いつも何気なく使っている言葉。その由来や語源まで気にすることは、あまりないのではないでしょうか。
そこで今回は日常会話やニュース・ネットなどで何気なく目にしたり耳にしたりする言葉の、ちょっと面白い由来や語源をご紹介します。
「割り勘」
「デートする時に女子におごるか割り勘か」「お酒を飲まないのに飲み会が割り勘じゃ割に合わない」などニュースやコラムでよく目にする「割り勘」。
元々の言葉である「割り前勘定」という言葉が縮まったものです。ではその「割り前勘定」はどこから来たのでしょうか。
割り前勘定の言葉…というか「料金を人数で割り、等分に支払う」というシステムを考案したのは、江戸時代に活躍していた浮世絵師であり戯作者でもある山東京伝(さんとう きょうでん)だそうです。
友人たちと食事や酒を飲むたびに勘定を人数で割っていたところから始まったのだとか。
当時は山東京伝の名前を取って「京伝勘定」とも呼ぶこともあったそうですよ。
「タメ」
相手や立場や年齢を気にすることなく、友達のように口をきく「タメ口」。
同い年のことを「タメ年」と言うぐらいなので、「タメ」は「同じ」というニュアンスを含んだ言葉なのだろうと予想はつきます。
気になる由来はと言いますと、サイコロの同じ目のことを指す「ゾロ目」です。博打用語でゾロ目を「タメ」と呼んでいたことから広まったとされています。
1960年代、昭和初期あたりからタメが「五分五分」や「同じ」という意味で使われるように。
広めたのは不良少年たち。悪いものへの憧れがそうさせたのでしょうか。そのまま若者用語へ変化し、一般的に用いられる言葉になりました。
「イライラ」
物事がうまくいかない時などに感じる頭をかきむしりたくなるような不快感。「イライラ」という言葉はその状況をあらわすのにぴったりな言葉に思えます。
その語源となったのは草や木などに生えている「トゲ」だそうです。
トゲのことを昔は「イラ」と読んでおり、その語源の通り、昔はトゲが出ていることを意味していました。
それが転じてトゲに刺されたときのチクチクっとした感覚を意味するようになり、さらに不快な刺激を受けた時にも用いられるようになります。
漢字で書くと「苛々」や「苛苛」という表記になりますね。苛には ① 草木のとげ② 魚の背びれのとげ③ イラクサなどの意味があります。
「黒歴史」
子どものころに書いた日記や漫画、小説、ポエムなど思い出したくない、記憶のかなたへ放り投げてしまいたい過去について使われる「黒歴史」。
筆者もニュアンスで何となく「黒歴史だ~」と使ってしまいますが、この言葉はどこから来ているのかご存知でしょうか。
黒歴史という言葉が初めて使われたのは、アニメ『∀ガンダム』でのこと。
過去に行われた宇宙戦争の歴史を意味する言葉だったようです。そこから思い出したくない過去などを表すようになり、いま使われている意味に落ち着きます。
ちなみにアニメが放送されたのは1999年4月から2000年4月。そのあと2002年に映画が公開されました。
意外と最近うまれた言葉なんですね。
「モテる」
異性から人気があることを示す「モテる」という言葉。モテは人類にとって重要な課題なのか、洋服でも何でも「こうすればモテる!」といった宣伝文句をよく目にします。
ではその「モテる」にはどんな由来があるのでしょうか。
まず「モテる」が使われ始めた時代ですが、なんと江戸時代にはすでに「もてる」という言葉が存在していたそうです。
漢字で表記する際は「持てる」と書きます。
「持てる」はそのまま「持つことができる」の意です。そこから① 保たれる。維持される②人気がある。人から好意をもたれ、よい扱いをうける。といった意味へ派生します。
人を魅了する何かを持っている→それを保ち続けられる→人気がある→モテるという流れのようです。
「ビビる」
びっくりした時や怖がってビクビクしている時に使われる「ビビる」。実はかなり歴史のある言葉だとご存知でしたか?
「おじけづく」という意味で使われ始めたのは、なんと平安時代から。鎧が触れ合うと「びんびん」と聞こえることから、この音を「びびる音」と呼んでいたそうです。
源平の合戦で、水鳥の羽音を敵襲と聞き間違えたという有名なエピソードがありますが、この「びびる音」と水鳥の飛び立つ音を聞き間違えたのではないかとのこと。
江戸時代には楽屋言葉として、舞台前に緊張しておじけづいてしまうことを意味するようになります。
そして1970年代。いわゆる「ツッパリブーム」の時に、ケンカや悪いことをする前におじけずくことを指すようになりました。
もしかしたら平安や江戸時代でも「あいつビビりだ」なんて言われることもあったかも知れませんね。
いかがでしたか?
意味を知っているからと何気なく使っている言葉も、由来や語源を知るとちょっと見方が変わってきます。
日本はオノマトペなどたくさんの独特な言葉があります。奥が深い言葉の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。
参照元:日本語俗語辞書 / 語源由来辞典 / 日本語不思議辞典 / Weblio辞書
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