――笹原さん、謝ってください。
――榊原さんが「井上拓真の名前を知らない」とか「ボクシングのランキングには意味がない」とコメントして炎上した件ですよ!(笑)。
笹原 あー、RIZIN名古屋大会前々日の写真撮影のときにやったYouTubeライブ配信ですね(笑)。
――笹原さんと、くるみちゃんが写真撮影を終えた選手をゲストにトークする配信企画ですね。
笹原 そこに社長(榊原信行)が登場したんですが、コメント欄に「ボクシングで那須川天心vs井上拓真の試合が決まりましたね」という書き込みがあって、ボクが軽く話を振ったらいきなり社長のスイッチが入ったと(笑)。
――ボクシングファンが大激怒する発言を繰り返したわけですね(笑)。
笹原 社長が退席したあとに自分なりにフォローしたんですけど、山火事にコップ一杯分の水をかけるぐらいにしかならなかったですね(笑)。
――ボクは那須川天心vs井上拓真が決まったときにボクシングファンが戸惑う現象が立て続けに起こるんじゃないかな……って言ってたんですよ。そうしたら地上波のニュースでこのカードを報じてたんですけども、井上拓真を「井上弟」表記したことでボクシングファンがブチ切れるという。井上拓真選手の世間的知名度はそこまでないから仕方ないんですけど、こういう現象は今後もあるんだろうなと。
笹原 社長の言い方はアレですけど、実際ボクシングのランキングってよくわからないじゃないですか。私もたまに「ランキング制を取り入れないからRIZINはダメなんだ!」とか言われることがあるんですけど、すぐスイッチ入りますから(笑)。
――まあ、ランキングって目安でしかないですからね。
笹原 井上拓真選手は世界チャンピオンにもなっているし、ボクシング界では有名ですけど、ボクシングという競技からハミ出すようなことをしているわけでもないので、世間的な認知度はあまりないと思うんですよね。
――いまボクシング界からハミ出している存在は井上尚弥と那須川天心の2人だけですよね。とくに井上尚弥は何か奇抜なことやってるわけじゃないのにはボクシング以外にも届いてるからすごいです。
笹原 本当にとてつもないと思います。井上直弥は強さという一点だけで世間までハミ出しているわけですから。そんな真似はできるのはボクシングの歴史の中でも数えるぐらいしかいないと思います。
――ボクシングって地上波で試合をやって露出することで、みんなスターになっていった歴史があるんですけど。井上直弥選手も地上波で試合はしていたとはいえ、そこまでキラーコンテンツだったわけではないし、いまはノー地上波。その中であそこまで突き抜けてるわけですね。
笹原 拳ひとつで黙らせる。まさしく「モンスター」だと思いますよ。
――異名通りの存在だと。
笹原 ただですね、こっちの「モンスター」である社長は黙っていないと(笑)。
――ハハハハハハ。
笹原 井上拓真選手がダメというわけじゃなくて、対する那須川天心が特異な存在なんですよね。
――キック、MMA、ボクシングの各ジャンルにファンがいるし、アンチもいる。地上波で露出していたことで「格闘技ファンじゃないけど那須川天心の試合なら見る」層も作ってきたわけですから。
――ある意味、榊原さんの発言もプロモーションになってますよね。
笹原 絶対プラスになってますよ。なんなら那須川天心は「榊原さん!ナイスアシストです!」くらい思っているはずですよ(笑)。間違いなくRIZINが騒げば騒ぐほどむちゃくちゃ盛り上がると思います。
――それって「那須川天心vsボクシング」というテーマがあるからですよね。そこは那須川天心はボクシングデビューのときから打ち出してるんですけども、デビュー戦こそ日本人でしたけども、あとは外国人だったことで……。
笹原 もちろん強い外国人選手とやっているんですけど、やっぱり誰かよくわからないから、炊きようがないところもあったと思います、今度の井上拓真選手は「井上尚弥の弟」ということでみんなが圧倒的に理解しやすいですからね。
――それこそ地上波や一般メディアが取り上げるときは「那須川天心が井上尚弥に立ち向かう!」みたいな煽り方をしそうなんですよ。
笹原 天心くんもそこらへんはクレバーでよくわかっているから「井上家まとめてかかってこい!」って煽ったんでしょうね(笑)。さすが那須川天心です!
――那須川天心vs武居由樹も期待されてますけど、これだと「那須川天心vsボクシング」じゃなくて「THEMATCH番外編」なんですよね。
笹原 武居選手は天心選手と同じようにキックからボクシングに転向した選手ですもんね。
――「井上弟」問題でいえば、2003年のPRIDE男祭りのカード編成にめちゃくちゃ苦労して、大会1週間前まで決まらなかったじゃないですか。
笹原 ですね。当時は大会ギリギリまであがいて、確か最後にカード発表したのが12月23日とかですよ。
――そのとき田村潔司vsセフォー、桜庭和志vsノゲイラを急遽組んだわけですけど、レニー・セフォーじゃなくて弟のロニー・セフォーだし、ノゲイラは双子の弟のホジェリオで(笑)。
――「田村vsセフォー」「桜庭vsノゲイラ」のテレビのテロップに騙される人はいたはずだし、とくにノゲイラは双子だから見分けがつかないですよ(笑)。無理やりこじつけると「井上弟」もけっこうフックになると思いますよ。
笹原 来年のどこかで井上尚弥vs中谷潤人の日本人対決をやるそうですけど、このカードとは違った方向で盛り上がると思いますね。
――榊原さんは「中谷なんて誰も知らない」とか言い出しそうで怖いです(笑)。
笹原 間違いなく言いそうで怖い(笑)。井上尚弥vs中谷潤人はボクシングという競技の中で完結している試合だと思うんですよ。それがいい・悪いという話じゃなくて、それはそれで当然素晴らしい。
――コアからマスへと広がっていくのが井上尚弥vs中谷潤人で、マスからコアに向かっていくのが那須川天心vs井上拓真ってことですね。で、ボクシングをそこまでわかっていないマスの反応にマニアはイライラするんだろなと。
笹原 この場を借りて予言しておきますけど、那須川天心が圧勝します。相手になんないですよ。
――言い切りました(笑)。
笹原 「天心、ボクシングをぶっ飛ばせ!」って感じです。ウチの那須川天心が負けるわけがない。
――こうなったら天心入場のとき榊原さんと笹原さんでフンドシ・アベンジャーズをやるしかないです!
笹原 フンドシでもなんでもやりますよ!神取(忍)さんも連れてきます!
――天心所属の帝拳ジムからお断りされそうですけど(笑)。こうやって天心vs井上弟は盛り上がっていくんだと思います!そろそろ本題のRIZIN名古屋なんですが……
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