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「11/22/63」その2

2013/12/12 06:00 投稿

コメント:2

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教養とは「社会基盤を作る公共の仕組み」すなわちインフラである
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おはよう! 岡田斗司夫です。

昨日の続き、スティーブン・キングの新作『11/22/63』の話です。

お話は現代のアメリカ田舎町からはじまります。

主人公は平凡な男性教師。彼はいきつけのハンバーガーショップで「不思議なタイムトンネル」の存在を教えられます。

その穴は1958年の同じ場所に続いていました。

教師はその世界で、知り合いの不幸な老用務員の少年時代に会います。

そして彼の一生を決定した「ある出来事」を変えてしまい、現代に戻ると・・・

不幸な老用務員は、幸福な人生を送っていました。

驚く教師にハンバーガーショップ店長はささやきます。

「もっと大きなことができる。

米国の歴史を悪く変えてしまったあの事件。

米国大統領ジョン・F・ケネディの暗殺を阻止できるんだ・・・」

しかしタイムトンネルは1958年の特定の日にしか通じていません。

大統領暗殺は1963年11月22日です。

つまり主人公は5年以上を過去の世界で生きて、やり過ごさなければいけないのです・・・

キング流「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と言うべき楽しさに溢れたこの小説ですが、読み終わった僕はなんだか絶望感に囚われました。

はたしていま、この素晴らしさがわかる人はどれだけいるんだろうか?

JFKという大統領の意味や,アメリカ史における役割を理解していないと、この小説は単なる「バック・トゥー・ザ・フューチャー」です。

つまり「ある程度の教養や常識が無いと面白がれない」というのも事実。

しかし「新ヤンキー」化しつつある日本人は、JFKとか言われてもポカーンでしょう。

教養体系を同じくしていないと、こんな面白い小説も面白がってもらえない・・・

このままでは、みんな『安藤ロイド』が面白いと思い込むようになってしまう・・・

コンビニのパスタしか知らないと、いつかその味がスタンダードになってしまう・・・

こんな不安がぐるぐるまわって、風邪まで引いてしまいました。

ああ、インテリの僕ちゃんってなんて病弱。

すいません、ふざけました。

時代によって常識が変わるのは当たり前。教養の変質を嘆くのは老人だけかもしれません。

携帯小説でも良い物は良い。

そう考えればいいだけです。

でも考えちゃうんですよね。

この100年、日本人が作り上げた「教養幻想」は、ある種のインフラとして機能していた。

それを手放し、崩れるままにしておくのは惜しいなぁ、って。

・・・とか考えたけど、僕にできることは『11/22/63』をオススメすることぐらいですよね!

面白いです。読んでください!

じゃあ、また明日。バイバイ!


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コメント

なんとなくだけど・・・・そういうことになるのな・・・

No.1 133ヶ月前

ヤッピー層としてではなく、岡田斗司夫として「インテリ」をネタにされても全く不快に思えない…信者乙ですね。

元ネタが解らない、ストーリーが追えないなんてことになれば面白さは半減です。
教養がないと面白くない事はきっと小説以外にもたくさんあると思います。
ケータイ小説は(多分)教養がなくても面白さが解るような作品が多いのでしょう。
確かにそれは僕にとっても「面白くない」話です。
しかし、結局は岡田さんの言うとおり、「良いものは良い」なんでしょうね。

と言っても、岡田さんと比べるべくもなく僕も教養のない人間です。
正直、JFKについても詳しいわけではないですが、岡田さんのオススメという事で読んでみたいと思います。

No.2 133ヶ月前
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