GLEATのエル・リンダマン11000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
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――この暑い中、スーツですけど、普段の取材はいつもそうなんですか?
――服装ひとつにしても考えてるわけですね!
リンダ ハッタリかましてます(笑)。
――このDropkickメルマガはMMAや格闘プロレス寄りの媒体なんですけど、GLEATではリデットUWFルールもやってるのでよく拝見してるんですけど。リンダマン選手の試合はいつも面白いですし、マイクアピールがめちゃくちゃ上手だなと。プロレス格闘技の中で一番うまいんじゃないかなって。
リンダ CIMAさんもいますし、そんなことはないですけど(笑)。まあ、なんだろうな。マイクのことまで考えてない人が多いかもしれないですよね。
――というと、リンダマン選手はマイクのことまで考えてるんですか?
リンダ 考えてるというか、日頃から何か話すときも常に意識をしてます。たとえば「このあいだキャンプに行ったんですけど」みたいな話をするときに、どこにサビを持ってくるかとか。違う人に同じ話を何回かして「ここは薄くしたほうがいいな」「ここを分厚くしたほうがいいな」とか常に考えてはいますね。
――だから聞きやすいんですねぇ。
リンダ 芸人さんの喋りと比べると質は悪いと思ってますし、そこまで芯を食ったことは言ってないですんですけどね。マイクもプロレスも全部一緒だと思います。フリ、タメ、オチで。
リンダ そこは格闘技でいえば1分間のブレイキングダウンなのか、3分5ラウンドのRIZINなのか。ルールによって取り組み方が違ってくるところに似てますよね。
――だからGLEATの大会後の締めのマイクを無茶振りされても自然にこなして。
リンダ ああ、そうですね(笑)。そこはテンプレートを持ってるからできることですけど。マイクにいまいち反応がなかった時期も経験してるんですけど、その頃とは正直技術論みたいなものは変わってない。それこそフリやオチだったりとかの原理原則は変わってないんですけど。やっぱり何回も繰り返すことによってお客さんが納得してくれるというか、お客さんがそのマイクを聞く姿勢になってくれてますよね。
――繰り返すことによってキャラクターとして受け入れられてくると。
リンダ そうだと思います。何か言って滑ったから捨てちゃうんじゃなくて、反応がなくても続けていけば、みんながそれを待ってくれるようになると思うんですよ。そこは我慢だと思いますね。
――他のジャンルから勉強することもあるんですか?
リンダ まあわざわざ勉強しに行くことはないですけど、何か見て「音量を下げることによって聞き耳を立たせる」とか「身振り手振りも含めて聞かせてるな」って考えるときはありますね。
――同じエピソードをしゃべっても、技術の違いで面白さが違うことがあるんですね。
リンダ そのへんはすごい大事だと思います。ボクは普通のことしか言ってなくて薄っぺらいです(笑)。実際に文字にすると普通のことしか言ってないけど、雰囲気や抑揚でお客さんを納得させられてるんだと思います。
――そこはライブ力が問われる。いかにその場の空気を読むか。格闘家だとそのへんのコントロールが難しい場合がありますね。
リンダ 格闘技はよく見るんですけど、「もったいないマイクだなあ……」って思うこともありますね(笑)。自分自身がお客さんにどう見えているのか、もっと絶対にやれるはずなのにって。どう考えてるのかはわからないですけど。
――格闘家の勝利者マイクは「自分がヒーロー」という前提で喋るから、キャラクターを活かせないことがあるかもしれないですね。
――プロレスの場合は、大会を通して自分がどこの立ち位置にいるかを把握したうえでアクションを起こさないといけないと。
リンダ そのへんを把握しきゃならないし、時にそれを壊す選択もしなければいけない。
――ああ、場合によっては。
リンダ ただ、それは選択でなきゃいけないと思います。自分のエゴだけでやるんじゃなくて、そこはしっかり判断して「こういう流れは変えなきゃいけない」とか「事件を起こしに行かなきゃな」って意思があってやるべきだと思います。何も考えずにやっちゃう人、いるじゃないですか。そこもプロレスの魅力的で面白い部分かもしれないですけど、自分としては「どうなんだろうな?」って思ってます。
リンダ アドバイスをしていただいた……までは言わないですけど、見る機会、学ぶ機会、そういうチャンスは多かったですよね。みんな喋るから、地方大会からビッグマッチまで。
――地方大会から磨かれていくと。
リンダ 地方大会で第1試合が始まる前に、選手がリングにやってきて「岡山の皆さん、こんにちは!」って喋るんですよ。1年に2~3回しか来ない会場で、ドラゴンゲートなんてとくにユニット間の動きが激しいし、チャンピオンもよく変わるから一旦場面整理するんです。「いま俺たちはこういうユニットをやってて新しくメンバーが入ってきてくれました」とか「今日は外国から◯◯選手が来てます。今日のメインイベントはあの悪者たちと戦います。試合前に1回おしゃべりしようや、出てこい」と。そうして相手も出てきて「今日のメインは火の海にしてやる!」みたいに煽って「じゃあ第1試合が始まりますよ」と。
――ストーリー展開が激しくてもそういう細かいフォローをすることで見やすくしてるんですね。
リンダ 初見のお客さんでもパッと作るようなかたちにはしていたし、レフェリーとリングアナが掛け合いするんですよ。「今日は◯◯大会です。先ほど会場に入る前にどこどこでご飯を食べてきましたけど、おいしいのでよかったら行ってください。では、皆さん声出しの練習をしましょう。悪役が出てきました。みんあでブーイングしましょう!」とか。初見でもちゃんと参加しやすいんですよね。
――そういうところにいったらレスラーとして成長しますよね。
リンダ でも、そこは選手によりますよ。学ぼうとしないで、ただの風景として見逃しているようじゃダメですよね。
――リンダマン選手の場合は海外を転戦された経験も大きいんですか?
リンダ たしかに海外は本当に良い経験だったんですけど、そこで何か明確に磨かれたかといえば、パッとしたものは出てこないです。もちろんCIMA、T-Hawkというガッチリした先輩2人とひとつの家で過ごしましたけど。そういう厳しい環境でいえば、ボクは小学・中学・高校時代の柔道部でたくさん経験してきてるんです。そこの部分での成長はそこで終わってるかなって。
――いわゆる体育会の世界は充分経験してきたんですね。
リンダ あの頃はキツかったですねぇ。小学生の頃は自宅から通ってたんですけど、週6で練習。中高は一貫校だったんで、週6が週7になって。
――いまはコンプライアンスが求められる時代ですけど、当時の柔道部は練習や人間関係もまだまだえげつなかったんじゃないですか?
リンダ まあ、そういうもんでしょ。だから扇久保さんがこないだのRIZINで勝ったことは本当に嬉しくて(笑)。
――ツイッターでもつぶやいてましたね(笑)。
リンダ そういう世界ですよね。「トイレ掃除」というキャッチーでポップなワードが全面に出ちゃってるだけで、たぶん他にもいろいろあったと思うんですけど、そこは先輩に何か言われたら、「YES」か「はい」の世界であるべきですよ。
――「YESかNOか」ではなく「YESか、はい」の世界(笑)。
リンダ 扇久保さんと神龍選手の試合は面白かったですよね。格闘技って試合前にさんざんやり合ってたのに、試合をしたら「気持ちが通じあった」みたいに和解しがちですよね。それでストーリーが完結してもいいんですけど、あそこまで「嫌いだ」って言い合っていた2人が1試合やったあとに「ありがとう」とシェイクハンドするのがおかしいときもありますよ。
――「試合を盛り上げるために言いましたけど……」ってやつですね(笑)。
リンダ でも、扇久保さんの試合はそうじゃなくて。試合後、相手のセコンドに挨拶はしつつ、2人とも目を合わせずに会話もかわさず、すれ違って行ったじゃないですか。あの絵は最高でした! 内容自体がどうこうっていう声もありますけど、この試合が一番よかったです。
――「つまんなかった」とか言われがちですけど、ここまでリアルなドラマはめったにないですし。
リンダ いやいや、全然つまんなくなかったですよ。こういうのが一番面白い。
――そういう視点でMMAを楽しめるのはさすがですね(笑)。
リンダ そこが一番面白いところだと思いますけどね。極端なことをいえば、技術なんて誰にもわかんないですよ。
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コメント
コメントを書く(ID:6689630)
ドラゲー所属経験ある選手のプロ意識の高さよ。