これまでは稼いだカネを全部違法薬物につぎこんでいた。むかしは、そんなこと構うものかと思って戦っていた。畜生、別に明日、死んだって構わない。あいつをぶち殺してやると思ってやっていたんだ。
UFC82でのクリス「ザ・クリップラー」レーベン対アレッシオ・サカラ戦でのことである。試合開始早々から、レーベンはいつものように、サカラの渾身のパンチを頭蓋骨で受け止めながら前進し続けていた。サカラのパンチは、レーベンの大きな顔面の、文字通りあらゆる場所を打ち抜いていた。レーベンは衝撃を逃そうとすらしていなかった。観客の一人が叫んだ。「レーベン!少しは顔を動かせよ!」。観客は爆笑していたが、ほんの一瞬、レーベン自身もほほえんだように見えた。
レーベンは殴り合いをまったくいとわなかった。自分の荘厳なパンチを1発お見舞いする事と引き換えに、相手の打撃を3発食らうとしても、それがレーベンのマゾヒズムな方程式だった。ほどなくレーベンはサカラをKOした。ノックアウト・オブザナイト獲得だ。レーベンはいつもこんな風だった。
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