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佐伯繁DEEP代表が配信時代を語る!(聞き手/ジャン斉藤)



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DEEPは大会続きでマッチメイクのやりくりは大変そうですね。

佐伯 マッチメイクを8割、9割も終わらせていても、ケガ人とか出るしね。いまはパズルをハメてる感じでマッチメイクしてるから、先々まで決まりすぎちゃって、欠場が出ちゃうと誰も残ってないんだよね。それで急にROAD FCから「ライト級GPに誰か出られないか?」とか相談があったり。パズルをつくったあとだと、誰もいませんよって。やっぱり上の選手は早く決まってるし、RIZINも今年は珍しく早いじゃないですか(笑)。

――RIZINのCHIJI(珍事)(笑)。

佐伯 中にはRIZIN待ちの選手もいたりするから。

――この時期だとRoad to UFC(以下RTU)狙いの選手もいたんじゃないですか。

佐伯 実際RTUに応募してる選手もいましたね。もう出場選手は発表される頃だけど、話を聞くかぎり「あ、この選手が出られるんだ?」という名前もあった。UFCの戦略的に中国人は必ず入れるんじゃないかっていう話もあるし。

――まあアジアで1階級8人揃えるとなると微妙な選手も……って感じですよね。

佐伯 RTUに出たいって選手もいますけど、まあ出られるかどうかってなんとなくわかるじゃないですか。

――でも、選手当人や周辺関係者が「俺は出られる!」って思い込んでるケースがあったり。

佐伯 ホントそうなんですよ。そこはRIZIN待ちもそうなんだけど、ボクは本人にこう言いますよ。「RIZINにハマるかどうかわかんないよ。ウチに出るなら2ヵ月前に決めてくれて」と。

――待ってRIZINもDEEPも出られない場合もある。

佐伯 そこは賭けですよね。だからよく言うのはRIZINに限らず「向こうから呼ばれる選手になったほうがいいよ」ってことです。

――ONE FRIDAYの影響はあります? あれって1試合契約ですよね。

佐伯 ONE FRIDAYは、もうちょっと下の選手を使うのかなと思ってたんですよ。昔のONEだったら本戦に出れるような選手をONE FRIDAYは使ってますよね。

――修斗王者の安藤達也もONE FRIDAYのワンマッチ契約なので驚きました。

佐伯 まあワンマッチ契約だから組みやすいんだけど、思ったよりもちゃんとセレクトしてるなって思いました。いまはどこの団体もカード編成が早めだから、どこか外に出るにしても早く言ってもらわないと試合は組めないですよね。

――今年のRIZINだと年間スケジュールが発表されてますよね。急に6月の北海道大会が発表されましたけど(笑)。

佐伯 6月に北海道があって、聞くところによると7月は埼玉になるのかな。埼玉ってことは、さいたまスーパーアリーナだからビッグマッチでしょ。そこにいまのRIZINが新しい選手を冒険的に入れるかっていうと、なかなか難しでしょ。

――「Aサイドの対戦相手」として呼ばれる可能性はあっても。

佐伯 誰か出したい新人いる?

――うーん、DEEPジュエルスの万智選手くらいですかねぇ。

佐伯 52キロをRIZINでやるとなると外国人を呼ぶしかないよね。何が言いたいかというと、いまのRIZINは出場のハードルがけっこう上がってるんですよ。

――コロナのときはハードルが低くなったけど。

佐伯 そう。いまは外国人が入れるし、去年の愛知県大会(ドミネーターvs平本蓮)も意外と地元選手がそんなのは出てなかったんですよ。それは使わなきゃいけない選手がRIZINにはたくさんいるってことですよね。

――じゃあ新規選手はインパクトを残さないと、次は……。

佐伯 たとえば石司(晃一)選手はRIZIN大阪で金太郎選手に勝ったけど、あの内容だと7月のビッグマッチの出場はないよね。

――自分のところのチャンピオンなのに厳しいこと言いますね!(笑)。

佐伯 いやいやいや、ボクは冷静に見てますよ。そうしないと選手に「ここではRIZINに呼ばれないから、ウチに出とく?」とかアドバイスできないでしょ

――RTU希望選手もですけど、そういう話って選手や関係者はわかってくれます?

佐伯 わかってもらえるかはわからないし、ボクは選手の意向を尊重しますよ。「いいんじゃない」って言いますよ。

――止めないんですね。

佐伯 止めない、止めない。でも現実的な説明はしますよ。

――「たまアリはビッグマッチだからハードルは高いけど、地方だったらあるかも」とか。

佐伯 「フェザー級の○○の試合は絶対に組まれるから、その相手として出られる可能性はある。でもどうなるかわからないよ」とかね。ボクもプロモーターだから、RIZINがこの選手を使うかどうか、どんな試合を組むかどうかってなんとなくわかるんですよ。ちょっと前のRIZINは大会数が増えたけど、外国人が呼べないことで、誰でも出られたところはあった。それでみんなが「俺も出られる!」って勘違いしちゃったんですよね。

――UFCにナンバーシリーズとファイトナイトの色分けがあるように、RIZINにもイベントの違いがある。逆にいうと6月の北海道、10月に予定されてる愛知は狙い目ってことですかね。

佐伯 北海道なら北海道出身の選手は出やすいですよね。

――RIZIN沖縄大会もそうでしたけど、やっぱりある程度地元の選手で固めますよね。

佐伯 そりゃあ地元の人は地元選手を応援しますからね。地方大会に東京や大阪の選手が来たってみんなわかんないです。たとえば朝倉兄弟や皇治選手ならわかりますよ。

――RIZIN沖縄と神戸TRIGGERが同時期にあったときに「TRIGGERのほうが豪華!」って一部のマニアが騒いでたんですけど、ぼんやり層からすればRENA、山本美憂、皇治、ボビー・オロゴンら有名人が出る沖縄のほうが見やすいんですよねぇ。

佐伯 そのへんも説明しないとわかってくれない選手が多いんですよ。「なんでオレが出られないのにアイツは……」って文句を言いがちだから。さっきも言ったけど、イベントから「呼ばれる選手」になることですよ。まずベルトを取るとか、トップまで行ってからにしないと、

――伊藤裕樹はDEEPフライ級GP準決勝で負けたけど、試合が面白いし、強さが見えるからRIZINの山本アーセン戦にピックアップされて。

佐伯 彼の試合は面白いし、色気があるでしょ。華だけじゃない強さの部分もあるから。

――勝たないと次に進めないけど、いい試合をしないと次に進めない。メジャーの厳しい条件ですねぇ。

佐伯 金太郎選手がこないだの試合で前に行けなかったって言われてるけど、金太郎選手の気持ちを考えたら、行けないんですよ。だってこれで負けたら4連敗だよ。堀口恭司戦はパンチが当たれば頑張ったと評価される。実際堀口戦が終わったあとに金太郎選手とそういう話したんですよ。「次が問題だよね」「勝たないと先ないよね」って。いくらパンチを振り回しても10連敗したら誰も見ないでしょ。やっぱりどこかで勝たなきゃいけない。どんな内容でもいいから勝ちたい。そうなると手堅くなるのはボクは仕方がないと思うんですよ。あとから聞いたら拳もケガしてたみたいですね。

――対する石司選手もやっと掴んだチャンスだから慎重になる。

佐伯 2人の気持ちは痛いほどわかりますよ。ただ、お客さん目線だと「この試合はないよね」ってなっちゃうんです。でも、石司選手は勝ったから、また使われるときもあると思います。勝ったから次のこと考えられるんですよ。ロッキー・マルティネスだって、バンナに勝ったから先は続いたんですよ、なんだかんだ。

――あのときマルティネスは榊原さんから「寝技じゃなくて打ち合ってほしかった」ってボヤかれたんですよねぇ。

佐伯 金太郎選手がRIZINバンタム級GP1回戦で伊藤空也選手とやったことがあったでしょ。あのとき金太郎選手は格下相手に絶対に勝たなきゃいけない。空也選手は勝ったほうがいいに決まってるけど、いい試合ができるかどうだったと思うんですよ。

――空也選手は初参戦。いい試合だったから負けてもまた呼ばれましたね。

佐伯 選手によって立場が違うってことだよね。絶対に勝たなきゃいけないときもあるし、負けても評価されるときもあるし、これは勝たなきゃいけないうえに面白い試合しなきゃいけないこともあるってことかな。

――昨年10月福岡大会の矢地祐介vsボイド・アレンも矢地選手にとっては絶対に勝たなきゃいけない試合で堅実なファイトに徹しましたけど、劇勝した武田光司選手がベラトール対抗戦のライト級代表の座を掴んで。あれ、査定試合だったってことですよね。

佐伯 こないだDEEPのウェルター級タイトルマッチで王者・阿部大治選手が鈴木槙吾選手に負けたんですけど。鈴木選手は打撃の一発があるし、打たれ強いから、阿部選手が寝技でコントロールしていけば勝ちやすかったんですよね。でも、阿部選手が打撃にこだわったように見えたのは、阿部選手はRIZIN福岡大会で田村ヒビキ選手とやったでしょ。

――阿部選手は勝ったけど、固い試合になっちゃいましたね。あの試合も内容によっては大晦日対抗戦抜擢の可能性があったとか。

佐伯 そう。だから今度こそインパクトのある勝ち方を意識しちゃったのかもしれない。

――ファイター心理ですね……。


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