
──前回のインタビューでは「年を越すために博打をガマンしなきゃいけない」とおっしゃってましたけど。
安田 無事に年は越せたよ。パチンコで10万くらい勝ったからね。
──あ、ガマンしてない(笑)。でも、おめでとうございます!!
安田 全然めでたくないよ。そのあと競艇で15万負けたから!
──ハハハハハハ! 大晦日にABEMAの企画で朝青龍が相撲を取ったのはご存知ですか?
安田 まぁ噂程度で。俺もギャラさえくれたら出たのに。相撲だったらやってみたい気もしないでもない。
──朝青龍vs安田忠夫は見たかったです!
安田 まわしを取っていいんでしょ? だったらチャンスあるじゃん。がぶって組んでからだったら、俺はけっこういい相撲を取るよぉ(笑)。
──第2弾があったらぜひお願いします! 今回は新日本プロレス時代のお話を伺いたいなと。
安田 新日本プロレスのことなんて忘れちゃったよ!(笑)。
──まず安田さんが相撲を廃業されたのはどういう理由があったんですか?
安田 そんなの相撲協会に残れないからだよ。家族を食わすためにプロレスに行ったんですよ。
──安田さんは小結まで行ったけど、引退後の保証はなかったということですね。
安田 その代わりに引退相撲とか全部仕切ってくれた。親方だった千代の富士さんには「残れ」と言われたんだけど「プロレス行きます」ってね。
──新日本プロレスとは話はついてたんですね。
安田 いやね、話はついてたんだけど、直前で断られたんだよね。
──えっ、どういうことですか?
安田 全日本プロレスに断られたの。
──あっ、最初は全日本に入団するはずだった。
安田 この話はあんまり表に出てないけど、馬場さんとキャピタル東急で話をしてね。会ったときは「俺よりデケー!」ってビックリしたよ。
──なんてったってリングネームが“ジャイアント”ですからねぇ。
安田 でも、そのあと連絡がないんだよ。「どうなってるんですか?」って聞きに行ったら「アンタはもういらない」って。
──えっ、それはひどい!(笑)。
安田 あのときはカーっと頭にきたよ! 後楽園ホールの控室で馬場と永源遥をぶん殴ってやろうかと思ってね。でも、まだチョンマゲがついてたからヘタなことできないでしょ。引退興行もオジャンになっちゃうし。マゲがついてなかったら間違いなく馬場を殴ってた。馬場と永源の2人ぐらいだったら倒せるだろって。
──プロレスに行くから引退を決めたのに、凄く困りますよねぇ。
安田 そしたら知り合いが猪木さんに会わせてくれて。猪木さんは話が早かったよ。「やりたいか、どうか?」を聞かれて終わり。ポンポンポーンって決まっちゃったもん。3日もしないうちに、永島(勝司)さんとかと話をして。ただ、新日本プロレスとしては北尾光司で失敗してるから「下からやってもらえませんか」と。
──北尾は特別扱いしすぎて育成失敗しちゃいましたもんね。
安田 いまだから言えるけど、新日本に入ったときから選手扱いの給料だったんだけどね。そのかわり契約金とかはなかったよ。
──引退相撲のお金はちゃんともらえたんですか?
安田 右から左だよ、そんなの。
──あっ、借金返済に。
安田 千代の富士さんに2500万くらい返した。だから俺、千代の富士さんには一銭も借金ないよ。
──というか、2500万も借金すること自体が凄い!(笑)。
安田 先代(元横綱・北の富士)から「オマエをほめてやれるのは、あのケチからよくあんなに大金を借りたことだ」って言われたなあ。
──ハハハハハハハハハハハハ! 借金をキレイにして引退したんですね。
安田 すべてキレイにとは言わないけど……ある程度はね。ガッハッハッハッ!
──ちなみに相撲にいたときの給料はどれくらいもらってたんですか?
安田 安いよ、俺らの時代は。いまの奴らの半分もねぇよ。
──馬場さんからはいくら出すと言われたんですか?
安田 引退相撲をやって、それでも残った借金を立て替えてくれると。
──そんな約束をしたんですか(笑)。
安田 ところがいざとなったら……。あのとき全日本には本田多聞が入ったからさ、俺のことがいらなくなっちゃったんだよ。というふうにあとから聞いたけど。
──新日本では月給200万円だったそうですね。年収2400万円って、いまのプロレス界でもそんなにいないような……。
安田 最高でその金額ですよ。新日本プロレスで一番よかったときが月200万。
──結果的に全日本より新日本のほうがお金はよかったんじゃないですか?
安田 それは言えてる。いまとなっては新日本に入ってよかったよ。猪木さんには非常にかわいがってもらったし。長州力にはイジメられたけど(笑)。
──安田さんにとって天敵ですよね(笑)。
安田 でも、長州さんも最初はかわいがってくれたんだよ!
──どうして仲がよろしくなくなったんですか?
安田 「コイツは俺に服従しない」と思ったんじゃない? 俺は先輩後輩みたい態度で長州さんと接しないから。橋本(真也)さんも長州さんに対してはそうだったでしょ。
──安田さんは“橋本派”ということで睨まれてたんですよね。
安田 そうそう。橋本さんと一緒にいるだけで目をつけられたから。
──長州さんは、橋本さんたちがあまり練習熱心でないことに苛立っていたみたいですけど。
安田 オメーよりはしてたよっ!!
──長州さんより練習をしていたと?
安田 うん。あの人が言うほど俺は練習してなくないから。だいたい練習なんて売りもんにするもんじゃねーじゃん。
──プロは結果がすべてではありますね。
安田 俺が入った頃のレスラーってみんな売りがそれなんだよね。「頑張って練習してます!!」みたいな。そんなに一生懸命練習やっても試合に勝てなかったら意味ねえじゃん。だから口では「練習してない」って言って、陰でやるのが一番なんですよ。
──安田さんもあの巨体のわりには引き締まってましたね。
安田 でしょ。だからやってるって。オマエの前でやんねーだけだよバカヤロウって(笑)。
──なるほどぉ。
安田 そこは考え方が違うから。俺たちプロでしょ? 学生じゃないんだからさ、練習して金もらえるんだったら練習するよ! 違う?
──おっしゃるとおりです。
安田 でしょ。そのへん柔軟になれよって。練習しないでリングに上がってるヤツなんていなかったよ。
──武藤さんや蝶野さんも全然道場に来ない……って言われてましたけど、そのわりにはしっかりした身体つきで。
安田 ちゃんとジムに行ってたでしょ。実際にちゃんとやってたか、やってないかは知らないけど、練習をやってたことにしようよ。たぶん蝶野さんはやってないけど(笑)。
──ハハハハハハハハハ!
安田 ダメだよ、それ書いちゃ(笑)。俺はそんなに練習嫌いじゃないから。けっこうスパーリングとかやってたしね。ベンチプレスだけやるバカヤロウとは違いますよ。
──限定された言い方!(笑)。
安田 石澤くんにはスパーリングでイジメられたけどね。
──あの時代の新日本にはレスリングエリートがゴロゴロしてましたよね。中西さん、永田さん、藤田さん……。
安田 多かった多かった。みんなスパーリングが好きでしたね。いま思えば楽しかったよ、合同練習とか。キツさよりも楽しい思い出。「よくやってたなあ」って。レフェリーの田山(正雄)くんなんかレスラーと同じ練習をやってたし。
──厳しい練習を一緒に乗り越えられたから連帯感が出てくるんでしょうね。
安田 それはあるね。みんなスパーリングを10本くらいやる中、俺は3本くらいしかやんないけど(笑)。
──それだから長州さんに目をつけられたんじゃ!(笑)。
安田 でも、やってることには変わりないから!
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