Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム。今回は活性化する中国MMA市場、その期待と不安……。
今年の9月上旬、中国の国家体育総局は、中国国内のスポーツイベントに関する規制を緩和、自治体当局からの許可を得ることなく自由にイベントを開催できることとした。この表面上の自由化は、実は中国政府独特の、かつ典型的なやり口である。需要と供給の市場原理の枠組みをきちんとお膳立てすることもないままに、まずはとにかくこれまでの中央集権的な管理を遺棄して放置する。すると、これまでグレイエリアでうごめいていた勢力が新たなビジネスチャンスを狙って浮上してくる。何か月か、何年かがたつと、カオスの中にもそれなりの秩序やパターンが生まれ始める。その段階で政府は新しい規制を打ち出し、浮かび上がってきた市場のおいしい部分の権益を取り戻す――古い国営産業に民間の活力を導入するためにさまざまな業界で繰り返されてきた、古典的なトップダウンの行政手法なのだ。
中国のスポーツ業界は沸き立っており、創世記にあるMMAも例外ではない。しかし大手プロモーションにとっては期待と不安が入り交じる。一見、門戸開放のように見えて、政府当局は大規模イベントの利益の行方を隠れた場所から注視している。ルールがなくなった分、それぞれのプロモーションは、何が正解で何が不正解なのかもわからないまま、政府当局からのしっぺ返しを食らわないように、自らのリスクで事業を進めていかなければならないのだ。
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