMA STREET 午後のロードショー 公式サイト
www.tv-tokyo.co.jp/telecine/oa_afr_load/
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