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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/12/07
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「監督ってそんなに偉いの?」
非公開さん/32歳/漫画家

 監督業のすごさとはなんでしょうか?
 商品開発にしろ映画にしろ、監督は指示を出す存在であって、実際に物を作ったり演じたりするのは監督以外の人々です。
 ですが、監督は作品にとって最も重要な仕事をした人物にみなされます。
 監督業はそんなにすごいのですか?

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 観測する人の「業界の詳しさ」によって違ってくると思う。
 コメントで、「自分自身で管理するとマネージャーの凄さが分かる」とあるけど、本当にその通りです。


■宇宙飛行士ばかりが注目される宇宙開発

 例えば僕は宇宙開発が好き。
 アポロ計画やNASAのマニアなんだけど、いつも「宇宙飛行士は過大評価されてる」と思う。
 宇宙計画が上がるたび、「宇宙飛行士は○○だ!」というけど、最も大事なミッションディレクターや、それぞれの開発のスペシャリストの名前で出てくる人がほとんどいない。

 ジーン・クランツという人がアポロ計画のメインディレクターやっていたけど、この人の名前を知ってる人がほとんどいないよね。
 でも、最初に月に行ったアームストロング船長はみんな知ってるし、1番最初に宇宙を飛んだユーリイ・ガガーリンも知っている。
 だけど、主任ロケット技術者の名前はほとんど知らない。

 宇宙飛行士は宇宙開発においてどんな役割かといえば、野球でいうところのピッチャーみたいなもの。
 球団の強さは監督で決まるし、その次にチームの布陣で決まるよね。

 ピッチャーは投手力にしか過ぎないけど、野球を見る人は「ピッチャー誰か?」で見る。
 でも野球に詳しかったら、監督や布陣やキャンプやトレードに目がいくようになる。

 宇宙開発も同じで、専門の人はそのバックグラウンドを見て、ミッションディレクターやNASAの長官が誰かという見方になる。
 でもそうじゃない人は、1番分かりやすい宇宙飛行士を見るし、インタビューも集中する。


■知らない業界だと注目する役割が限られる

 監督業も同じだよね。映画監督にしても映画ごとに全然違う。
 『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展』という本があるけど、この映画の場合は、おそらく監督よりもプロデューサー・西崎義展の存在が大きい。
 でも押井守の映画の場合は、プロデューサーが誰であろうが、やっぱり押井守の方が影響力が圧倒的に大きい。
 1つ1つが違いすぎるんだ。

 「監督業ってそんなに偉いの?」という質問が出てくることは、いかにそれぐらい映画や監督が出てくるような世界が、理解されてないと思います。

 「社長ってそんなに偉いの?」と聞かれたら、「社長はお飾りの場合もあるから」といえるし、ワンマン社長なら「社長が偉いよね」というように、ケース・バイ・ケースでいえる。
 でも知らない業界であればあるほど、ザックリと「監督」で語ってしまうんだ。


【まとめ】
 その業界について詳しくなければ、注目する役割は限られます。
 監督でも宇宙飛行士でも同じです。
 その業界に詳しくなってくれば、注目できる役割も増えてくると思います。