高橋遼伍を破った久保優太1万字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)
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・なぜ島野浩太朗は引退式で“あのマイク”をしてしまったのか?
――試合までに作り上げていくという話でしたけど、当日の自信はどうだったんでしょうか?
久保 自信という部分では五分五分、6-4まで行けたのかはわからないですけど……。
――おお、上回ってはいたんですね。
久保 うーん、いや、自信はそんなに変わらないけど、開き直っていた感じですかね。前日計量のあと不安すぎてオーストラリアにいたサラちゃんに電話しちゃって。サラちゃんは本当は現地観戦しない予定だったんですけど、オーストラリアから15時間くらいかけて神戸まで来てくれたんですよ。
――呼ぶほうも呼ぶほう、来るほうも来るほうですけど、素晴らしい愛です(笑)。
久保 ホントですよね(笑)。そうなると自分も負けられないじゃないですか。ボクにとってサラちゃんは邪魔な存在だという格闘技ファンの声もあるみたいですけど、リングサイドにサラちゃんがいると、ものすごく力になったかなって。
久保 あー(笑)。それはですね、まずサラちゃんは格闘技のことはまったく知らないんですよ。誰が強いとかわかってない。でも、自分は今回、強い選手とのオファーがあったことを相談したんですよね。そうしたら「チャレンジマッチみたいな感じなんでしょ。向こうが受けてくれるんだからラッキーじゃん」って背中を押されたところがあったんですけど、サラちゃん本人はそのことをすっかり忘れちゃってて。言うたら大晦日(安保瑠輝也戦)のときみたいに楽勝できると思っていたんですよね。
――そうしたらギリギリ競った試合になって。
久保 そうなんです。それで「この相手に判定で勝っても意味がない」と怒ってたんですけど、そのあとに強い人だったことを知って「自分が恥ずかしい……」って反省した謎の展開があって(笑)。
――ハハハハハ!でも、強敵と戦うことは相談していたはずですよね?
久保 ボクがそのつもりで言ったんですけどね。相手の試合映像を見れば見るほど不安になっちゃって。
――だから試合前日にSOSを出したわけですもんね。会話が噛み合ってなかったというか。
久保 そうですね(笑)。ボクも試合前なのでちょっとボーっとした会話だったかもしれないですし。
――それでもオーストラリアから来てくれるんだから、うまく着地したのは愛の証ですね(笑)。
久保 ホントに嬉しかったです! サラちゃんは日本に1日だけ滞在して、次の日に帰っちゃいました。
――20回!! それは勝った試合だから、ってわけじゃないですよね。
久保 負けた試合もけっこう見ます。自分がKOで勝った試合とか、うまくいった試合はあんまり見なくて。こういう接戦のときこそ課題が出ると思ってるから何回も見直します。練習でやってきた動きや技ができたかどうか、ここが足りないとかすごく勉強になるので。今回の試合は研究材料としてもデータが取れたかなって。
――判定はスプリットでしたが、20回見直してみて、割れた理由はわかりました?
久保 うーん、割れた理由は正直、ちょっとわからないですねぇ。1ラウンドにフックをもらって腰を落としたところなのかなって。でも、あそこでボクは返してるんで「ダメージ」としては判定されてないだろうなと。
――実際に「ダメージ」は取られてないですね。RIZINの判定は「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」の順で評価しますが、「ジェネラルシップ」で久保選手に2名、「アグレッシブネス」で高橋選手に1名。結果、2-1で久保選手の判定勝ちでした。
久保 試合後セコンドからも「勝った」と言われて、ボクもそう思ったんですけど。高橋選手に1票入ったときは「えっ?」ってドキッとしちゃいましたねぇ。
――「ジェネラルシップ」で高橋選手が評価されるのはわかるんですけど、「アグレッシブネス」は意外でした。一番の反省材料、次の課題はどこになります?
久保 大まかな作戦は、テイクダウンさせずに打撃を効かせるものだったんですけど。2ラウンドと3ラウンドにヒザや三日月蹴りで効かせたら、相手は1ラウンドみたいに下からテイクダウンにくると思ってたんですよね。
――高橋選手の四つに対して、久保選手はヒザへのボディをガンガン決めたこともあって。
――久保選手が有利に進めていたけど、そこで決め手が欠けてしまったところはあったと。
久保 そうなるとボクもパンチで攻めつつ、早く下のタックルに来てくれ……という展開だけになってしまって。もうちょっと他の撒き餌じゃないですけど、次の試合まで他の材料もどんどんアップデートしていきたいなって思いましたね。
――罠に誘い込むにはどうすればいいか、と。
久保 単純にそれだけでは相手はやってこない。それでいったら斎藤裕選手と平本蓮選手の試合も、平本選手がずっとこの待ちの状態だったけど、斎藤選手としてはポイントで勝ってるから無理しなくていいゲームになったじゃないですか。今回の試合もたとえば自分が明確にダウンしたり、ポイントが取られてる状態だったら、今度は自分から攻めに行かなくちゃいけない。カウンター待ちだと、試合自体が成立しないというか、ポイントを稼げるチャンスがほぼなくなりますよね。そういうときに自分で攻めて倒せる材料や、下からのタックルを狙いすぎないようにするとか、そのへんは課題だなって思いました。
――久保選手からすると、四つに拘った高橋選手の選択は意外だったわけですね。
久保 だから「なぜ高橋選手は下のタックルに行かなかったんだ?」って疑問に思ったりする人はけっこういるじゃないですか。でも、自分の動作からヒザを合わせようとしているのがバレてたのかもしれない。そのへんはもう自分のレベルを上げないとダメだなって思いました。
――高橋選手はONEでもスプリット判定での負けが続いていて、課題はわかってるけど今回も前に出れなかったと反省していたんですが、前に出たら出たで久保選手はチャンスだったと。
久保 きてくれたら自分として、おいしかったんですけど(笑)。
――1ラウンドの序盤にフックを食らったときは距離設定がまだ把握できてなかったんですか?
久保 宮田(和幸)先生や上田(貴央)トレーナーと話をしていたのは「1ラウンドはとりあえず耐え凌ごう」じゃないですけど、そういう作戦でした。たぶん相手は四つでテイクダウンを狙ってきて、カーフをガンガン蹴ってくるだろうと。
――高橋選手は名うてのカーフキックの使い手ですもんねぇ。
久保 1ラウンドは絶対に凌ごうとは言っていたんですが、それでちょっと見過ぎてしまった。慎重になり過ぎたことで逆に攻めさせてしまったことで、フックをもらってしまったなって。
――打撃だけだったら久保選手が圧倒的に上なんですが、組みが混ざることでああやって打撃をもらってしまうわけですね。
久保 そういうことですね。たとえばPRIDEでミルコ・クロコップがケビン・ランデルマンにKOされたときも、ミルコが手を前に出してタックルをきろうとした動作に合わせてフックをもらっちゃいましたからね。
――1ラウンド終盤にテイクダウンされたときはどんな心境でした?
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