日本映画として初めて高度5,200メートル級で撮影を敢行、前人未到の感動スペクタクル超大作として公開後も話題が続いている、映画『エヴェレスト 神々の山嶺』。本作では主演の岡田准一の鬼気迫る演技も光るが、伝説のクライマー・羽生丈二役の阿部寛の存在感も見逃せない。「窮地って絶対あるけれど、それって考え方によってはチャンスなんです」と語る阿部寛に、撮影時のことや本作が問いかけるメッセージについてンタビューをした。
――羽生のような伝説的なクライマー役を演じて、"山屋"の気持ちは理解しましたか?
いえ、究極的なところでは、わかり得ない部分もあると思いました。登山家の皆さんに話を聞く機会があって、それこそ最初、そこに山があるから......みたいな回答を期待しましたよ(笑)。ところが皆、明確な答えを持っているわけじゃない。ただ、好きだから。ただ、挑戦したいから登っている。皆それぞれ理由が違い、凄まじい情熱だけが同じなんですよ。
――人はなぜ山に登るのか? という命題を扱って強く生きるということを問う、素晴らしい作品でした。
登山の経験はなかったんですが、撮影を終えて今思うことは、情熱って、すべてを上回っていけるものだということですね。それはこれから先、羽生という男を通してずっと考えていくことになるだろうなと思いました。それって一体、何だろうなって。自分のテーマとして、この先考えていくことになるでしょうね。
――阿部さん自身にも羽生のようにタフなイメージがありますが、たとえばくじけそうな時ってありますか?
基本的にないですね。なぜなら、毎日くじけているから。僕はA型だから、常に細かくくじけているんですよ(笑)。若い頃は、仕事がどうしても自分のやりたい方向にいかない、などということを思ったこともありましたけれど、仕事を辞めようと思ったことは一度もなかったです。よく聞きますけど、僕はなかったですね。
――いま、作品や役柄に身を投じる際には、何か基準みたいなものはありますか?
守りみたいなことはやりたくないって、思いますよね。これくらいの年齢に入ると、そろそろ格があるものだけを演じようとか、危なくない橋を渡ろうとか、わかる人だけわかる世界をやろうとか、そういうことになりがちだけど、わかりやすくていいと思う。危ない橋でいいと思う。そういうことでいいと思いますね。
――今回のこの映画、まさしく道なき道を行くような題材でした(笑)。
壮絶な内容なので、(羽生のビジュアルを見た)北村一輝くんに、「原始人かよ!」って言われましたよ(笑)。
でも、どんな仕事でも、ゆるんじゃいけなと思うんです。常に綱渡り状態に自分を置いておかないと、面白くなくなると思うから。そういう仕事のやり方をしたいなと思っています。
――その想いは、"山屋"の羽生に通じるものがありますよね。
似ている部分もある、かもしれませんね。俳優って仕事は、賭けみたいな面もあると思うので、そのほうが面白い。「さあ、行くぞ」、「この窮地をどう乗り越えよう」みたいな感じがいいんですよ。窮地って絶対あるけれど、それって考え方によってはチャンスなんですよね。
――そのメッセージは、映画を観る人にストレートに伝わると思います。
ある状況に陥った時、楽だった時とか自信がある時は見ていなかった方向に、解決方法があることがあるじゃないですか。自分が大丈夫で、安心している時は見ていなかったけれど、窮地に陥っているからこそ試してみようと思うことがある。だから、チャンスなんです。それって、山登りにも似ていると言ってもいいかもしれないですね。
映画『エヴェレスト 神々の山嶺』は、大ヒット上映中!
■参照リンク
『エヴェレスト 神々の山嶺』公式サイト
http://everest-movie.jp/
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