――今回の「オレンジ色の手帳・巌流島観戦記」は特別編としてインタビュー形式でお送りいたします。
オレンジ よろしくお願いします。
――巌流島の感想をお聞きする前に、オレンジさんはMMA興行の速報ブロクを長いことやられていますが、年間どれくらい観戦されているんですか?
オレンジ 年間で40興行くらいですかねぇ。
――そのペースだとやってる興行はだいたい行く感じですね。
オレンジ もはや「見たい!」というよりも生活習慣になってますね(笑)。
――いまのMMAイベントって試合数がとんでもなく多いじゃないですか。最初から最後まで見届けるのは大変ですよね。
オレンジ ホントそうなんですよ。昔は試合数が多いほうが嬉しかったんですけど、ちょっと限度があるだろって感じになってきまして(苦笑)。昼頃から会場に入って20時に終われば「今日は早く終わった……」という感じですからね。最近はパンクラスが先に本戦をやってくれるので興行側もいろいろと考えてくれてるんですけど。
――オレンジさんが見たかぎり、いま一番勢いがある日本の格闘技イベントはどこになりますか?
オレンジ 地上波やLINE、ファイトパスの中継が充実してて、王者ボーナスなど新しい取り組みにチャレンジしているパンクラスです。ただ、レベルの高さでいえば修斗かなと。修斗はヒエラルキーがしっかりしてるので、上がってくる選手のレベルはしっかりしてますよね。
――興行がバッティングするケースが多いですが、観戦するほうも歯がゆいんじゃないですか。
オレンジ なんでぶつけっちゃうのかなあ、と(苦笑)。
――興行はどうしても土日に集中しちゃうので確率的には仕方ないのかもしれませんけど……。
オレンジ たとえば新宿フェイスと後楽園ホールだと、まあ興行規模が違うので仕方ないかなって思うんですけど。舞浜とディファ有明の興行が同日にあると、ちょっとなんとかならなかったのかなと思っちゃいますよね。
――興行側もバッティングしても客足には影響ないと思ってるんでしょうね。「同日?まっ、いいか」という(笑)。
オレンジ そうなんだと思います。いまの格闘技イベントって、お客さんのほとんどが選手の関係者や知り合いですから、「どっちも見たい!」と困ってるマニアは50人くらいかもしれないです。ファンらしき人はあんまり見かけないですよね。会場にまったく来てないわけじゃないですど。
――潜在的格闘技ファンはたくさんいると思うんですけど、現在のパンクラスや修斗、DEEPのカラーだと、なかなか会場までは足は運びづらいところはありますね。今後はウェブ中継も盛んになっていきそうですから、そうなると気軽に格闘技に触れられるんでしょうけど。
オレンジ ボクがやってる速報ブログも、ファイトパスなんかのネット中継が主流になってくると必要がなくなってくるのかなって。
――見られないから速報が求められてきた、と。
オレンジ そういう意味では、まだ格闘技の速報性のありがたみってギリギリあったんだと思います。
――メジャーイベント以外はなかなか視聴できない環境ですよね。他ジャンルでいえば、いまのプロ野球って何かしらの方法で全球団の試合がライブで見られるんですよ。最近なんて球団によってですけど、2軍戦も見られる時代ですからね。
オレンジ ええええ!? 野球はそこまでフォローしてくれるんですか?(笑)。
――春のキャンプなんて多くの球団が朝から夕方までの練習風景をニコ生で垂れ流していましたし。
オレンジ それも凄いですね(笑)。格闘技興行もどんどん中継環境が整っていく時代なんですかね。そうなるとますます速報の必要性が薄まっていくんですけど。
――格闘技全盛期だった00年代と比べてアクセスに変わりはありますか?
オレンジ そんなに変わりはないんですけど。ビックリしたのが巌流島の速報のアクセスが思ったよりなくて。修斗やパンクラスの3分の2くらいですかね。
――あれ、それは意外な結果ですね。
オレンジ ツイッターだと見に行ってる人で盛り上がってるふうですけど。
――オレンジさんはどこの席で巌流島を見られたんですか?
オレンジ 3階の一番安い席ですね。ツイッターだと「ガラガラだ」というつぶやきもあったんですけど、同じTDCホールでやったREALやWSOFのMMAイベントと比べたら全然入ってました!(笑)。
――そこと比較しないでください(笑)。
オレンジ REALの2階なんて肉眼でお客さんを数えられたし、両手で収まるほどだったんですよ。かつてのパ・リーグの藤井寺球場、川崎球場の外野席クラスで(笑)。気になったのは巌流島は円形のリングなので、3階の後ろの席からだと、会場の傾斜的にリングの半分が死角で見えないんですよ。もしお客さんが後ろまでギッシリと入っていたら「見られない!」という苦情が入ってたんじゃないかな、と。
――あー、それは主催者が3階席からリングを見える風景をチェックしてなかったパターンですね。
オレンジ 全体としては6割7割は入ってたんですけど、気になったのは安い席はけっこう空いてたんですよね。一番安い席は半分の入りですね。
――TDCは2000〜2500人規模。チケットが売れる興行は高い席と安い席から売れていくと言いますから、察するにはそこまで券売はよくなかったのかもしれませんね。
――REALという誰もが幸せになるモノサシ(笑)。
オレンジ ただ、巌流島は修斗やDEEPと違って、選手や関係者の知り合いが来てる感じではなくて、会社帰りのサラリーマンが多かったですね。久しぶりに格闘技を生で見ようという人が来ていたというか。最近の格闘技興行の雰囲気とはちょっと違いました。
――巌流島のオープニングは甲冑戦が行なわれたんですよね。
オレンジ はい(笑)。簡単に説明すると、甲冑を身に着けた武士が模擬刀や槍を持って3vs3で戦うんですが、けっこう会場は盛り上がってましたね。「ガチ甲冑戦」という名前がチープなのは気になるのはところなんですが(笑)、想像以上に迫力がありましたし、「戦国武将=イケメン」という風潮が世の中にあるので、ひょっとすると女子ウケするコンテンツなのかなんて思いました。
――ただ、競技化するのが難しそうですね。
オレンジ そうなんです。一番難儀なのはルールだと思いまして、甲冑のあいだから切り込めば勝ちなんですけど。真剣を使ってるわけじゃないから切っても血が出るわけでもないし、勝敗はレフェリーの主観に委ねられるので。
――ホントに殺しちゃうのはわかりやすいですけどね……(笑)。
オレンジ それはできないですからねぇ(笑)。レフェリーが「いまは上から槍で突いたように見えますが、下の選手が上の選手の短刀を奪って刺したほうを有効とします」と説明するんですけど、そんなの観るほうには伝わらないじゃないですか。血糊が出るとかにしたらわかりやすいかもしれませんけど。甲冑戦は本当は30vs30、15vs15でやるみたいなんですが、どうやって勝敗を決するのか気になりますね。
――ほかのアトラクションとしては空手家による喧嘩術も披露されたんですね。
オレンジ あー、喧嘩術。ボクが見るかぎり、おじいちゃんが頑張って体操をしてるようにしか見えなかったですね(笑)。
――ハハハハハハハハハハ! 喧嘩は強そうでした?
オレンジ いやあ……迫力もないし、意味もなく時間も長いし、お客さんも飽き始めて会場がザワザワし始めて。椅子に座ってるときに襲われたときの対処法を披露したりしてましたね。
――椅子に座ってるときに襲われるって超レアケースですよ。喧嘩術の有効性が見えない(笑)。
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