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EACI News Weekly 第13号(4月3日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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【目次】
【1】《今週のニュース 3/28-4/3》
政治(2)、経済(2)、国際(1)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.097》
4月6日(月)20時 鳩山友紀夫×古賀茂明対談(元経産省官僚)「I am Not Abe」
http://ch.nicovideo.jp/eaci/blomaga/ar761694
【3】《EACIレポート》
孫崎享氏(東アジア共同体研究所所長)の新刊「日米開戦の正体―なぜ真珠湾攻撃と いう道を歩んだか」が4月25日に発刊
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「大アジア主義」
【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 官僚の壁 vol.13 「防衛省の進言」
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【1】《今週のニュース 3/28-4/3》
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【政治】
■辺野古移設 国vs沖縄 激しい応酬の先は?
(テレビ東京 2015.3.30)
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/newsl/post_87225
■辺野古作業停止指示:法の目的は…農相「無効」に疑問の声
(毎日新聞 2015.4.3)
http://mainichi.jp/select/news/20150403k0000m010172000c.html
【経済】
■TPP首席交渉官会合、23~26日米国開催で調整
(日経新聞 2015.4.2 )
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF02H05_S5A400C1EAF000/
■アジア投資銀 51カ国に 中国主導 参加国、15日確定へ
(東京新聞 2015.4.2)
www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015040202000126.html
【国際】
■韓国、日韓首脳会談「必要」7割 東亜日報など世論調査
(朝日新聞 2015.4.2)
http://www.asahi.com/articles/ASH423SH0H42UHBI00H.html
【社会】
■辺野古移設「地方自治を侵害」 愛知・長野の議会が採択
(朝日新聞 2015.4.3)
http://www.asahi.com/articles/ASH415FXXH41TPOB004.html
■愛知と長野の自治体が沖縄米基地を巡り「地方自治の尊重」等を 日本政府に求める意見書を採択
(Yahoo!ニュース/まさのあつこ(ジャーナリスト) 2015.3.30)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20150330-00044350/
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.097》
4月6日(月)20時 鳩山友紀夫×古賀茂明(元経産省官僚)対談「I am Not ABE」
http://ch.nicovideo.jp/eaci/blomaga/ar761694
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第97回目となります、4月6日(月)20時からのUIチャンネル放送は元経産省官僚の古賀茂明氏をお招きして、鳩山友紀夫×古賀茂明対談をお送り致します。
<古賀茂明氏プロフィール>
1955年長崎県生まれ。元・経済産業省官僚。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。大臣官房会計課法令審査委員、産業組織課長、OECDプリンシパル・アドミニストレーター、産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議、「改革派の旗手」として有名に。09年末に審議官を退任したあとも省益を超えた政策を発信し、公務員制度改革の必要性を訴えつづけたためか、10年秋に参議院予算委員会で仙谷由人官房長官から「恫喝」を受ける。1年半以上にわたって大臣官房付に留め置かれ、11年9月26日付で辞職。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社)、共著『日本が融けてゆく』(飛鳥新社)等多数。
※会員(月額324円)の方は全編視聴できます。非会員の方は有料(150pt)となります。(会員になるには携帯キャリア決済、カード決済が可能です。個別映像を視聴する場合は、ログイン後、ニコニコポイント150ptにてチケット購入してください)
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【3】《EACIレポート》
孫崎享氏(東アジア共同体研究所所長)の新刊
「日米開戦の正体―なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだか」が4月25日に発刊
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東アジア共同体研究所所長兼理事の孫崎享氏の新刊「日米開戦の正体―なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだか」が4月25日、祥伝社より発行されます。
■日米開戦の正体―なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだか
URL: http://urx.nu/j7zd
孫崎氏はこの書籍を執筆した目的について、自身のメルマガ(2月1日号)で以下のように語っています。
「今回、日露戦争から、真珠湾攻撃までの期間を書く目的はただ一つです。『何故真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだか』です」
歴史の分岐点では、さまざまな選択肢の中で決断を重ねていきます。孫崎氏は現在の日本の進む道に対して危機感を抱き、「何故、原発の再稼働、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加。消費税の増税、集団的自衛権、秘密保護法等、日本の生き方を根本的に替える『戦後最悪の愚策』を行おうとしているのでしょうか」といいます。
さらにメルマガの文末では、「今、本を書き終えて、あらためて、現実の問題を考える時に、真珠湾へ何故突き進んだかを考察することが役立つと思っています」と締めくくっています。ぜひお手にとって、歴史を振り返りながら、現在の情勢を考えてみてはいかがでしょうか。
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「大アジア主義」
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大アジア主義
1924年11月、孫文は神戸高等女学校で「大アジア問題」と題する有名な演説を行った。
「日本がこれからのち、世界の文化の前途に対して、いったい西洋の覇道の番犬となるのか、東洋の王道の干城となるのか、あなたがた日本国民がよく考え、慎重に選ぶことにかかっている」
この講演の90周年を記念して昨年11月末に神戸大学国際交流推進機構アジア総合学術センターによる国際シンポジウム・講演会が開催された。今回のレポートは講演者の一人である王柯教授といろいろとお話した内容をお伝えする。
3月10日(火)、神戸大学の王柯教授と一日過ごした。久米村発祥の地、福州園、ペルリ提督上陸碑、中島の大石、孔子廟跡、沖縄大学、沖縄タイムスなどをご案内した。王氏は「東トルキスタン共和国研究」(東大出版会)や「多民族国家 中国」(岩波新書)などで名高い。去年、中国にしばらくつかまっていたことを覚えている人もいるかもしれない。18日間、取り調べられた、とのことだった。神戸で昨年行われた 孫文「大アジア主義」講演会 報告集を頂いた。
「侵略を認めよ」
最初は王氏との話で印象に残ったところを羅列してみよう。
王氏「北岡伸一の、侵略戦争という言葉を安倍首相の談話に入れる、(アジアへの)侵略であったという認識は99%の歴史家の常識だ、という発言は大きい」
北岡氏の発言には私も驚いた。安倍首相のブレーンで対米追随の学者と思っていた。積極的平和主義(≒戦争が出来る国へ)と侵略を認めることとどうつながるのだろうか。昨今の発言にはさすがのアメリカのネオコンも「まずいよ」と思っているのではないか。
*以下は関西出身の武器商人、日系二世のミックス阿倍野にかかってきたユダヤ系アイルランド系米国人ネタニエフ・オコンネル(通称ネオコン)の電話の盗聴記録?より。
「あかんなアベちゃんも。いちおう侵略でしたと認めて、これからはそないなことが起こらように、あんじょう自衛隊も武器も世界各地に派遣しまっせ、と言ってくれんと困るやんか。イスラム国との取引はせいぜい1兆円、国と国との争いやとロジからシステムから桁違いやで。分かってんのかいな、ほんまに。ほんで、どないだ?今年の阪神」
王氏とは、北岡発言は安倍談話の下敷きである、と一致した。
王氏「西洋と中国の絵画の違いは、西洋は人物を大きく、山水画は小さく描く。東アジア世界の人々は常に自然の法則(道=タオ)との関係で人類社会の有り様を考えていた」
なるほど西洋やイスラムは人間と神との契約、東アジアは人類と自然との契約、と言えるかもしれない。だからといって東アジアの人々が自然を大事にしているかというと疑問だ。カリマンタンのオランウータンが出そうな森の近くに行ったことがある。3時間半ほど続く道の両側に、ビニールの包み紙や即席ラーメンのカップなどのゴミが途切れることがなかった。ああ、ここにはまだ自然を守らなければ、という考えが根付いていないと痛感した。
とはいえ昔から東洋では、山を削り、海を埋めるような大工事は(中国の大運河建設を除いては)少ないかもしれない。近年はめちゃくちゃだが。
西洋の詩は中国の詩と違って自然を詠ったものは少ない、イギリスのワーズワースなどは18世紀の話だ。
東アジアの「共同知」として、東洋的な自然崇拝をもう一度甦らせなければならない。
以下は私の責任で書くことにする。大アジア主義の講演報告集は、未定稿につき引用禁止となっている。これは発言が中国政府などに恣意的に引用されたらどうなるか分からない―発言者の逮捕など―と恐れた、一種の防衛策であると見た。
中国がチベットや「東トルキスタン」の独立を絶対に認めない理由を、国外の研究者は「ドミノ理論」で解釈しようとする。しかしそうではない、と王氏は言う。「多民族国家 中国」(岩波新書)のあとがきを引用しよう。
「しかし中国国民にとって、周辺の民族が中国に見切りをつけるということは、支配者の資質が問われる問題でもあり、多民族国家体制を維持できるかどうか、つまり「中国」が成り立つかどうかという根本的な問題にもかかわっている」
王氏の「東トルキスタン共和国研究」などは、中国そのものを危うくする「国禁の書」ではないか。昔読んで面白かったが、本が多すぎるので処分してしまった。惜しいことをした。2年前にトルコのイスタンブールを訪れた時、東トルキスタン独立運動のセンターがきっとあるはず、とあちこち回り、モスクの中にある事務所を探し出したことを思い出した。国際的な会議を近く開催するので招待する、とのことだったがいまだに招待状は届かない。
中国西部のウィグル族の動きは通信社のアンカラ支局から配信されることが多い。中央アジアのイスラム運動の動静は、トルコ側からも見ておくことが大事だろう。極端な例だが、「イスラム国」の兵士志望者はトルコ経由で越境する。
中国政府も「覇道」を歩んでいる
孫文「大アジア主義」講演 報告集には、中国政府への批判はない。しかし孫文の王道と覇道を引きながら展開される講演の趣旨をよく読めば、日本政府、中国政府双方とも明らかに王道を歩んでいない、ことが分かる。
アメリカのコーネル大学人文学部 酒井直樹教授は「ひきこもりの国民感情と恥の情について」と題する講演で安倍晋三自民党政権の時代錯誤を厳しく批判している。戦後一貫して日本がおかれた植民地状況を黙殺しているだけでなく、東アジアに現出しつつある新しい現実、そして中国、台湾、韓国経済の台頭が生み出しつつある新しい世界の有様が全く無視されている。いうまでもなく、戦後の日本はアメリカ合州国の属国です、と酒井は断言する。
「脱植民地化と下請けの帝国」と題する節では、パックス・アメリカーナの覇権の下、この下請けの帝国主義者の人種主義的な尊大さと卑屈さの両方が指摘される。そしてアジアとの共同知の条件の一つは、この優越感と劣等感のコンプレックスからいかに脱却するかが含まれている、と言う。
3月16日(月)午後8時からUIチャンネルで東アジア共同体研究所の鳩山理事長、孫崎所長、高野研究員が出演した。冒頭からの「視聴者」の声は「よく日本へ戻れたな、クリミヤに住め、中国へ移住しろ」などのヘイトスピーチの洪水であふれた。この時、愚鈍な安倍の追随者、下請けの孫請けのひ孫受けのそのまた下のプチ帝国主義者達の悲鳴を聞いたような気がした。アジアの人々との交流から逃げ回る「ひきこもり+犬の遠吠え軍団」。
*養老孟司によれば―ひきこもりは全く心配ない、恐竜時代には人間はみな洞窟にひきこもっていた(その時代は人間に近い猿か?)―そうだ。だったら下請け帝国主義者たちも下品なスピーチをまき散らさず、それぞれ洞窟にこもってくれ。
大アジア主義というと大東亜共栄圏を思い浮かべる。しかし王氏は、この大は―東アジアを「大事に」、「大切に」-することを指す。「そして東アジアの「王道」文明に誇りを持つべきである、という深い思想」だと強調する。「孫文から見れば、これこそ当時の日本の日本政府に欠けていた」―そして現在も欠けている―思想だ。
子供時代、私が寝ている部屋の床の間の上に横長の書があった。左から緒方なんとか先生 まごふみ、「愛博」。大きくなってからこの書は右から読んで博愛、緒方南溟(なんめい)先生、孫文、清之亡年と書かれていることが分かった。緒方南溟は私の祖父。辛亥革命の直後に宮崎滔天と共に香港で孫文と会い、貰った書だ。左端に記された年については、孫文はしばらく考えた後、「清之亡年」と書き、微笑んだ、という。-この書は兄の家に飾ってある。もう一枚、正方形の紙(乗っていた船のレターヘッド)に「海不揚波 孫文」と書かれた書を私が持っていたが、残念ながら無くしてしまった-
「博愛」はキリスト教の影響で、フランス革命の友愛と直ちにつながる訳ではなさそうだ。東アジア共同体を構想する上で、孫文の博愛や王道もキーワードになるだろう。
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【5】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 官僚の壁 vol.13 「防衛省の進言」
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駐日米大使ルースと顔を合わせた防衛省防衛政策局長の高見沢将林が口を開いた。論点は、近く予定されていた米国防長官ゲーツの来日についてだった。
「米軍普天間飛行場の移設問題では、長官から北沢俊美防衛相に米側の考えを率直に話すことが不可欠だ。普天間問題は防衛相にとって最優先事項になる」-。高見沢はこうルースに進言した。
さらに伝える。「防衛省は、長官に(辺野古移設の)現行計画が唯一実現可能な計画であることを強調してほしいと望んでいる」
2009年9月に首相に就任した民主党代表の鳩山由紀夫は選挙で普天間移設の「最低でも県外」を掲げ、党のマニフェスト(政権公約)でも在日米軍再編の見直しを明記していた。だが政権発足から1カ月足らずして、実務を担う防衛省高官は政権の方針とは違う正反対の要求を米側に訴えていた。
同年10月20日のゲーツの来日を前にしたルースと防衛官僚の会談は、内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電に記されている。ルースが同15日付で米本国宛に送ったものだ。会談の日付は明記されていない。別の公電で、高見沢が米国務次官補キャンベルに対し、米軍再編見直しに柔軟な姿勢を見せるべきではないと警告したことはよく知られているが、ゲーツ来日をめぐっても高見沢は日本側の要求を受け入れないよう米側に根回ししていた。
ルースと高見沢の会談には、防衛省の日米防衛協力課長芹沢清も同席していた。
芹沢もこの席で、ゲーツの日本政府への対応として「現行計画が唯一実行可能な選択肢で、これ以上の遅滞は受け入れられないという、明確で強固なメッセージを発することが重要だ」と述べ、より露骨な表現で民主党政権に対する米側からの圧力を求めている。
来日したゲーツは鳩山や北沢、外相の岡田克也と会談し、普天間を辺野古へ移設する日米合意の早期履行を求めて圧力をかけた。ゲーツにどこまで影響したか不明だが、圧力の背景に日本側からの働き掛けがあったことは確かだ。
ゲーツ来日を前にした09年10月12日、キャンベルを代表とする米国務省・国防総省チームは外務、防衛両省と協議した。昼食会合の席で高見沢は、米軍基地内で環境汚染が起きた場合に国や自治体が立ち入り調査をするなどの「環境条項」を日米地位協定に盛り込むとした民主党政権の提起方針に触れる。「米側が柔軟だと認識されると、基地への立ち入り権について地元の大きな要求を招くことになり、米側が環境へのダメージに関する費用負担を負う可能性がある」と指摘した。
防衛官僚らの一連の発言は、普天間の県外移設や地位協定改定を掲げていた民主党政権の安保・基地政策の変質と、日米協議の行方を暗示するのに十分だった。(文中肩書は当時、敬称略)(「日米廻り舞台」取材班)琉球新報提供
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