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「地下格の選手がプロのトップに対戦要求とかありえない」/大沢ケンジ

2014/01/18 09:45 投稿

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今回の大沢ケンジコラムはインタビュー形式で!プロ興行を凌駕する地下格闘技やプロ格闘家の低下するモラルをテーマにヒートアップ!そしてSNS時代に考える正しい挑発、ダメな挑発とは?(聞き手/ジャン斉藤)

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大沢ケンジの笑いながら怒る人インタビュー


・「だから地下格のモラルどうこうじゃないですよね。プロだってそんなレベルのヤツもいたりするから格闘技界自体のモラルがしっかりしてないんですよ」


・「いまあそこで練習してるのは地下格の選手ですよ。アイツは強いですよ。地下格に強いヤツがいないかと言ったらそんなわけがないで」



大沢 川尻くんのUFCデビュー戦を観にシンガポールまで行ったんですよね? どうでした?
――いやあ、最高でした!  
大沢 ボクはニコ生で観たんですけど良かったですよねぇ。ハラハラドキドキして興奮しました!(笑)。
――本当に面白かったですよねぇ。
大沢 でも、それ以上に試合後の川尻くんのマイクに痺れましたね。だって日本人の格闘家が海外であんなマイクアピールするのっていままでなかったじゃないですか。 
――そういえば、UFCであんなに弾けたアピールをする日本人選手っていませんでしたね。……あ、でも桜庭(和志)さんの「プロレスラーは本当は強いんです」は印象に残ってますね。
大沢 でも、あれは日本大会での話ですし、いまほどUFCという世界が作られてなかったじゃないですか。いや、もちろん桜庭さんのマイクには大興奮しましたけど!!(笑)。
――ハハハハハ。
大沢 試合を終えて一息置いてからどこかの雑誌のインタビューで「誰々とやらせてほしい!!」とかは言えるでしょうけど、試合後の興奮してるときにああやってアピールするってことにもの凄く痺れて。
――ファイターって勢いでマイクはできないもんですか?
大沢 何を言うか試合前に想定してると思うんですよ。何も準備なしでやるとピシっと決まらないと思いますけどね。いいことを言ってる選手は用意してます! これは絶対に!!(笑)。
――今後カッコいいマイクがあったら「ああ、用意してきたんだな」視線で見ます!
大沢 逆に「誰々に感謝!」とか言ってるマイクは何も用意してないときですね。
――ハハハハハ。仲間に感謝パターンもけっこう多いですね。
大沢 もしくはただマイクを持ちたいだけ(笑)。今回の川尻くんも勝ったら何を言うかはある程度、決めていたと思うんですけど……あの場面になったら臆すると思うんですよねぇ。だって初参戦ですよ? 外国ですよ? 英語ですよ? 伝わるかどうかはわからないじゃないですか。それなのにあの勢いはおかしいですよ! 空気読めてないですって!!
――大沢さん、褒めてないですよ!
大沢 川尻くんのマネージャーがシュウ(・ヒラタ)さんなんでUFCのことも理解してるから「なるべく英語で言ったほうがいい」という話はしてたと思うんですけど。でも、ビビると思うんですよねぇ。そこはすっごい勇気があると思いますよ。試合で前に出ることより勇気がいると思いますよ(笑)。
――マイク・オブ・ザ・ナイトを上げたい勢いですね!
大沢 あと相手はやっぱり強かったですけど、川尻くんの置かれた立場からしたら絶対に勝たなきゃいけない試合だったし、あの年齢でタイトルを狙うのであれば絶対に落とせない試合じゃないですか。言ってみれば川尻くんはホッとしてると思うんですよ。勝てるどうかわからない試合に勝ったときは嬉しさのほうが先にあるんですけど。
――安堵感に包まれるわけですね。
大沢 それであのマイクですからねぇ。子供が知らないヨソの家に行っていきなりワガママ言ってるようなもんですよ!
――ダナ・ホワイトにもボーナスを要求するリプライを送ったりして、初めて会った遠い親戚にお年玉をせがむ子供みたいなもんですね(笑)。
大沢 いま川尻くんから目が離せないですよ。何をしでかすかわからないから(笑)。日本だったらお客さんがどういう期待を持って見てるかはわかるじゃないですか。あのときの川尻くんが唯一信じられるのは、その場にはいない日本のファンの反応だけですよ。現地のお客さんはどうだったんですか?
――反応は良かったです。「もっと強い奴とやらせてください!」のときは大拍手でしたし。
大沢 ですよねぇ。言葉うまい・へた関係なく強気でアピールできるヤツは万国共通で面白いんですよ。今回で川尻くんのやり方でも受け入れられるんだということがわかったんで、今後の日本人はアピールしやすいじゃないですかね。しかも川尻くんはツイッターでもガンガンアピールしてるじゃないですか(笑)。
――フェザー級ランカーのカブ・スワンソンにも喧嘩を売って。
大沢 なんか「開き直ったのかな」って。これが最後のチャンスだし、とことんやってやろうという気持ちがあるんじゃないですかね。もしまだ20代だったら違うと思うんですよ。
――もうちょっとスマートにやっていたかもしれませんね。
大沢 いまの川尻くんは「様子を見ないでとことん駆け足で行ってやろう!」と。若い奴らが無茶してやってるわけじゃないから。一周してわかってる人間が「俺ってこうやらないと生き残れない!」と覚悟を決めてやってるわけで。しかもただ、わめているわけじゃなくてピンポイントで攻めてくるしね。結局ね、本気の思いは周りにも伝わりますよね。自分の本音を隠しているとどこかで突っ込めたり、な~~~んか腑に落ちなかったり、凄くモヤモヤするんですよね。「それ、ただカッコつけてるだけじゃないの?」って。でも、川尻くんみたいな本気さって伝わるんだよなあ。 
――あのハラハラドキドキが4月頃にまた味わえるかと思うと楽しみですよね。
大沢 また勝って続いてほしいなあ!
――それにしても相手のショーン・ソリアーノは強かったですね。
大沢 強かったですねぇ。やっぱりああいう奴はいるよなあって。
――アメリカにはあんなのがゴロゴロしてるんですかね?
大沢 いや、いっぱいはいないと思うんですよ。そんなに世の中あんな強い奴はいないですよ(笑)。
――それが代役でやってくるって嫌でしたね。
大沢 それこそ堀口恭司も同じじゃないですか。
――あ、なるほど。堀口選手は代役でUFCに出場して勝ったわけですもんね。
大沢 堀口みたいな選手だと思いますよ。契約するのは秒読みで棚ぼたで出てきたわけじゃない若手。これからはUFCのアジア大会も増えてきて、そこでいい試合をした選手がアメリカ本土で使われる感じになってくるんでしょうね。

――4月はマカオ、次はタイ、日本は9月でやって、あと一回どこかでやって2014年を締めるみたいな話もありますから。UFCのアジアシリーズが日本格闘技界に与える影響は出てくるでしょうね。
大沢 選手がUFCに出場するための壁はちょっと下がりましたよね。これは凄くいいことだなと思いましたけど。前みたいに一回でも負けたらまた5連勝するまで契約できないとか、そんなハラハラ感はなくなりましたから。チャンスの入り口は広がったと思うし、活躍する選手が増えてくることで日本のメディアの取り上げ方も変わってくるんじゃないかなって思いますよ。 
――ジム経営をしている大沢さんからすると、総合格闘技を目指してる人が減ってきてる実感はあるんですか?
大沢 凄くありますよ。凄くあります。総合ってやるのに敷居が高いじゃないですか。打撃、柔術、レスリングとおぼえることが多いから。まず最初に組み技をおぼえないといけないですけど、やってるうちに柔術の試合に出たくなりますよね。打撃をおぼえるとキックの試合に出たくなるし、地下格闘技に出ちゃったりするし、プロの壁にすらたどり着かないというか。ボクのイメージとして、総合という種を植えて芽が上に出るまでに横にそれちゃうんですよね。「プロでやりたい」と言っていたのに芽が出てこない!みたいな。昔と違ってなかなか総合のプロって生まれにくくなってます。
――大沢さんが総合をやり始めた頃はどんな感じだったんですか?
大沢 僕らの頃はアマチュア修斗で勝たないとプロになれなかったし、軽い階級が修斗しかなかったからいまより総合の道は険しかったりするんですけど。昔の慧舟會だとレスリングをやらずに寝技をやってる感じだったので、総合以外のつぶしが効かなかったんですよ。打撃もそんなにやってなかったから。
――だから必然的に総合に行くしかなかったんですか。
大沢 いまは打撃も柔術もやって自分のセンスがどこにあるか早いうちにわかるから、進む道を決めやすいじゃないですか。手っ取り早く地下格闘技にも出られるから、本当に腕を試したい人以外はプロにはならないですよね。
――試合をしやすい環境になったことでプロ志望者が減ってるところもあるんですね。
大沢 出にくくなってますよね。いままでのようなちょっととした動機でプロになった人はいないですよね。地下格はねえ、本当に頭を悩ませますよねぇ。
――いろいろと考えちゃいますか?
大沢 地下格は出場する敷居が低いし、大会も多いから見る側の意識も薄くなっちゃてる。結果的に総合格闘技というジャンルがボヤけてきてる感じがするんでよね。「これもあれも総合格闘技でしょ?」みたいな感じで。ただ、地下格に関してはモラル的な面で批判もありますけど、俺はそこは気にしてないんですよ。

 

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