Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは、恐るべきUFCスター育成のノウハウ!
ロンダ・ラウジーとコナー・マクレガーは今やUFCの屋台骨を支えるスター選手となっているが、これはけして偶然の産物ではない。もちろん、この2人に魅力と才能があることには間違いないが、こうしたスター候補選手を一般に広くアピールするためには、繰り返し露出していくこと重要になってくる。そこにはUFCの一貫した売り出し戦略がある。エンターテインメント業界やスポーツメディア業界で経験豊富なスタッフを採用し、人脈を最大限に活用することで、UFCはいま、この分野でどんどん進化してきている。
2013年のUFCの屋台骨を支えたのは、ジョルジュ・サンピエールとアンデウソン・シウバという2人のスター選手だった。この年のPPV売上件数600万件のうち、この2選手だけで実に315万件を売りさばいたのだ。この2人が一線を退いた2014年のUFCは、柱となる選手の不在に苦しみ、PPV売上は低迷した。しかしこのころすでに、2015年にはラウジーとマクレガーをプッシュして事業を立て直していくべく、計画が練られていたのである。
ラウジーは「エレンの部屋」(The Ellen Degeneres Show)、「ジミー・キンメル・ライブ」(Jimmy Kimmel Live!)、「トゥナイト・ショー・ウイズ・ジミー・ファロン」(The Tonight Show with Jimmy Fallon)といった地上波トークショーに相次いで出演、Rolling StoneやEsquireといった雑誌にもストーリーが掲載された。UFCはロンダを、何百万もの人が目にするポップカルチャーの中心に押し出したのだ。MMAメディアやスポーツメディアだけに頼っていたのでは、すでにMMAのファンである層にしか届かない。メインストリームメディアでの露出は、やはり反応が違う。ロンダという存在が、より広い層に届き、新たなファンの獲得につながり、ロンダの名前がブランド化していくのだ。ポイントは、ロンダをMMAファン向けに売り込むのではなく、まったく新規の層に売り込んでいくことにある。
たとえば「エレンの部屋」は、昼間に放送されている高視聴率のトークショーである。視聴者層の中心は18~49歳の女性、まさにUFCがラウジーの売り込みを行いたい層である。実はUFCでは「UFC193: ラウジー vs. ホルム」のプロモーションを、このトークショーの人気司会者エレン・デジェネレスのTwitterアカウントからスタートさせている。
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