RENAの飛びつきで腕十字、鬼気迫るアンディ・サワーのラッシュ、総帥シーザー武志会長もレフェリーとして登場! RIZINで大活躍だったシュートボクシング勢。その舞台裏をシュートボクシング広報の森谷吉博氏が語る! あの飛びつき腕十字は「必然の奇跡」だった!!
「正直、彼女は立ち技では先が見えていない状況。今年のどこかの後楽園でメインイベントで試合をさせてもらって引退でもいいかな……みたいなのがモチベーションというか最終目標になっちゃってたところはあったんです」
――昨年末のRIZINでシュートボクシング勢が大活躍されましたね!
森谷 RENAも凄かったし、サワーも強かったですね。曙vsボブ・サップのレフェリーをやられたシーザー(武志)会長も入場曲付きで登場させていただいたし(笑)。
森谷 じつは一昨年の大晦日開催の話が、榊原(信行)さんと会長のあいだであったんです。
――昨年ではなく2年前にもやる計画があった、と。シーザー会長も出席された曙vsボブ・サップの会見のときにも、じつはシーザー会長がポロリとおっしゃってましたよね。
森谷 けっこう前からあったんですよ(笑)。だけど、一昨年の段階では準備が足りないということで流れて。それで昨年の6月7月くらいに、また榊原さんからお話があったそうで。そのときからRENAの名前は上がっていて、具体的に話を詰めたのは8月に入ったくらいですかね。会長は「SBルール以外は無理だと言うよ」とおっしゃっていたんですけど。
――というと、RENA選手にMMAルールの打診はあったんですね。
森谷 なんとなくあったっぽいです。会長は「やったことないんだから、そんなことはさせられないよ」なんて話をしてたんですけど。ウチの緒形(健一)がK−1MAXの日本トーナメントの1回戦で武田幸三選手とやったときに、ちょっと雰囲気が似てたんですよ。
――どういうことですか?
森谷 あのときウチの大会がそのK−1の2週間前にあったんですけど。そこでヒザのケガをした緒形に「K−1に出てくれないか」というオファーが谷川(貞治)さんからあったんですよね。
――かなりムチャなオファーですね(笑)。
森谷 もう無理じゃないですか。それでも谷川さんが会長に会いに来て話をしたんですけど。谷川さんが帰られたあとに、ボクが会長から呼ばれたんですが、開口一番「緒形の評価ってあんなに高いんだな!」って。
――話がまとまっちゃったんですか!(笑)。
森谷 いやもうビックリしちゃって(笑)。 ギャランティの話もそうですが、その年にS-cupにK−1からアルバート・クラウスと、もうひとりの選手も貸すと。
――かなりの条件だったんですね。
森谷 緒形本人を呼んで話をしたら、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてて(笑)。「おまえがやりたくないなら無理をしなくてもいい」とは言うんですけど、緒形は「会長が行けというなら……」と。
――今回もその雰囲気に似てたんですね。
森谷 会長が榊原さんとの話し合いから帰ってきたら「フジテレビの放映も決まっている。対戦相手も選んでいいというし、こういう機会はRENAにとってもいいことじゃないか」と。ボクは「あ、同じだ!」と思ったわけですよ(笑)。
――ハハハハハハハハハハ!
森谷 その何度かの話し合いでRENAのMMAだけじゃなくて、曙vsサップをSBルールでやって、会長がレフェリーを務めることや、MMA挑戦を宣言していたアンディ・サワーの出場なども決まっていったんです。
森谷 そういうことです(笑)。でも、ボクはRENA本人が「MMAやります!」と首を縦に振るのは難しいと思ったんですよ。K-1に出た緒形のときと違うのは、RENAがやったことのないMMAですから。
――無理をすればいいって話じゃないですね。
森谷 とくにRENAは昔からMMAが「怖い、怖い!」と怯えていて。「腕をギュ〜ッとやられたり、足をギュ〜ッとされたりするのが怖い」と(笑)。締められたり、極められることがイヤなんですよね。
――顔を「バコ〜ン!!」と殴られるのは大丈夫なんですかね?(笑)。
森谷 「おまえ、もっとエグいことやってるよ!」って話なんですけど(笑)。「パンチは意識が飛べば終わりじゃないですか。ギュ〜ッは耐えきゃいけないし、ボキッと折れたらどうするんですか?」と。RENAはあんまりプロレスを見ていないし、密着して絞り上げられることに恐怖心があるんですね。
――SBでも締めはあるんですけどね(笑)。
森谷 だから不思議なんですよ(笑)。青木(真也)選手が廣田(瑞人)選手の腕を折った衝撃映像を見てたりするんで、「MMAは絶対にイヤ!」ってなっちゃってて。総合を見に行っても立ち技の攻防は見てるんですけど、寝技になると顔を背けるくらい怖がってましたね。
――完全にMMA恐怖症!
――ハハハハハハハハハハ!
――説得が始まったんですね(笑)。森谷さんはRIZINからのオファーはどう思ったんですか?
森谷 正直、彼女は立ち技ではモチベーションが薄くなってるというか、先が見えていない状況だったんですね。
――立ち技では、やりべきことをやりつくしてしまった。
森谷 8年間プロでやってきて、ここ5年間負けていない。誰か若い選手にバトンを渡して去るというイメージもないですし、トップのまま走りぬけたい気持ちはある。それで、今年のどこかの後楽園でメインイベントで試合をさせてもらって引退でもいいかな……みたいなのがモチベーションというか最終目標になっちゃってたところはあったんです。
――引退も視野にあった! グローブを置く準備はできていたんですね。
森谷 はい。まだライバルがいたり、新世代に凄い選手が現われて……というなら、またモチベーションは違ってくるんでしょうけど。
――巨大なビジネスを背負ってるとかなら、ジャンルの責任感も出てきますけど。
森谷 いかんせん女子だけの大会やっても、男子よりもはるかに小さい会場ですし。そういう中で、このRIZINのオファーはRENAにとってひとつのチャンスかもしれないなって。これまでも、バラエティ番組でもなんでも積極的に出演させて、あの子の試合が地上波で流れるようにならないか、ということはやってきたんですけど。
――RENA選手ってメディアに出まくってますよね。PRIDE・K−1消滅以降の世代では一番かも。
森谷 出てますけど、そこから繋がっていかない。点で終わってしまっていたので。そこから「RENAの試合を見てみたい」という流れは作れてなくて。彼女のブログも一時的にアクセスは増加するんですけど。それにはもっと試合を露出しないといけないのかもしれないですし、RENAはシュートボクシング、女子格闘技が盛り上がることへのモチベーションは高いので。
――そういう意味ではRIZINはたしかにチャンスですよね。
森谷 なにせ一番はゴールデンタイムで試合できると。あの子とすれば当然SBルールでやりたいんでしょうけど、このチャンスはもの凄く大きい。とりあえずRIZINに出る、出ないは脇に置いといて、MMAの練習をしてみるというところまでもっていったんですよ。
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