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【永田三冠議論百出】全日本プロレスは大丈夫
――小佐野さんは新日本、ノア、全日本の合同興行「ALL TOGETHER AGAIN」(以下AT)はどうご覧になりました?
――たしかに両国という大会場なのに余裕があるカード編成だったなと。
小佐野 やっぱり交流戦より対抗戦のほうがいいんだろうね。敵対じゃなくて交流という感じになってしまったことで、ファンの食いつきがいまいちだったのかなって思うし。だったら三軍対抗戦をやればいいんですよ。かつて全日本プロレス、国際プロレス、韓国の三軍対抗戦が昭和の時代にあったけど(笑)。
――渋すぎる三軍対抗戦!(笑)。
小佐野 変な話、純粋な新日本の興行だったらもっとお客さんは入っていたかもしれないね。今回の主催者はAT実行委員会となっていたけども、まあ新日本の興行ですよ。いまの新日本ファンは全日本やノアとの絡みにはそこまで興味がなくて、純粋な新日本のカードを組んでいたら、もっと反響は違っていたのかもしれないなっていうふうにも感じた。
――かといって新日本としても、ノアや全日本と交流しながら何かやっていきたい狙いもあるわけですよね。
小佐野 いまの新日本は他団体に選手を派遣してるわけだしね。永田裕二は三冠王者だし、ATで永田、小島聡の2人は全日本の控室から入場。“全日本側”として出てるわけですよ。G1にはノアから清宮が初参戦してくる。
――小佐野さんは昭和の頃から新日本を見てらっしゃいますけど、最近の他団体との交流の仕方はどう思われます? 昔のプロレスの交流戦・対抗戦って、どちらが損している印象が強かったんですけども、最近はWin-Winで進めているなと
小佐野 まず国内では新日本がもうダントツのプロレス団体ですよ。全日本にしてもノアにしても、新日本と絡むことによってどうやって自分たちのネームバリューを広げるか、発信力を得るか……的なところはあるよね。新日本は“業界の盟主”として、いろんな団体にメリットをもたらしつつ、自分たちもメリットを……みたいな印象を受ける。たとえばこのATにしても、11年前の前回はまだ団体間のバランスが取れてたと思う。いまはどう考えても新日本一強だけど、新日本自体もたぶん一強はマズイと思ってるはずで。やっぱり対立するものがなければ業界は盛り上がらないから。たぶん過去の歴史から学んでわかってるはずですよ。変な話、いまプロレス専門誌は『週刊プロレス』しかないけれども、『週刊プロレス』と『週刊ゴング』があったからお互いに切磋琢磨できたところはあった。向こうがこういう記事をやるなら、こっちは別のほうに振り切ろうとなるから。
小佐野 これは女子プロレスにも言えることなんだけど、いま上を目指すとなったらやっぱりスターダムになっちゃう。男子のプロレスでさらなるステップアップを目指すとしたら、新日本かWWEでしょう。それがいまの現実なんだろうなって思いますよ。
――しかし、前回のATは11年前なんですね。時間が経つのが早い(笑)。
小佐野 あの頃はノアも元気のある時代……っていうと、語弊があるけれども。
――ノアはあれからいくたびの体制変更がありましたからね。前回のATにはオカダ・カズチカは上がってないんです。凱旋帰国前後だったこともあって。
小佐野 宮原健斗だって当時はノアに上がっていた健介オフィスの一員だった。バトルロイヤルでの出場だったからね。
――武藤さんや小橋建太さんタッグを組んだり、森嶋猛がいたりして時代を感じます……。
小佐野 11年8月27日の第1回大会のときの全日本にはまだ武藤がいて、三冠は諏訪魔、ノアのGHC王者が潮崎豪、新日本は棚橋弘至。バランス的にはいい感じだったんですよ。
――それが10年経ったら……ってことですね。
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