――笹原さん、あけましておめでとうございます! 昨日の大晦日RIZINは面白かったです!
――朝倉未来vs牛久絢太郎、斎藤裕vs平本蓮、皇治vs芦澤竜誠、パッキャオ参戦を発表しといてじつは最終回。「俺たちの戦いはこれからだ!」って打ち切り漫画の最後ですよ!(笑)。
笹原 あらゆる具材をぶち込んだ超てんこ盛りシェフの気まぐれサラダですよね(笑)。まぁ喜んでいただけたなら何よりです!
――サプライズといえば、ネイト・ディアスのインスタの匂わせはなんだったんですかね?
笹原 こっちが知りたいですよ! ネイトに問い合わせをしたいくらいです。
――ハハハハハハ! RIZINもよくわかっていない。
笹原 いままでは具材を必死こいて買い集めていたわけですよ。「すいません、RIZINという料亭をやらせてもらっています」「は? 聞いたことねぇぞ。ウチは信頼を置けるところにした卸さねぇから。シッシッ、あっち行ってろ」みたいな感じだったのが、「RIZINさん、いいマグロが入ったんですよ。どうですか?お安くしておきますから」みたいになってきたってことです。
――みんなRIZINに絡もうとしているってことですよね。
笹原 そうです。なのでたまに「あれ、これどこから仕入れたんだっけ?」みたいなことが起こるわけです。
――その具材、心当たりが多すぎですよ!(笑)。
笹原 ネイトの件も、ネイト本マグロを本人が売り込もうとしているのか、それとも誰かが売り込もうとしているのかってことですね。
笹原 過去最高のラインナップと自画自賛できるほど贅沢な大晦日だったと思うんですが、例年と違うところはまだ具材が残っていることなんですよね。
――いつもは大晦日ですべて出しきって、開幕戦のマッチメイクに苦労する感じですよね(笑)。大晦日に発表された朝倉未来vs牛久絢太郎、斎藤裕vs平本蓮、皇治vs芦澤竜誠は3試合とも別の大会でやるってことですか? 皇治vs芦澤竜誠は大阪でやるんでしょうけど。
笹原 そのあたりは記者会見で明らかにしますが、とにかく2023年のRIZINは開幕戦からアクセル全開で突っ走っていくので、みなさん振り落とされないように付いてきてください! で、去年の正月はシバター久保問題で1ミリも安息がなかったので、今年のお正月はゆっくりします、というかゆっくりしたいので、関係者の方は私に電話してこないでください!
――ゆっくりされる前に大晦日を振り返っていきたいんですが、まず第1試合のYUSHIvs中澤達也。
笹原 これは負けちゃいましたけど、中澤選手はよかったですよね。何もできなかったと言われればそれまでですけど、最後まで諦めない根性を見せる、という自分の仕事をやり切ったと思います。
――途中にカット・インする人気任侠ドラマ『日本統一』のキャストの皆さんもいい味を出してましたよね。中澤選手は俳優として『日本統一』に出演していて。
笹原 バックステージにも『日本統一』好きの関係者が結構たくさんいて、ちょっとした記念撮影祭りだったんですよ。
――ボクの非格闘技フォロワーが反応していたのがパッキャオ、シバターvs久保優太、そして『日本統一』ですからね(笑)。
笹原 賛否両論ある試合でしたが、まぁでもオープニングの試合としてはアリなのではと思います。だって、YUSHIvs中澤で始まってサトシvsAJで締める格闘技イベントなんて世界中探してもウチくらいでしょうから(笑)。
――最初は映画キャストが集団で入場して、最後はお札が降っていますからね(笑)。第2試合“ブラックパンサー”ベイノア vs宇佐美正パトリックは宇佐美選手がノックアウト・オブ・ザ・イヤーなKO勝ち。
笹原 宇佐美選手はRIZINというサファリパークでのびのびと暴れている感じですよねぇ。なんか解放されている感じが伝わってきます。
――RIZINって、外から来たファイターに寛容ですよね。
笹原 いや、寛容というか放ったらかしですよね(笑)。「オマエの好きなことをのびのびやれ」というスタンスです。もちろん迷ったり、悩んだりしたときには手を差し伸べますよ。
――一方で負けてしまったベイノア選手、キャラクターは完全にできあがってますが、これからどうやって立て直していくのか。
笹原 MMAに専念すると聞いています。覚醒するにはもう少し時間がかかると思いますが、あの身体能力と空手で鍛えた打撃がMMAにフィットすれば、それこそ鈴木千裕みたいになりますよ。
――第3試合は中原由貴 vs鈴木千裕。
笹原 いやあ、この試合が今年の大晦日でいちばんビックリしたかもしれないです。W杯で日本がスペインに勝ったみたいな話ですよ(笑)。
――ブラボー!!(笑)。
笹原 それくらい中原選手の実力は頭抜けていますから。いまRIZINに参戦しているフェザー級ファイターの中で、ある意味ジョーカーみたいな存在だったのが中原選手で、クレベルを仮に完封しても驚かないくらいの選手ですからね。
――中原選手にこんな勝ち方ができるフェザー級日本人がいたんだ……って驚きですね。
笹原 ボクは鈴木千裕の「桜木花道説」を唱えたいんですよ。
――『SLAM DUNK』の新作映画が好評な時期に荒れることを言わないでください。
笹原 「こいつを見ていると勝負したくなる」という千裕選手の感じ。中原選手からすれば、あれだけペースを握っていたんだから、もっとゆっくり落ち着いてMMAをやれば全然勝てたはずなんですよ。でも、鈴木千裕と戦うと無理やり打撃戦を挑まなきゃいけなくなるというか。
――そういえば山本空良選手も打ち合いにいっちゃいましたね。
――キャラクターが誤解されているのもいい味なんですよね。平本蓮選手のイジリも面白いんですけど、あれを真に受けて「鈴木千裕、嫌い!」となっちゃう人はもったいないなあと思ってて。
笹原 鈴木千裕のあのネジが外れた感じ最高ですけどね(笑)。本人は格闘技に対して超真面目で、花道のように1週間に2万本シュート練習をしちゃうような選手なんですけど、それがストレートに伝わらずになぜか誤解されて伝わるところも含めて鈴木千裕から目が離せないですよね。この中原選手からの勝利で、一気にタイトル戦線に絡んでくるでしょうね。
――次はジョニー・ケースvs大尊伸光ですが……公開計量のときの大尊選手のアキラ100%なパフォーマンスにヌルマゴが怒った説が流れています。
笹原 なんかそうみたいですね(笑)。
――やっぱり(笑)。
笹原 だからって大尊選手を「けしからん!」とは思わないですし、逆にヌルマゴがああいうパフォーマンスを嫌う姿勢も理解できます。過去にも、リング内外でのパフォーマンスはどこまで許されるか問題って取り沙汰されたことあるじゃないですか。
――でも、メイウェザーvs那須川天心があった公開計量のときは、メイウェザーに気を使って全裸の大尊選手に服を着てもらったんですよね。
笹原 そんなもん、問答無用で着てもらいましたよ!(笑)。
――ハハハハハハハハ! あのときはダメ。
――なるほど!(笑)。そんな話があるなら同じタイミングでRIZINもキャプテンを用意しますよね。
笹原 ベラトールスタッフは「あー、またスコットのリップサービスが始まったぞ」というくらいの感じなんですよね。
――要するにサービス精神が旺盛だってことですね(笑)。
笹原 そこはプロモーターの宿痾なんですけど、とりあえず口に出す。それがあるときはホントに実現することもあれば、逆に自分の首を絞めるときもある。周囲からすると「えっ、そんな話は聞いてないんだけどな……どうするんだろう?」と戸惑いながら物事は動き出すんですよね。
――ということは笹原さんも榊原さんに対して「あー、社長のリップサービスが始まったぞ」という、はた迷惑な感情があるってことですね。
笹原 まぁ社長がこのインタビューをチェックしているとは思えないのではっきり言いますけど、そんなの毎日です(笑)。
――平本蓮vs梅野源治のスタンディングバウト特別ルールが今回の変化球カードでしたけど、変化球カードの編成が超大変だったみたいですね。
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