毎回大好評、和術彗舟會HEARTS総帥・大沢ケンジの格闘技解説コーナー。今回は下馬評を覆してヘナン・バラオンを破ったTJデラショーに大興奮!!
――今日は日本人選手が多数参戦している最近のUFCについてお聞きしたいと思います!
――今日は日本人選手が多数参戦している最近のUFCについてお聞きしたいと思います!
大沢 その前に、ボクがいちばんしゃべりたいTJデラショーなんですよ! 申し訳ないんですけどっ!!
――いきなり大興奮してますけど(笑)。先日のUFCでヘナン・バラオンを倒してUFCバンタム級王者についたTJデラショーですね。
大沢 あの試合、今年のベストバウトですよ!!
――そこまで高評価。
大沢 いやあ、凄かったですね。今度UFCに出る田中のノリピー(田中路教)が練習に来たときにも話をしたんですけど。デラショーは今回の試合で元バンタム級王者ドミニク・クルーズの動きをマネしてたんですよ。
――ドミニクは度重なる負傷欠場でバンダム級の王座返上してますね。マネするとは?
大沢 ドミニクは足をシャッフルさせながら、打撃にしろタックルにしろ、右か左どっちで攻撃してくるかわからない。そのスタイルで無敵に近かったんですけど。それってドミニクしかやっていないオリジナルの技だったんです。「あいつしかできないよなあ……」と思っていたのに今回デラショーがシャッフルを使い始めてバラオンを倒しちゃったじゃないですか。これはMMAの流れが変わりますよ! いやもう試合を見ながら「やりやがったあああああ!!!!!!」って叫んでひっくり返っちゃいましたもん。
――バラオンより早くTJデラショーにKOされた大沢ケンジ(笑)。そのシャッフルをマネするのは難しいんですか?
大沢 難しい。ボクもやろうとしましたけど。要は右でも左でも打撃が打てて、タックルも左右どっちでもできる。それを一秒ごと瞬時に切り替えることができるんです。
――シャッフルはスイッチとはまた違うんですね。
大沢 スイッチは結局、左か右どっちかに構えるじゃないですか。でもクルーズとデラショーは走るように足をずっとシャッフルさせて、どっちで攻めるか相手はわからないんです。スイッチの場合は、攻めるちょい手前には右か左かはわかるんですけど、シャッフルは手前でも決まってない。相手の反応を見ながら、どっちで攻めるか判断するんでしょうね。
――それ、相手は凄くやりづらいですねぇ。
大沢 メッチャやりづらいですよ! でも、あのシャッフルをやること自体が難しくて「デラショー、ホントできんの?」って思っちゃって。
――それができてしまった。バラオンを倒してしまった。
大沢 だから野球でフォークボールを投げる奴がひとりしかいなかったようなもんなんですよ(笑)。でも、もうひとり投げられるようになったら、これはもうみんな使い始めますよね。
――MMAがまた進化する、と。
大沢 しますね。シャッフルは凄く有効ですよ。格闘技って相手に何をするかわからないようすることが大事で。パンチなのか、キックなのか、タックルなのか。ドミニクはギリギリまでわからないようにして勝ち続けていたんです。今回のデラショーなんて足を取りに行くフリをしながら左ハイキックを入れたじゃないですか。
――バラオンはデラショーのスイッチに戸惑っていたどころの話じゃなかったんですね。
大沢 デラショーも後半くらいからシャッフルしなかったんですけど。ドミニクは5ラウンドずっとやるんですよ。いまは怪我して試合できてないですけど、この試合を見ると復帰しても勝てるんじゃないですかね。
――ほかのファイターもシャッフルを使い出しそうですね。
大沢 やるだろうなあ。どう考えたって相手はやりづらいですもん。強い人って何をやってくるかわからない駒の多さってあるんですよ。ジョン・ジョーンズなんていろんなことを仕掛けてくるじゃないですか。アイツはシャッフルしなくても相手を惑わすことはできるんですよね。
――野球でいえばジョン・ジョーンズはいまさら新しい変化球は覚える必要はない、と。
大沢 そうそう。野球でたとえると、ドミニクやデラショーは両手投げなんですよ。
――ドミニクは『ドカベン』の「わびすけ」(木下次郎)だった!(笑)。
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