"世界一危険な都市"といわれる南米ベネズエラの首都カラカス。かの地で、ありそうでなかった犯罪撲滅プロジェクトが成果をあげているという。
https://www.youtube.com/watch?v=bfWE3AkemPo
人口10万人あたりの殺人発生件数から判定した「世界一危険な都市ランキング」で、不名誉ながら世界1位(119.87人)のカラカス。この数字は、同じく治安が悪いといわれる南アフリカのヨハネスブルク(30.31人)やアメリカのデトロイト(43.89)の倍以上だ。カラカスの防犯カメラがとらえた映像も、冒頭から白昼堂々と銃を手にした男が強盗に及ぶ様子を映している。ちなみに外務省の危険情報でも、カラカスやその周辺地域は「レベル2:不要不急の渡航は止めて下さい」に指定されている。
実はカラカスでは、必要とされる警察の規模が30%程度しか確保できていない。中でも郊外のエル・アティージョ市はたったの7%。これではひとたび事件が起きても、対処されない可能性の方が高い。そのため人々は犯罪に巻き込まれることを恐れ、外出を極力最小限にしているので、夜間だけでなく昼間ですら人気がない。
エル・アティージョ市と現地警察が抱える「警察の規模を増やす余裕がない。だけど治安の悪化を食い止めたい」というジレンマ。その解消策として実施されたのが、「見えない警官作戦」だった。映像では使われなくなって久しいパトカーが何台も出てきたが、それを利用したのだ。
汚れた外観の掃除に、タイヤ交換 そしてパトカー内部への隠しカメラ設置...そうして再び命を吹き込まれたパトカーを、市内でも特に危険な場所に配置した。そう、文字通りパトカーを"配置した"だけで、中に警官はいない。
市と警察の読みは的中し、パトカーがあることで安心した人々は夜でも街中に繰り出すように。以前なら昼までもほとんど人気が無かったのに、親子連れや女性の姿が増えたのだ。無人だった広場でも、子供たちが遊ぶようになった。パトカーが犯罪抑止力となり、治安の向上に少しでも貢献できた好例と言えるだろう。
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