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9連敗からの7連勝で修斗ストロー級王座を獲得した奇跡の男・新井丈インタビュー! いろいろと壮絶すぎます!(聞き手/ジャン斉藤)

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――
9連敗後に7連勝で修斗ストロー級王座を奪取して、今度は1階級上のフライ級でも勝利して8連勝。新井選手はおかしなことことやってますね。

新井
 ありがとうございます。9連敗していたときも、なぜか自信あったんですよ(笑)。

――
9連敗してるのに?(笑)。

新井
 こないだ大沢(ケンジ)さんに「その自信は昔からだから、アテにはなんない」って言われましたけど(笑)。勝ってるときも負けてるときも根拠のない自信があります。

――
新井選手はキングダム立川で格闘技をはじめて、いまは和術慧舟會HEARTSとのダブル所属なんですよね。9連敗ファイターを聞いたことないのは、そこまで負けがこむとやめちゃうからだと思うんです。新井選手は格闘技をやめようと思いませんでした?

新井
 いや、やめようとも思わなかったっすね。もう試合をやりたくなくなる、みたいなことあったっすけど。やっぱりここまで負けると恥ずかしいじゃないですか。いまからすると「それは勝てないよな」という生活をしてたんです。練習はそんなに好きじゃなかったですし。

――
9連敗しても仕方なかったと。

新井
 そうっすね。格闘技に懸けてないなって。いまの自分からすると、いちばん嫌いな人間ですね(苦笑)。

――
でも、試合はやり続けてたんですね。

新井
 そうっすね。修斗がオファーをくれるんで。それもまた奇跡ですよ。あんなに負ける奴にオファーくれるのもすごいと思いました。

――
正直、安牌みたいに思われていたり……。

新井
 ハハハハハ。対戦相手はどんどん弱くなってくというか、たぶん俺に勝ってほしいんだろうなっていうマッチメイクをしてくれてて。それでもことごとく裏切って。ファイトマネー○万円まで下りました。

――
それは下がりましたねぇ!

新井
 「そりゃそうだよな」って話ですけど。

――
「もう勝てないんじゃないか……」って後ろ向きになりませんでした?

新井
 それを言ったら、プロ1~2戦目はやっぱりナメてたから。アマチュアでは勝ててたんですけど「……相手が相当練習してんな」みたいなことがわかって。どんだけ俺が練習しなきゃいけないかってことも、プロで何回か戦えばわかるんすよ。でも、もっと練習したりとか行動しなかったんで。まあ「やってりゃ、そのうちいけるだろ」という感じですかね。

――
でも9連敗までかかってしまった、と。当時はどういう練習スケジュールだったんですか?

新井
 高校を卒業したあとは、普通にバイトしながら夜は練習っていう感じでやってたっすけど。試合前
は週5でしっかり練習してたんですけど、試合が終わると2ヵ月練習しないとか。

――
いったい何をやってたんですか!(笑)。

新井
 いやまあ、友達と遊ぶぐらいで。変な悪さをしてないんですけど。格闘技の映像を見るのは好きなんですけどね。イメトレみたいなものがうまい方。

――
それ、単なる思い込みじゃないですか!(笑)。

新井
 ハハハハハハ。実際に久々に練習すると調子よかったりするんすよね。なんか意外と思ったより身体が動くじゃん!みたいな。心臓がちっちゃくなってるから超大変なんですけど。

――
試合はやりたいけど、練習は嫌いというスタンスだったんですね。

新井
 当時はですね。あと練習ってそんなに楽しくもなかったんで。試合で勝って輝いてる姿という、いちばんおいしいところしか想像してなくて。日常の練習は、まあつらいじゃないですか。つらいことのほうが9割ぐらいのはずなんですけど、残り1割の輝いてるところしか見えてなかったんで。格闘技に対して愛を注げてなかった。いま思うとそんな感じですね。いまはどれだけ自分がキツイことができるのか、そういうつらさも好きになったので。

――
いまは練習が好きになったんですね。

新井
 前と比べると、そこが変わったとこですね。でも、あの9連敗があったから唯一無二になったし。そんな奴は絶対いないじゃないですか(笑)。ある意味、肩書きができたんで「まあいい仕事したな、昔の俺」と思ってます。

――
9連敗中のときって周囲はどういう反応だったんですか?

新井
 見られる目が痛すぎて、そこがきつかったんですよ。

――
応援してしてくれる人もなんて声をかけていいものか。

新井
 絶対そうっすよね。困るっすよ(笑)。

――
たとえばチケットを手売りするにしても、お願いの仕方が難しいですよね。

新井
 ああ、もうなんの言葉も出なくなってくるんすよね、最後のほうは。

――
セールストークが難しい。「連敗記録更新を見に来てください」というわけにもいかないですし。

新井
 それぐらい言えれば、逆に来てくれたかもしんないですね(笑)。セコンドの人に毎回時間を使って来てもらうわけじゃないですか。それでも負けて周りに呆れられて……。

――
呆れ具合が伝わってきます?

新井
 負けても負けても自分は自信持ってるわけじゃないですか。うざいでしょ?(笑)。

――
たしかに(笑)。

新井
 そんなん周りからしたら毎回負けるのに「なんでこいつはこんなに余裕なんだ?」って思うわけですよ。「UFCを目指す」とか言ってましたからね(笑)。

――
UFCを目指す9連敗ファイターはたしかに困りますね(笑)。
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