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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/12/12
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は12月4日ニコ生より、ゲストで来ていただいた『この世界の片隅に』のプロデューサー、真木太郎さんとの対談を一部抜粋してお送りします。

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「『この世界の片隅に』裏話 その1 お金が集まらなかったんです」


岡田:
 真木さんとは昔、一緒に仕事をしようとしたんですよね。
 だけど結局は一緒に仕事できなかった。
 一緒にやる前に僕はガイナをやめちゃったから。

 アニメプロデューサーと言っても、ビジネス寄りの方なんですか?


真木:
 そうですね。
 『この世界の片隅に』、おかげさまで30万人のお客様に見ていただいて、興行収入が4億円を超えたんですね。

 僕はプロデューサーって肩書きでやってますけど、もうひとり丸山正雄さんっていう超有名なプロデューサーの方がいて、彼は作る方。

 分けるとなると僕はラインプロデューサーなんです。


岡田:
 丸山さんが現場プロデューサーで、真木さんはビジネスプロデューサー?
 お金を集めたり、宣伝を決めたり。


真木:
 まあお金を集めたり、宣伝とか戦略の責任をしてるのかな。


岡田:
 ヒットしてるんですよね?


真木:
 おかげさまで、ヒットしてます。
 今のところ興行収入4億円。


岡田:
 今年のアニメはヒット作が続いてるから、みんな、4億円でもまだビックリしないじゃないですか。


真木:
 そうですね。
 一般的に、10億を超えると映画としては合格点。

 それからすると、まあ行ける範囲内かなって思ってます。


岡田:
 ほかの大ヒットしたアニメのスクリーン数って、200とか300とか公開して成績を上げてるわけじゃないですか。
 『この世界の片隅に』は何館だったんですか?


真木:
 63館からですね。
 最終的には150くらいになる。

 一応、47都道府県では見れます。


岡田:
 片淵監督が愚痴ってるんですよ。
 「2時間30分あるはずだった、でも真木さんに30分切られた」と。

 30分を切ったんですか?


真木:
 正確に言うと、切ったのは監督です。
 私は予算とスケジュールを縮めたんですね。

 結果、ちゃんとスケジュールを合わせるためには、すでにあったコンテの中から30分近くカットせざるをえなかった。


岡田:
 そういう場合、「30分、切ってくれ」っていうのに対して、丸山さんは何も言わなかったんですか?

 たとえば『オネアミスの翼』の時だったら、真木さんの立場がバンダイにいる渡辺さんって人。
 僕が丸山さんみたいな、プロデューサーになる。

 僕それで、渡辺さんと、そののち10年も会えないほどの大喧嘩をしたんですよ。

 片渕監督は、「切れ」っていわれたら切るかもしれないけど、そこを守るのが丸山さんの役割でもあるわけでしょう?


真木:
 それは経緯が違っててね。
 元々、この作品ってお金が集まらなかったわけですよ。


岡田:
 すごい大事なことを、すごいサラッと言いますね(笑)。


真木:
 お金が集まらない期間が長かったんですね。

 実は僕は「一緒にやってほしい」って事で、途中から丸山さんに呼ばれた。

 僕が入った時には2時間30分バージョンのコンテができていた。
 このコンテに従って制作費を計算すると、4億円になったのね。

 丸山さんも僕も、この4億円を集めに行ったの。
 それで、僕が入ってから1年半くらいかけましたけど、4億円は集まらなかった。

 「じゃあ、どうするんだ?」という会議になって、「これは2億5000万円にしましょう」となったんです。


岡田:
 2億5000万円も思い切った予算ですよね。


真木:
 「2億5000万円も集めてこれるのか」って話になって。
 「それは、まあ集めてきますよ」と。
 「じゃあ2億5000万円をベースにしてやりましょう」という話になったんです。

 結局、できなければ意味がないでしょう?
 完成しなければ意味がないでしょう?

 どっちをとるかってことですよね。


岡田:
 予算を縮めればスケジュールと作業費を、切らざるを得ないですよね。

 じゃあ真木さんが切ったのは、「4億円が必要だろう」というバジェットを、「2億5000万円におさめてくれ」と。

 「スケジュールも2016年の夏、もしくは秋に収まるようにしてくれ」と、そういう話だったんですね。


真木:
 そうですね。


岡田:
 じゃあ、ここから先は、丸山さんなり、片渕監督なりのさじ加減。
 2億5000万円で2時間半の映画を作るという方法もあったかもしれない。


真木:
 あったかもしれないけど、実際、現実的にはカットして作り上げたってことですね。


(その2 につづく)

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